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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第6章 辺境伯領に行ったのら

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367ーお口いっぱい

 あのヒュージスライムだっけ? あれは本当に大きかった。とてもスライムには見えない。でもあの時が切っ掛けで、リア姉は火属性魔法が使える様になった。

 と、俺はエビフライを食べよう。あーんと大きなお口を開けて、タルタルソースをたっぷりとつけて頬張る。当然、ほっぺにはタルタルソースがついてしまう。


「だからいつも言うけど頬張り過ぎだ」

「むぐぐ」

「ロロ、お口の中が無くなってから喋るんだよ」

「ふぐ」


 お口の中がいっぱいで喋れない。でも沢山頬張る方が美味しさも倍増だ。

 サクッとした衣に中のエビはほんのり甘くてジューシー。タルタルソースも程良い酸味があって、エビフライにベストマッチだ。

 ああ、なんだか懐かしいな。前世の母親が作ってくれたエビフライを思い出す。


「ふゅ~、うまうまなのら!」

「ふふふ、ロロったら」

「ほら、ロロ。ほっぺ拭いておこう」

「うん」


 いつもの様にニコ兄が俺のほっぺを拭いてくれる。


「テオ、早くても明日の夕方以降だろう?」

「ラン爺、多分そうだと思いますよ。お祖父様だけじゃなくて、お祖母様も一緒でしょうから」

「あのご夫婦は相変わらずだな」

「お元気ですよ。何より、リア達の事をとても心配されてました」


 今度はクリームシチューだ。お野菜がゴロゴロ入っている。ここのミルクはとっても美味しい。コクが違うというのだろうか。なのにまろやかでクリーミーだ。

 もしかして隠し味に、チーズがほんの少し入っているのかな?


「ロロ、美味しい?」

「うん、れおにい。とっても、うまうまら」

「ふふふ、食べる事に夢中ですものね」

「ロロはまだ小さいから、こんな話を聞いても分からないだろう」

「イシュト様、それはないですよ。ロロはとってもお利口でっす。全部理解しているでしょう」

「クリスティー先生、そうなのか?」

「はい、そうでっす。ね、ロロ」

「ん?」


 俺のお口の中が今度は、クリームシチューで一杯で喋れなかった。モグモグとお口を動かしながら、クリスティー先生を見る。一応、頷いておこう。


「あんなに可愛いのに」


 可愛いと理解している事と関係ないぞ。エンドレスでお口にシチューを入れてしまう。


「ロロ、もっとゆっくり食べなよ」

「ふぐ」


 ほら、また喋れない。一生懸命モグモグしよう。


「ふふふ、ロロったら。お口の周りに付いているわ」

「リア姉、拭いてもすぐに付くんだよ」


 そう言いながらも拭いてくれるニコ兄。いつも有難う。でも、俺は食べるのだ。

 このパンもフカフカでほんのり温かい。いつも食べているパンより柔らかいぞ。どうしてだ? 作り方を教わりたいな。帰ったらマリーと作りたい。

 手で割ると表面はパリッとしているのに、中はフカフカのパンだ。ルルンデにいる時は、普段はパン屋さんで買っている。だってパンって凄く手間が掛かる。

 これはきっとお邸のシェフが毎日焼いているのだろう。


「めっちゃ美味いな」

「うん、いっぱいたべるのら」

「おう」


 俺達ちびっ子チームは食べる事に夢中だ。リア姉達は大人と色々話しながらゆっくり食べていた。家にいる時とは違う。テーブルマナーというやつか。

 こうして見ていると、あのお転婆なリア姉もちゃんと貴族なのだと思う。所作が綺麗だ。

 俺みたいにエビフライに齧り付いたりしない。ちゃんとナイフを使っているし、お口いっぱいに頬張ったりもしない。家でもしないけど。

 家だとどうしてもバタバタしてしまうし、こんなに豪華な食事でもない。カトラリーだって、こんなに何本も並んでいない。こんなところで、貴族だと思わせられる。

 俺はどうなのだろう? お邸にいたのは2歳までだ。その頃の事なんて覚えていない。

 隣りにいるニコ兄を見てみた。ニコ兄も器用にカトラリーを使って食べている。え、俺だけか? 俺って勉強しないといけないか? ちょっと不安になって、シチューを食べていた手を止めた。


「ロロ、どうしたんだ?」

「れおにい」

「もうお腹いっぱいなのか?」

「ちがうのら。ボクらけしらない」

「ロロ? 何をかな?」

「らってボクは、れおにいみたいに、たべられないのら」

「え?」


 意味が分からないといった顔をしているレオ兄。お向かいに座っていたクリスティー先生が微笑んでいる。クリスティー先生は理解したみたいだ。


「ロロはまだちびっ子ですからね。これから勉強すれば良いのでっす」

「もしかして、テーブルマナーの事を言っているのかしら?」

「はい、ネリア様。ロロは気が付いたみたいでっす」

「まあ、お利口だわ。ロロ、これからお勉強すれば良いのよ。きっとお祖母様が教えてくださるわ」

「しょう?」

「ええ。それに気にするほどじゃないわ。ロロは上手に食べているわよ」

「らって、いっぱいちゅくのら」

「あら、ふふふ」

「だからロロ。口にいっぱい入れるからだぞ」

「らってにこにい、しょのほうが、うまうまなのら」


 そこが駄目なのだろう。お口いっぱいに頬張るのがね。分かっているのだけど、これは止められない。

 俺達が美味しく食べていた時だ。玄関の方が急に騒がしくなった。バタバタと人が動く気配がする。その内足音が段々近付いてきて、俺達のいる食堂のドアがバンッと大きな音をたてて開いた。


お読みいただき有難うございます!

さてさて、誰がやってきたのでしょう?

明日をお楽しみにして頂けると^^;

そろそろコミカライズのお知らせができれば良いのですが、私もまだ何も知らされてないのです。次の打ち合わせで確認してみよう。

早く皆様にお知らせしたいですし。

ロロとリリのコミカライズの担当さんは一緒なのですよ。ノベルの担当さんもお若いのですが、この二人はいつも遅くまでお仕事していそうで深夜にメールがきたりします。

編集さんって、大変なお仕事なのですね。

我慢強く対応して下さったおかげで、リリのコミカライズも動き出しました。ありがたい事です。

今日もめっちゃ寒いです。乾燥してますし、皆様も体調にはお気をつけ下さい。

いつも感想を有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ロロの売上が好調だと担当さんから報告がありました。嬉しい!ご購入して下さった皆様、有難うございます!

リリみたいに、長く続けられると嬉しいなぁ。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
来たかー 明日じゃなかったねーwwww
ぎぃ……ばたん←コナンのSE つまり、次の被害者は(まってちがう) というか、(日本の加工品ならともかく)三歳児にエビフライ丸々はキツくないですかね? ……といいますか、ロロもパンにシチュ…
お口いっぱい方張るぐらいエビフライが美味しかったのですね。(でもロロも場合は、いつもの事❓( ◠‿◠ )) 皆んなと美味しい食べていたら玄関が騒がしく❓食堂に近く足音❓行き良いよく開くドア、不審…
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