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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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36ー遊んだのだ

 ピカを狙われる騒動はあったけど、もういつも通りの毎日なのだ。

 変わった事といえば、ニコ兄が育てた野菜をたいそう気に入ったディさんが、時々食べに来るようになったのだ。


「ここのお野菜が恋しくて来ちゃった!」


 なんて言いながらやって来る。大好物なのだろうな。

 いつも手土産を持ってきてくれるし、賑やかになって俺は大歓迎なのだ。

 ディさんは、本当に沢山の野菜を食べる。あの細身の体によくそれだけ野菜が入るな、と思うくらいに食べる。お肉も食べるけどね。


「美味しいお野菜があるからこそ、お肉が引き立つんだよ~」


 と、訳の分からない事を言っている。

 あの後、ギルマスとディさんが連名で領主に抗議をしてくれた。

 ディさんは影響力があるらしい。だってこの街で唯一のSSランクなのだから。

 俺は知らなかったのだけど、SSランクって今はエルフしかいないそうだ。国に3人しかいない。その中の1人がディさんだ。凄いのだ。

 一代限りの騎士爵を叙爵される話もあったそうだ。なのに、ディさんは辞退したのだ。


「僕はエルフだからね。いつまでこの街にいるかも分からないし。爵位なんて興味ないんだ。エルフの国には、爵位はないんだよ」


 と、話していたのだ。

 そんなディさんとギルマスが連名で、訴えた。簡単に無かった事には出来ないという事らしいのだ。

 そして、実際にピカを狙ってきた男は、アッサリと事情を話したそうだ。

 俺は詳しい事は知らないのだ。

 でもいつも通り、マリーと2人でまた出掛けられるようになった。

 今日も、ビオ爺のいる教会まで来ている。今日はピカも一緒だ。ピカは一気に有名人……じゃなくて有名犬になってしまったのだ。

 教会まで行く途中で、何人もの人から声を掛けられた。

 みんな、連れて行かれなくて良かったな。綺麗な犬だね。て、言ってくれる。

 ビオ爺も、ピカが狙われた事を知っていたのだ。


「聞いたぞ。大変だったな」

「あらあら、もう知っているの?」

「そりゃそうだ。街でえらい噂になっていたからな。あの令嬢も、とうとう終わりじゃないかって話だ」


 『終わり』て、どういう意味なのだ? 物騒だな。


「今までも散々やらかしているんだ。さすがに罪には問えないだろうが」

「びおじい、まらこどもら」

「ん? レベッカ様か?」

「しょう」

「それでも、悪い事をしたらちゃんと叱られて理解して反省しないとな」

「ん……」


 ビオ爺の言う通りだ。子供だから、領主様の娘だから何でも許される訳ではない。

 でも、今まで有耶無耶になっていたのではないか? だから、こんな事になっているのではないかと俺は思うのだ。

 ま、今日はそれよりも……


「まりー、お肉」

「あらあら、そうでしたね」

「なんだ?」

「お肉のお裾分けがあるのよ。リア嬢ちゃまとレオ坊ちゃまが沢山獲ってきて下さったから」

「おおー、肉か! そりゃ悪いな」

「びおじい、だしてもいい?」

「ん? 構わないが、どこに持っているんだ?」

「ぴか、だして」

「わふ」


 ドドンと、何もない空間から肉の塊が出てきた。ちゃんと包んであるのだよ。

 ピカが収納している間は腐ったりしないんだけど、こうしてお裾分けする時は腐り難くなる葉っぱに包んでおくのだ。


「な、な、なんだッ!? 今どっから出てきた!?」

「ぴか」

「なんだって!?」

「ちゃんと血抜きもしてあるのよ。直ぐに焼いて食べられるわ。あ、そうそう。このお肉を包んでいる大きな葉っぱがね、腐り難くしてくれるのよ。うちの家の周りに生えていて……」


 マリーが説明しているけど、ビオ爺は聞いていないと思うよ。だって、ポカーンと口を開けたまま固まっているから。


「ピカって、このピカか?」


 ほら、聞いてないや。


「しょう。ひみちゅ」


 俺は人差し指を立てて、プルンとした唇の前にもってきてプニッとくっ付けた。秘密なのだ。


「お、おう。秘密か」

「うん、ひみちゅ」

「アハハハ! そりゃ秘密だよな!」


 おや、笑ってしまった。面白いか?

 

「肉は助かるぜ。子供達が、育ち盛りでよく食うんだ」

「リア嬢ちゃまとレオ坊ちゃまが狩ってきてくださるのよ」

「ほう、この肉はいいサシが入っているじゃないか。美味そうだ」

「うまうまら」

「そうか、美味いか! アハハハ」


 うん、こんな平和が1番だ。

 ビオ爺と話していると、ハンナがやって来た。猫耳の子供達も一緒だ。


「あら、マリーさん、ロロ。来ていたのですね」

「あー、ロロ」

「一緒に遊ぼうぜ」

「まりー、いい?」

「はい、構いませんよ」


 俺は、猫耳の子供達の方へトコトコと走って行った。

 一緒に教会の裏に出て、庭で遊ぶ。


「鬼ごっこしようぜ」

「ロロはまだちびっ子だから俺と一緒な」

「うん」

「わふ」


 1番年上っぽい子に手を繋がれて参加だ。と言ってもニコ兄と同じ位だろうか? 子供と遊ぶ事なんてないから、何だか楽しい。ワクワクするのだ。

 ピカは退屈そうに、木陰に歩いて行った。


「あらあら。ロロ坊ちゃま、転けないでくださいよ」

「まりー、らいじょぶら!」


 俺が子供達に混ざって遊んでいるのを、マリーとビオ爺が見ていた。ハンナは女の子達と一緒に木陰で絵本を読んでいる。そのそばでピカが寝そべっている。

 わふぅ~っと大きな欠伸をしている。


お読み頂き有難うございます。

今日のイチオシはロロの『ひみちゅ』です。

可愛くないですか?^^;

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいでっす。

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 可愛いですね〜。他の作品でも、ちみっこ達の描写が素晴らしく「あ〜、そうそれあるある」と、いつもほっこり楽しんで読ませていただいております。
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