362ーですでっす~ッ!
そんな俺達を見ていたラン爺達。
「アハハハ! ニコ、ロロ、良い子だ!」
「ラン爺なんだよ」
「いや、本当に君達は良い子達だ。私の子供にしたいくらいだよ」
「ランベルト! 何を言う! それなら私の子だ!」
「いや、父上と叔父上だと歳があれでしょう! それなら私です!」
ラン爺とフリード爺、イシュトさんだ。ふふふ、そんな嬉しい事を言ってくれるのか。
「もう、何を言っているのですか」
ネリアさんが呆れてしまっている。
「そうですよ、侯爵がおられるのでっす」
「おう、そうだった」
「でも、私も子供にしたいでっす」
クリスティー先生まで何を言っているのだ。
「アハハハ! お祖父様とお祖母様が聞いたら何て言うだろうな」
「テオ様、それは対抗意識を燃やされるでしょう」
「だよな」
テオさんとジルさんも一緒にオヤツを食べている。こっちに来てからあんまり一緒にはいないのだけど。
何をしているのか、二人ともあんまり見かけない。まさかずっと鍛練していたりはしないだろう?
「テオ様は早くランクを上げて頂かないと」
「ジル、頑張ってるじゃないか」
「ですが、まだまだですよ」
「分かってるっての」
この様子だと、本当にずっと鍛練していたらしい。大変だね。俺はまだちびっ子で良かった。
「ふわ~……」
「ロロ、お昼寝できなかったから眠いんだね」
「うん、れおにい」
よくもった方だ。いつもならお昼を食べた後は爆睡なのに、今日はオヤツまで食べたぞ。お目々がショボショボしてきた。
オークが出るまで少し寝ていたけど。それでも、よく起きていたよ。頑張ったのだ。
「ロロを寝かせてきます」
「レオ、私も行きまっす」
ん? どうしたのかな? クリスティー先生が一緒に来るなんて。
「ロロ、一緒にお昼寝しましょう。起きたらそのピコなんとかを見せてください」
「うん、しぇんしぇい」
一緒にお昼寝だって。なんだかディさんみたいなのだ。
レオ兄に抱っこされてベッドに入る。俺の横にクリスティー先生が寝転んだ。フワリと良い匂いがする。ディさんもこんな匂いだった。
「しぇんしぇい、でぃしゃんとおなじにおいが、しゅるのら」
「おや、そうですか?」
「うん。あんしんしゅるのら」
「ふふふ、疲れたでしょう? ゆっくりやすみなさい」
「うん、おやしゅみ」
「はい、お利口でっす」
クリスティー先生が俺の身体をトントンしてくれる。レオ兄が俺の額にかかった短い前髪を、そっと撫で上げてくれる。二人の優しい手が気持ち良くて、俺は直ぐに眠った。
「無事で良かったのですでっす~ッ!」
また、ですでっす~て何だよ。クリスティー先生の口調を、ちょっと取り入れてみましたって感じなのか?
相変わらずピカピカとした綺麗な長い髪を靡かせながら、女神が抱きつこうとして走って来た。もちろん、いつも通りヒョイと避けた。またまたいつも通り、お顔からスライディングしていく女神。
「あばばばばーッ!」
だからね、俺が避けるの分かってないのかな? もう分かっていても良いと思うのだ。何度も何度も同じ事を繰り返しているのだから。
その度に花びらを散らしてしまう、お花がかわいそうだ。
そしてまたいつもの様に、何もなかった様な顔をしてスクッと立ち上がり歩いてきた。
「怪我がなくて良かったのです!」
「うん、ぴかはちゅよいからね」
「わふ」
「ふふふ、ありがと」
ピカさんはいつもかっちょいい。あれくらい、どうって事ないよ。なんて言っている。
あの女神の神使にしておくのは、勿体ないのだ。
「馬車の屋根に乗るとは驚きました。でもピカちゃんが役に立って良かったのでっす」
まただ。絶対クリスティー先生の真似をしている。完璧に態とだ。
「あのエルフも、辺境伯領は長いのでっす」
「うん、しゃんびゃくねんっていってたのら」
「もう少し前からなのです」
「しょんなになの?」
「はい。あのエルフがあの地にいてくれるから、魔物も外に出てこないのでっす」
そうなのか? それってクリスティー先生に、自由がないって事にならないか? 辺境伯領に縛り付けていないか? それはどうなのだ?
「そんな事はないのです。もうあのエルフがいなくても、あの領地は大丈夫なのでっす。でもあの一家を気に入っているのでっす」
「しょうなのら」
「そうなのでっす」
クリスティー先生が『でっす』と言っていても何とも思わないのだけど、女神が言うと無性にムカつくのはどうしてだろう? 癪に障るというのだろうか。
「びえッ! 塩対応なのです!」
また両手で顔を覆いながら仰け反っている。それだよ。そういうところを直す方が良いぞ。
「でも……」
あ、もう立ち直った。平然として、話しだした。相変わらず立ち直りは早い。
「ピコピコハンマーは凄いのです」
「ね~、ちゅよいのら」
「はい! ロロの力作ですね!」
「しょうなのら」
「それに鑑定眼とまではいかないですが、ロロは魔力視ができるようになりましたね」
「まりょくし?」
「今日ニコがピコピコハンマーに、魔力を流すのが見えたでしょう?」
そういえばそうだ。何故かニコ兄がピコピコハンマーに魔力を流すのが分かった。それが魔力視なのか?
魔力視とは、魔力の流れや多いか少ないかを見る事ができる。
最初はニコ兄が魔力を流すのに手間取っていた。それも分かった。魔力が上手く流れていないのが分かったのだ。
そんな事を見て分かるのが魔力視らしい。
お読みいただき有難うございます!
もうタイトルで誰が登場するのか分かってしまいますが、女神の登場でっす。
ロロはまだちびっ子なので、ハルちゃんみたいに物理的に強いという訳ではないです。ハルちゃんもちびっ子なのですけどね、彼は特別です。
ロロなりに成長してもらおうかと。^^;
まだもう少し辺境伯領でのお話になります。まだ回収できていない事もありますからね〜
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久しぶりに泣くロロを抱っこしているレオのイラストをどうぞ〜!




