369ーリア姉が釣れた
「リーゼ、その恰好をしているという事は馬を飛ばして来たのか?」
「はい! お父様! だって直ぐに行っちゃうって聞いたのでッ!」
お祖父様とお祖母様が、到着したら行くからね。その間だけお世話になっている。
「リーゼ様、落ち着きなさい。どうしてそうなのでしょう? 何度も言っているのでっす」
「はい、クリスティー先生。ごめんなさいぃ」
おっと、クリスティー先生にまで注意されている。これは常習犯だな。お兄さんのユーリさんはとっても落ち着いているのに、どうしてこうなった?
「ワッハッハッハ! リーゼは元気で良いぞ!」
「お祖父様! お久しぶりですッ!」
元気な声でそう言いながら、フリード爺とラン爺のところへ小走りに行こうとした時だ。
「あたッ!」
またもや何もないところで躓いている。またおっとっととケンケンしながら進み、転けるかと思いきや今度はとうとうパフンと倒れ込んでしまった。それもよりによってネリアさんの胸にだ。
本当に落ち着きがない。ドジっ子決定だ。
「リーゼ様!」
「はいぃッ! ごめんなさいでっす!」
クリスティー先生の言葉尻が移っている。でもここで笑ってはいけない。だってネリアさんが、とっても怒っているから。
「リーゼ、貴方はもう……」
「あばばば、おかあしゃまッ!」
顔を起こしてネリアさんに睨まれ、あたふたしている。この感じ、本当によく似ている。
「いい加減になさいッ!」
「ひゃ、ひゃいッ!」
決まりだ。完璧にあの女神と同類だ。『あばばば』なんて同じ事を言っている。しかも噛んでいるし。ふふふ、面白いなぁ。
そのドジっ子のリーゼさんに、リア姉から順に自己紹介をした。
「ボクはろろ」
さっきも言ったのだけど、一応順番に自己紹介をしていたから、もう一度言っておいた。
「会いたかったわッ!」
またこっちに来ようとする。落ち着きがなさすぎる。絶対に躓くぞ。もうパターンが読めてしまった。リーゼさんも学習しないのか? また叱られるぞ。
「待つんだ、リーゼ。先に着替えておいで」
「お兄様、そうですか?」
「そうだよ、凄く埃っぽいよ」
「え……」
そりゃ、馬を飛ばして来たのだからそうなるだろう。ピカさんだって、ちょっと汚れていると言って避けていたもの。
「分かりましたぁ……」
残念そうに、肩を落としてトボトボと部屋を出て行った。チロチロと此方を見ながら。ちゃんと前を向く方がよいと思うよ、また躓くから。
案の定、部屋を出た途端に「あたッ!」と声が聞こえてきた。
「むふふふ」
思わず両手をお口の前にやって笑ってしまう。
「騒がしいでしょう? あの子はいつもああなの」
「何度言っても直らないのでっす」
クリスティー先生まで、呆れている。もうお手上げだといった感じかな。
「リーゼは一人でちゃんとやっているのかな? 心配だよ」
ユーリさんまでそんな事を言っている。リーゼさんは寮に入っていると言っていた。本当に大丈夫なのかと俺でも心配になってしまう。
「リアは同い年なのに、しっかりしているよ」
「ふふふ」
「レオ、そこでどうして笑うのよ」
「だって、姉上。しっかりしているって。良かったね」
「それって頼りないのにって、言っているのと同じじゃない」
「そんな事ないよ。ふふふ」
そこで笑うから駄目なのだ。レオ兄は本心を隠せてない。
でも、あれだと心配になるのも分かる。だけど何度も躓いているのに、思い切りバターンと転けたりしない。まあ、ネリアさんのお胸にダイブしちゃったりはしたけど。
それってもしかして、とっても体幹が良かったりするのかな? リーゼさんも強かったりして。そんな事になると、リア姉が絶対に対抗意識を燃やすぞ。
「あれでもリーゼも強いのだぞッ!」
「フリード様、本当ですか!?」
ほら、ほぉ~ら。もうリア姉が釣れた。絶対に食いつくと思ったのだ。
それはそうと、俺はもうお腹いっぱいだ。で、どうなるのかというと。
「ああ、ロロ。もう眠いんだね」
「れおにい」
ユラユラと身体が揺れだした。満腹になると直ぐに眠気が襲ってくる。もうこれは抗えないのだ。
「私が寝かせてきましょう」
「クリスティー先生、僕が行きますよ」
「レオ達はリーゼ様のお相手をお願いしまっす。きっと直ぐに戻ってくるでしょうからね」
そんな事を言いながら、クリスティー先生はもう俺を抱き上げている。レオ兄より身体が大きいからとっても安定感がある。
それにクリスティー先生の匂いが好きだ。もちろん、レオ兄の匂いも好きだけど。
「じゃあ、ロロをお願いします」
「はい、お願いされました」
「ロロ、おやすみなさい。クリスティー先生、有難うございます」
「いえ、構いませんよ」
「おやしゅみなしゃい」
「ロロ、おやすみ」
みんなが、おやすみと言ってくれる。俺はそれが嬉しくて、いつもよりいっぱい手をフリフリした。家だとこんなに大勢いない。賑やかで良いな。
クリスティー先生が、俺を抱っこしてゆっくりと歩く。その振動がまた心地よくて、俺はベッドに入る前に眠ってしまった。なんとなく、気配でクリスティー先生が俺の横にいるのを感じながら。
お読みいただき有難うございます!
昨日は急に動物病院に行く事になって、慌てて投稿したので後書きを書けませんでした。
この場は皆様とコミュニケーションを取れればと思って書いてます。
ずっと書いているので、なかったら寂しく思ったのですが、皆様は如何でしょう?
え?いらない?えー、そんなぁ^^;
うちの老犬トイプードルが、もう覚悟しないといけないかなぁ…て、感じになってしまいました。これから動物病院に通わないといけないので、また書けない事があるかも知れません。
できるだけ、書いていきますのでお付き合い頂けると嬉しいです!
いつも感想を有難うございます!
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宜しくお願いします。




