364ーピコなんとか
リア姉とテオさんが木の剣を持って対戦している。それを見ているフリード爺。少し離れたところに、ラン爺とレオ兄、ニコ兄、ジルさんがいた。
ニコ兄が一番に気が付いて、俺に手を振ってくれる。
「ロロ! クリスティー先生!」
ニコ兄も手にラン爺が作ってくれた木剣を持っているぞ。俺のはどこいった?
「ロロ、お昼寝する前に言っていた、ピコなんとかを見せてください」
「しぇんしぇい、ぴこぴこはんまーなのら」
「ピコピコハンマーですか?」
「しょうなのら」
そうそう、本当は叩くとピコッと可愛い音が鳴るおもちゃだ。それがなぜかこうなった。
俺が作る時に、強い武器と思ったからなのだろうけど。でもこの音は想定外だ。
ニコ兄のピコピコハンマーはもっと強い。作る時にもっと強いものと思って作ったから、きっとニコ兄のピコピコハンマーの方が強いのだ。
ニコ兄の側に行き、下ろしてもらう。
「ぴか、ぴこぴこはんまーらして」
「わふん」
コロンコロンとニコ兄のと二つ出した。
「おや、ピカは亜空間収納も持っているのですね」
「わふ」
クリスティー先生は見るのが初めてだったかな? フリード爺とラン爺は知っているぞ。
「しぇんしぇい」
「これがそうですか。小さな翼が付いていますね」
「こっこちゃんの、はねなのら」
「おや、そうですか。とっても可愛いですね。ニコのは強そうでっす」
「そうなんだぜ。俺のは強いんだ」
なんて自慢しながら、ニコ兄が地面を叩いた。当然あの音が鳴る。
――ボボーン!
「おや!」
俺も叩いてみよう。
――キュポン!
「ふふふ、音が違うのですね」
「しょうなのら」
「ロロが作ったんだぞ」
「ロロ、どうやって作ったのですか?」
「こねこね」
「え?」
「こねこねしたのら」
「ゴーレムを作るみたいにですか?」
「しょうなのら」
ニコ兄と一緒にピコピコハンマーで地面を叩く。
――キュポポン!
――ボボボーン!
――キュポポンポン!
――ボボボーンボン!
「ふふふふ、これは楽しいでっす!」
「えへへ」
「この音がなぁ」
なんだよ、ニコ兄。俺だって態とこの音を装備した訳ではない。
俺は気付かなかったのだけど、この時もクリスティー先生は精霊眼で見ていた。
「これは、魔力を流せるのですね?」
「そうなんだぞ。今日もそれで何かを飛ばしたんだ」
「ほうほう」
クリスティー先生が、とっても好奇心に満ちた眼で見ている。
「しぇんしぇい、ちゅかってみる?」
「おや、良いのですか?」
「うん、いいのら」
だってそんなに見られちゃうとね。まあ、一度使ってみて納得すると良いのだ。俺はクリスティー先生にピコピコハンマーを手渡した。
俺の手に合ったピコピコハンマーだから、クリスティー先生が持つと本当におもちゃだ。クリスティー先生が、小さなピコピコハンマーを持つ。大人が持つと余計に小さく見える。
「くふふ」
思わず手をお口に当てて、笑ってしまう。可愛いぞ。
「おや、ロロ。どうしました?」
「おもちゃみたいなのら」
「そうですか?」
「らって、ちいしゃいから」
「そうですね、こんなに小さいのにこれは強い武器ですね」
「しょうなのら」
「ブラックウルフも、やっつけたんだぞ」
ニコ兄の自慢だ。あの時見ていた俺は冷や汗が出た。ニコ兄の勇気に驚いた。
「ブラックウルフをですか? ああ、もしかしてディが調査してみると言っていた件でしょうか?」
「しょうなの?」
「ええ、川辺に群れが出たのでしょう? しかもレッドウルフが率いていたと聞きました。どう考えても不自然ですからね」
そうなのか? ディさんが調査するのか。あの時ディさんは、結界があるから来られないはずだと言っていた。なのに魔法陣が現れて、そこからブラックウルフが飛び出して来たのだ。
それってやっぱどう考えても自然ではないよな? その魔法陣がどうして現れたのかだ。
「あのまほうじん」
「ブラックウルフが出てきた魔法陣ですか?」
「しょうしょう」
「あれは気持ち悪かったよな。不気味だった」
「しょうなのら、なんらかくろいもやもやがあったのら」
「ん? 黒い靄ですか?」
「しょうしょう」
「ロロ、そうだったか?」
「しょうなのら」
「おや、ロロ」
クリスティー先生は、ピコピコハンマーを手に持ったまま俺の両肩をガシッと掴んだ。
え? 俺なにか変な事を言ったか? ちょっとクリスティー先生の、綺麗なお顔のドアップは耐えられない。思わず目を逸らしてしまう。それでもクリスティー先生は俺を見ていた。
「ロロは魔力視ができるのですか?」
「え? なんだよ、それ」
「えっちょぉ」
「いつからですか?」
「わからないのら」
即行でバレてしまった。バレバ~レなのだ。さっきお昼寝で泣き虫女神から聞いたばかりだというのに。
俺が、ああそうなのか。と、思ったのは今日だ。ニコ兄がピコピコハンマーに、魔力を流すのが見えたから。女神に言われて、あれがそうなのかと思った。
ブラックウルフが現れたのは、ルルンデのお祭りの夜だ。そんな頃から魔力視が使えたという事なのかな?
そんなの知らなかった。いや、きっとそんな事はないはずだ。だってあの後女神は何も言っていなかったもの。
あ、もしかして忘れていたか? どうだろう? 有り得るからなぁ。あの女神はボケボケだから。
お読みいただき有難うございます!
クリスティー先生のピコピコハンマーの検証でっす。まさかこんなにピコピコハンマーを引っ張る事になるなんて^^;
軽い気持ちで出したピコピコハンマー。良い仕事をしてくれています。
音は、かっこよくない音をと考えました。
ロロのお話では『かっこいい』は敢えて避けています。ちょっぴりお間抜けな感じがロロです。
いつも感想を有難うございます!
もう12月ですね。今年も過ぎていってしまいます。今年は必死で改稿していた記憶しかないような( ̄O ̄;)
皆様、風邪などひかないように、体調には気をつけてください。
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宜しくお願いします。
もうすぐロロ②の初稿ができます。小さな修正はしているものの、どこをどう直せば良いのか分からず(-。-;
結局、いつも担当編集さんに頼ってしまってます。
昨日、ロロの初稿はどんな感じですか?と聞かれたので、そろそろ仕上げないと!
次はリリ⑥の初稿かなぁ?リリは大変なのです。何年も前に書いた作品なので。
来年の発売を楽しみにして頂けると嬉しいです。
また、年内にご報告できる事もあるのです。ふふふ(^○^)




