355ーマナーのお勉強が必要
「まりー、こんろいっしょにちゅくろう」
「はい! ロロ坊ちゃま」
ふむ、美味しいマヨネーズの為なら頑張るぞ。確かシャカシャカするのも面倒だったはずだ。
「ロロが一緒に作るのなら大丈夫だわ」
「姉上、そうだね」
「リア嬢ちゃまも一緒に作りますか?」
「やだ、私は良いわよ」
「リア嬢ちゃまはお好きなのに」
「エルザ、食べるのが好きなだけなの」
はいはい、リア姉に作れるとは思っていないのだ。
「ロロはお料理もするのかしら?」
ニコニコしながら、話を聞いていたネリアさんに聞かれた。
「れきないのら。おてちゅらいしゅるらけなのら」
「あらあら、そんな事はないですよ。ロロ坊ちゃまが作ったクッキーは美味しいです」
「まあ、クッキーを作れるの?」
「うん。まりーといっしょに、こねこねしゅるらけ」
あと材料を、ちゃんと計るのが俺の役目なのだ。
ちょっと待って。そんな事よりこれは!? マリー達が並べてくれていた中にある、茶色い奴を見つけた。思わず俺はそれを、フォークにぶっ刺してハムッとかぶりついた。
サクッと軽い良い音がする。衣がカラッとしていて、中からジュワッと肉汁が出てくる。
「からあげなのら!」
「ロロは食べた事なかったか?」
「ないのら!」
しまった。食べた事がないのに、どうして知っているのかって事になってしまう。
「ふふふふ」
またクリスティー先生が意味深に笑っている。もう助けてくれないらしい。
「きっと魔魚の唐揚げを、覚えていたのではないですか?」
「まりー! しょうなのら!」
ふぅ~、マリーったら天然のアシストだ。そうだった、魔魚の唐揚げを食べたぞ。マリーが粉をドバーッと、ぶっ込んで作ったのに美味しかった唐揚げ。
「え!? 魔魚なの?」
「はいはい、そうなんですよ」
俺達がルルンデの森にある川で、魔魚を取ってきた話をマリーがした。
それを聞いてネリアさんが、宝石の様なガーネット色の眼を大きくしながら驚いていた。
「貴方達はなんて危ない事を」
「ディさんも一緒だったから平気ですよ」
「そうね、あの時は一緒だったわね」
「あら、あの時は? じゃあ一緒じゃない時もあるのかしら?」
いかん、リア姉。せっかくレオ兄が心配掛けないようにディさんの名前を出したのに、そんな言い方をしたら駄目じゃないか。
ネリアさんの後ろに魔王が降臨しかけているぞ。
「リアちゃん、あなたは思った以上に令嬢としての教育が必要みたいだわ」
「え……」
ほら、ほぉ~ら。ネリアさんに魔王が降臨してしまった。
でも、リア姉は教わる方が良いと思うのだ。平民と婚姻するとは限らない。この先レオ兄が家を継いだとしたら、リア姉だってこのままという訳にはいかないだろう。
「ニコ、ロロ、二人とも自分は関係ないみたいなお顔をしているけど、貴方達も同じよ」
おっと、俺達にまで飛び火したのだ。でも、そうなのか。レオ兄が領主様とかになったら、俺達だって貴族に戻る事になるだろう。そうしたら、どうしよう?
もうピカに乗ってドルフ爺の畑をお散歩するなんて、できないかも知れない。
「ロロ、ずっとちびっ子でいる訳ではないのでっす」
「しぇんしぇい」
クリスティー先生の言う通りだ。俺やニコ兄だって成長する。このままちびっ子のままという訳ではない。そうだった。なんだか、他人事みたいに感じていた。
このままではいられない。それをとっても実感してしまったのだ。
「ですから、ロロ。今すぐどうこうではないと言ったでしょう?」
「しょうらった」
いかん、俺は少し神経質になっているのかな? いつも以上に悲しい気持ちが直ぐに出てきてしまう。いつもと環境が違うからかな?
「今は楽しい事だけ考えていても良いのでっす」
「しぇんしぇい、しょう?」
「はい。そうですよ」
そうか、せっかく遠くから俺達を迎えに来てくれるお祖父様やお祖母様に、泣き顔を見せるのもどうかと思う。笑って、こんちわ~と言うのだ。
「ボクはろろ」
「アハハハ! ロロまた練習かよ」
「らって、にこにい。おじいしゃまとおばあしゃまに、あったらいうのら」
「おう、そうだな」
そうだ、笑顔で言うのだ。『ボクはろろ』小さな手をフリフリしながら自己紹介しよう。
「はいはい、食べてしまいましょうね」
「うん、まりー」
食べよう。折角のぶどう狩りなのだ。沢山ぶどうも収穫した。美味しいぶどうジュースもある。
この世界で初めてのマヨネーズ。ルルンデの街では滅多に食べられないエビ。
「とっても、うまうまなのら」
「美味しいな」
ニコ兄と一緒にモグモグと食べる。そしてデザートはさっき捥いだばかりのぶどうだ。
お口をタコさんみたいにして、プニッと指で実を押し出してお口に入れる。
「うまうま!」
「な、めっちゃ甘いな!」
と、いうニコ兄は俺みたいに一粒ずつではなく、房に齧り付いている。ニコ兄も豪快だ。
「一粒ずつって面倒だろう?」
なんて、言っている。ニコ兄は、ずっとドルフ爺と一緒にいるから似てきたか?
「ニコ、なんて食べ方をしてるんだよ」
「だってレオ兄、面倒でさ。それに口の中いっぱいに入れる方が美味いし」
「もう、ニコったら」
レオ兄とリア姉に笑われながら、ニコ兄はガブリとぶどうに齧り付く。
俺はその隣で、一粒ずつプニッと出して食べている。これだって美味しいのだぞ。
お読みいただき有難うございます!
今日は想像力をめっちゃ働かせてください!
ポテッとした唇をむにゅっと尖らせて、ぶどうの小さな一粒をぷくぷくとした指でプニッと押し出して食べるロロを!ついでにほっぺも、ぷくぷくですよ!(何言ってるのか分からない^^;)
擬音が多くて本文には書かなかったので、こちらに書いてみました。
いつも感想を有難うございます。励みに頑張りまっす!
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宜しくお願いします。
Xで公言すれば叶うかも、とあったのでこちらでも大きな声で言いたい!
重版したい!
アニメ化したい!
したいです!
失礼しました。^^;
ロロ①好評発売中です!是非!webにはなかったお話でポロッと泣いて頂ければと!




