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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第6章 辺境伯領に行ったのら

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354ーマリーは大雑把だから

 とっても綺麗に盛り付けてあるサンドイッチのお弁当。これはマリーが作ったのではないな。


「あらあら、ロロ坊ちゃま。お邸のシェフですよ」

「やっぱり」

「ロロ、それは言ったら駄目だぞ」

「あ、いっちゃった」


 あ、いけないと、小さな両手でお口を塞ぐ。塞いでも、もう遅いのだけど。そんな俺を見て、ネリアさんがふふふと笑う。


「構いませんよ。私が作ったら大きくなりますものね」

「あら、大きくなるの?」

「けろ、まりーのも、うまうまなのら」


 マリーが作るサンドイッチはこれ位と、手で大きさを表す。俺の小さな手で持つと、本当に大きいのだ。


「まあ、そんなになの?」

「しょうなのら」

「あらあら、恥ずかしいです」


 でも、エルザとユーリアも笑いながら頷いている。本当に大きいからね。あれを半分に切れば良いのだ。


「ロロ、食べよう」

「うん」


 これはアボカドとエビのサンドイッチだ。エビなんてルルンデでは、滅多に手に入らない。

 だってルルンデは海が遠いから、輸送している間に傷んでしまう。

 そこで高級品であるマジックバッグを持っている大店の商店が、態々貴族向けに仕入れて海産品を販売している。

 マジックバッグがあって、腐らないといっても海まで距離がある。だからお高くて、食べられるのは限られた貴族だけだ。

 そのサンドイッチに、ハムッと齧り付いて俺は驚いた。


「こ、これ、まよねーじゅ!」

「あら、ロロは知っているの?」


 あ、いかん。驚いてつい口に出してしまった。この世界では珍しいのかな? 兄弟で俺だけ知っているって不自然だ。


「ロロ、なんで知ってんだ?」

「えっちょぉ……」

「私が教えたのですよ」


 そう言いながらクリスティー先生が歩いてきた。イシュトさんは、どこに行っていたか知っているみたいで声を掛けている。


「クリスティー先生、もう良いのか?」

「はい、今年も良いワインができそうでっす」

「シゲ爺、できたらまた邸に持ってきてくれ」

「おう、分かってるぞ」


 どこに行っていたのかと思ったら、クリスティー先生とイシュトさんはワインが目当てだったらしい。


「しぇんしぇい、ぶろうをとったのら」

「沢山採ったぞ」

「ニコもですか?」

「おう! めっちゃ甘かった!」

「おやおや、もう食べたのですね」


 ふぅ、マヨネーズの件はクリスティー先生が助けてくれた。でもこれってクリスティー先生は、分かっているって事に決定だ。

 俺の前世に気付いているのではないかな? でないとこんな事は言わないだろう。

 そう思ってクリスティー先生を見ると、バシコーンとウインクをされた。

 これはディさんよりも破壊力がある。だって、とっても綺麗にウインクをするから。まるでどこかのアイドルだ。

 ディさんがウインクをする時は照れ隠しの時もある。少し照れながらウインクするのだ。

 でもクリスティー先生に照れは全く感じられなく、思い切りバシコーンされた。思わず眩しく感じてしまうくらいだ。

 ウインクの意味は、黙っていてくれるという事だと思う。でもちゃんと、クリスティー先生とお話しできたら良いな。

 このマヨネーズもクリスティー先生が話してくれた、辺境伯家のご先祖様の令嬢が開発したものなのだそうだ。この領地から広がった。

 だからこの国では、一応知られている。だけどこれも日持ちがしないので、庶民の間ではあまり使われないらしい。

 卵をプリンにするよりは食べるのと同じで、マヨネーズにするよりは食べるのだ。


「懐かしいわね」

「そうだね、姉上」

「お邸にいた時は、時々食べたよな」


 リア姉とレオ兄、ニコ兄は食べた事があるらしい。お邸に住んでいた頃、まだ両親が元気だった頃だ。やっぱ貴族だったのだなと、変なところで思った。

 この世界で初めて食べたマヨネーズ。とっても濃厚で美味しい。

 プリプリのエビとクリーミーなアボカドに、シャキシャキのレタス。懐かしい味だった。

 それに定番の卵とベーコンの、サンドイッチもある。今日のサンドイッチは大きくないから、俺はどっちも食べよう。

 

「うまうまら」

「な、美味しいな」

「本当、とっても美味しいわね」

「姉上はマヨネーズが好きだよね」

「レオもでしょう?」

「そうだけと、僕よりニコの方が好きだろう?」

「マヨネーズを嫌いな人なんていないぞ!」

「アハハハ、ニコ、そうだね」


 やっぱこの世界でもマヨネーズは人気だ。


「『うまいルルンデ』でも使ってますよ。大人気です」

「エルザ、『うまいルルンデ』にあるの?」

「ありますよ、数量限定ですけど。毎朝決まった量だけオスカーさんが作ってます」

「そうなのね。今度食べに行きましょうよ」

「本当だね」


 意外にも、とっても身近なところにあった。マヨネーズって作るのに、そんなに手間が掛からなかったと思うのだけど。


「おばあちゃんは、一気に全部入れちゃうから」

「あらあら、ユーリア。それを言わないでちょうだい」

「ふふふ、マリーはそうなのね?」

「ワッハッハッハ!」


 またシゲ爺が笑っている。マリーはどうも大雑把だから分量をちゃんと計らないし、なんでもドバーッと入れる。クッキーやパンケーキを作る時もそうだ。


お読みいただき有難うございます!

マヨネーズの作り方をご存知ですか?卵黄、お酢、塩をしっかりと混ぜたものに、サラダ油を少しずつ入れて混ぜるそうです。ここがポイントです。ご存知の通り、マリーは大雑把です。

一つ一つの工程を丁寧にというのが苦手なのですね。一気に材料をドバッと混ぜてしまって失敗します。

それを知っているから、誰もマリーに作って欲しいとは言いません。^^;

いつも感想を有難うございます!

楽しみにさせて頂いてまっす!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


Amazonさんにレビューして下さった方、有難うございます!まだの方は是非レビューして頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
大雑把でもマリーの料理には、愛情たっぷりですから良いんです。 (^O^☆♪ マヨネーズ良いですよね。何にでも合うし応用が効きますもね。 もしかしたら、ココちゃん南蛮漬けのレシピ有りました❓…
ちょっとごめんなさいなのですが >>「卵をプリンにするよりは食べるのと同じで、マヨネーズにするよりは食べるのだ。」 って、卵の消費はプリンよりマヨの方が多く使われ食べられる……みたいな表現ってこと…
ディさんよりも破壊力のあるバシコーン☆ウインクが存在するとは
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