360ー怒られちゃった
「りあねえ! れおにい!」
「おー! リア姉、レオ兄!」
ニコ兄もテンションが上がって、ピコピコハンマーを持った手を振っている。だって、俺達だってやっつけた。
ピコピコハンマー魔法バージョンで、オークを何頭もやっつけたのだ。
もう終わりだとニコ兄が言っていたように、俺もそう思って気が緩んでいた。
「わふっ!」
急にピカさんがシュタッと馬車の屋根から下りたと思ったら、近くの草むらからオークが飛び掛かってきた。
び、び、びっくりなのだ! どうしよう!? 身体が動かない。
オークの豚さんの様な鼻が直ぐ近くに見えたから、思わずギュッと眼を閉じてしまった。手はピカの毛をヒシッと掴んでいる。ニコ兄も俺をギュッと抱き寄せていた。
なのにピカさんは、とっても冷静だった。
「わおん!」
ピカが軽く一鳴きした声が聞こえた次の瞬間に、ドサッと音がした。あれれ? と、思って眼をそっと開けてみるとオークが倒れていた。ピカが風の刃で倒してくれたのだろう。
隠れていたのかな? それとも逃げ遅れたのか? とにかく馬車を狙っていたらしいオークを、ピカがやっつけてくれた。ちょっぴり心臓がバコバコしてしまったぞ。
「ぴか、ありがと」
「スゲーな!」
「わふん」
もういないから大丈夫だよ。と言っている。やっぱピカはかっちょいい。
「ニコ! ロロ!」
「大丈夫なのか!?」
リア姉とレオ兄が慌てて走ってきた。今のを見ていたのだ。
「怪我はないの!?」
「リア姉、大丈夫だぞ」
「ぴかが、やっちゅけてくれたのら」
「二人共、どうして馬車の屋根なんかに乗っていたんだよ! 危ないじゃないか!」
「らって、れおにい。やっちゅけたのら」
「え?」
「俺達もピコピコハンマーで、オークをやっつけたんだぞ!」
「だから馬車の屋根に乗ってたの!? そんなに危険だったのに外に出たの!?」
あ、怒られちゃった。いかん、リア姉の眼が真剣だ。やばい雰囲気なのだ。
「ニコ! ロロ!」
「おう」
「あい」
リア姉に呼ばれて、ニコ兄と俺は並んで整列だ。ピシッとお手々は横に、背筋をピンと伸ばして気をつけをする。
「馬車の中にいなさいって、レオが言ったわよね!?」
まずい。リア姉が本当に怒っているぞ。
「2人が馬車の上に乗っているのを見て、驚いたなんてもんじゃないわよ。ゾッとしたんだから!」
「らって、たかいところにって……」
「高い所じゃないの。馬車から出ないでと言ったのよ?」
「あい」
「ピカも付いていたのに! 背中に乗せて何してるの!?」
「くぅ〜ん」
リア姉にギロリンと睨まれて、ピカまで並んで背筋を伸ばしてお座りしている。でも尻尾が、体に沿って丸まっちゃっている。
「こんな時は大人に任せていれば良いのよ。危険な事をしないで」
「ごめんしゃい」
「けど、リア姉! 俺達だって守りたいんだ! な、ロロ」
「しょうなのら!」
俺達だってやっつけたのだと、ピコピコハンマーを自慢気に掲げる。胸を張って、もう片方の手は腰だ。
「ぴこぴこはんまー、ちゅよいのら」
「な、超強いよな!」
ニコ兄と一緒に勝利のポーズだ。ちょっぴり、かっちょいいだろう?
「アハハハ! ロロ、やっつけたんだ」
「うん! れおにい、きゅぽぽんって」
「え? 叩いたのか?」
「ちがうのら、まほうばーじょんなのら」
「そうだぞ。魔力を込めて飛ばしたんだ。でもなんでか、あの音は鳴るんだよ」
「アハハハ!」
「やだ、レオ。何笑ってるのよ。ニコとロロが危なかったのよ」
「姉上、大丈夫だよ。ピカがいるもの」
「そうだけどぉ。でも二人も戦ったのでしょう?」
いや、戦ったとは言えない。馬車の屋根の上から、魔法を飛ばしただけだから。
それにピカさんが、ほとんどやっつけていたし。ほんの少しだけなのだ。
「もうマリーは心臓が止まるかと思いましたよ」
「本当よ、びっくりしたわ」
「二人で飛び出して行くんだもの」
マリー達三人は、目の前で見ていたからそう思ったのだろう。でも大丈夫だ。だってピカがいるもの。
「ニコ、ロロ、怖くなかったですか?」
クリスティー先生も戻ってきた。涼しい顔をしている。オークキングなんて、相手にもならないといった感じか。実際、あっけなく倒していた。髪も服も全く乱れていない。
「しぇんしぇい、ちゅよいのら!」
「おう! 超カッケー!」
「そうですか? オークキング如き、どうって事はありませんよ」
ニッコリとしている。本当に相手にならないのだ。エルフさんってどれだけ強いのだろう? ディさんだってとっても強かった。
「ちょっと奥様を見てきますね」
そうそう、ネリアさんだ。大丈夫なのかな?
クリスティー先生がネリアさんの馬車に行っている間に、フリード爺とラン爺も戻ってきた。
ネリアさんもなんともなく無事で、みんな揃ってお邸に戻ってきた。
「みんな無事なんだね、良かったよ」
「おう、びっくりしたな」
「怖くありませんでしたか?」
お邸の守り担当で残っていたユーリさん、テオさん、ジルさんが剣を持って庭に出ていて出迎えられた。
「父上、やはり魔物が入ってきたのですか?」
「ああ、オークだった。オークなど、どうって事ないぞ! こっちは何ともなかったようだな!」
「はい、父上」
イシュトさんだ。領主隊と一緒に真っ先に突っ込んで行ったイシュトさんも、とんでもなく強かった。オークを首チョンパなのだから。
お読みいただき有難うございます!
やっぱり雷が落ちました。誰にお説教させるか考えたのですが、やっぱリアにしました。
それでもニコとロロは懲りていませんね。^^;
ポーズをとったりしてます。
ニコとロロは良いコンビに育ってくれました!
いつも感想を有難うございます!
皆様の思っておられる事がよく伝わります。それで先のストーリーをちょっと変更したりもあるのですよ。あ、ゴーレム忘れてた!と、思い出す事もあるのです。^^;
有難うございます!
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宜しくお願いします。
ロロ①発売の余韻に浸る間もなく、②の作業に。なかなか進まない(T . T)




