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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第6章 辺境伯領に行ったのら

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353ーお昼ごはん

「いろんな品種があるんだ。ここで作っているワインはこの国では有名なんだぞ! ワッハッハッハ!」


 それは凄い。食べるぶどうと、ワイン用のぶどうは違う。

 確か、ワイン用は発酵させなければならない。その為に皮が大事なのだ。それに水分が多すぎても、ワイン用には向かない。

 対して、食用は水分が多くて皮は薄い方が良い。シャインマスカット等は皮も食べられる。

 其々に研究したのだろう。これは途方もない事だ。

 だってこの世界には、PCもないし調べる機器など何もないのだから。


「この地は元々よく育つ土地なんだ。普通に甘くて美味いものができる。だがな、もっと安定して美味いものを、とご先祖様が頑張った成果だ! ワシはそれを誇りに思っている。それを守り、もっと良くできないかと研究を続けているんだぞ」

「スゲーな!」

「おう、ニコは分かるか!?」

「分かるぞ! ドルフ爺も、同じ様な事をしているからな!」


 え、そうなのか? ドルフ爺もそんな事をしていたのか?


「ドルフ爺も、野菜をもっと美味しく、虫や病気に強い品種をってやってるぞ」

「そうか! ワッハッハッハ!」


 根気よく向きあい、常に良くしようと研究し続ける意欲。それは誰にでもできる事ではない。俺も研究者だったから少しは分かる。

 思う様な結果が出なくて、それまでの膨大な時間が一瞬で無になった時の虚しさといったら。

 そんな事を何度も何度も繰り返してきたのだろう。


「しげじいも、どるふじいも、しゅごいのら! はかしぇなのら!」

「あぁ? あんだって?」


 まだ分からないか? 折角褒めているのに。


「ロロはシゲ爺もドルフ爺も、博士だと言っているんですよ」

「ワッハッハッハ! 博士か! そんな大したもんじゃねーぞ」

「しょんなことないのら」


 そんな話を聞きながら、俺達は借りた籠いっぱいにぶどうを採った。

 果樹園とぶどう畑の間に休憩所の様な建屋があって、そこでのんびりと辺境伯夫人は待っていた。優雅にぶどうジュースを飲みながら。


「あ! ねりあしゃん、ぶろうじゅーしゅのんれる!」

「ふふふ、ロロもいらっしゃい。美味しいわよ。搾りたてですって」

「ひょぉー!」

「俺も!」


 ニコ兄と一緒にテケテケと走って行く。

 地面が舗装されている訳ではないから、でこぼこしていて走り難い。でも、こんな自然の中って、とっても気持ち良い。ルルンデとは違う匂いだけど、風も爽やかだ。

 俺が走るすぐ側をピカも付いてくる。俺は一生懸命走っているのに、ピカは余裕だ。

 フサフサの尻尾をユラユラと揺らしながら、小走りといった感じだ。

 ピカのプラチナブロンドの体毛が、お日様の光でピカピカと光って見える。


「ピカは本当にかっこいいわね」


 俺達と一緒に走って来たピカを見て、ネリアさんが言った。

 

「珍しい毛色だし、お利口だわ。ロロを守っているのね」

「おともらちなのら」

「まあ、とってもかっこいいお友達ね」

「うん」


 ヨイショとネリアさんのお隣に座る。


「ロロ坊ちゃま、ぶどうジュースですよ」

「まりー、ありがと」


 お邸で飲んだぶどうジュースとは色が違う。ポピュラーな濃い紫のぶどう色をしている。


「きのうのと、いろがちがうのら」

「そうね、このぶどうジュースの方が甘くて濃いわよ」


 ほうほう、ぶどうで例えると昨日のはシャインマスカット。今日のは巨峰といった感じだろうか? それをコクリと一口飲んだ。


「う、うまうまら!」

「めっちゃ濃いな!」

「ワッハッハッハ! そうだろう! 今年のは特に甘いんだ!」


 シゲ爺が自慢そうだ。昨日のグリーン色したぶどうジュースは、どちらかというと爽やかな風味だった。

 今日のはとってもコクがあって濃厚で、こっちの方が甘い。

 これだけの広さの果樹園を管理するのは大変だろう。その上、品種改良までしている。それって、とんでもない事だぞ。


「しげじい、しゅごいのら! やっぱ、はかしぇなのら!」

「あん? あんだって?」


 またどこかの、おじさんみたいになっている。


「シゲ爺、ロロはシゲ爺が凄いと褒めているのよ」

「そうか! ワシは凄いか! ワッハッハッハ!」


 何を言っても笑っている。この豪快さはフリード爺と同じだ。

 この広大な領地で育つと、ああなるのかな? いや、そんな事はないだろう。

 それならこの領地は、シゲ爺とフリード爺みたいな人ばかりになってしまう。そんなの煩くて仕様がない。


「幼い頃は、フリード様に剣を教えたりもしたんだ。だがもうあっという間に、追い越されてしまった。あの方の剣のセンスはとんでもねー」

「ひょぉー!」

「かっけーな!」

「そうなの!?」

「もう、姉上まで」


 俺とニコ兄が驚いていると、リア姉まで身を乗り出して驚いていた。剣の話になると、放っておけないらしい。

 リア姉は一応、令嬢なのだからね。分かっているかな?


「リアはもっと、マナーを学ばないといけないわね。ふふふ」


 ほら、ネリアさんに言われちゃった。


「え、ネリア様。そんなー」

「私が直々に教えたいわ」

「ええー」


 ワッハッハッハとシゲ爺が笑っている。ネリアさんはリア姉の事を心配してくれているのだ。ちょっぴり眼が怖いけど。


「さあさあ、休憩したらお昼にしませんか?」

「まりー、たべるのら」

「お腹空いた!」


 マリーとエルザとユーリア達が持ってきてくれていた。他にもメイドさんが数人。みんなで休憩場のような建屋でお昼だ。


お読みいただき有難うございます!

変なおじさん、もう知らない世代もいるのでしょうか?

ついつい「あんだって?」と書きたくなってしまいます^^;

今日と明日でハルちゃん仕上げるぞー!

来週はロロの初稿も仕上げたいぞー!

頑張りまっす。

いつも感想を有難うございます。励みにさせて頂いてます。

誤字報告も助かってます。有難うございます。

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


毎日ロロ①の在庫をチェックしてしまい、一喜一憂してしまうこの性格をなんとかしたい。基本、小心者で^^;

真っ赤なトマトとニコが眩しいイラストを。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
久々のもふも……あんまり出ませんでしたね (ー'`ー;) タイトルのお昼ご飯……ジュースの飲み過ぎで入るのか心配になってきます……(なんせ3歳) あと、この爺さんのロロのセリフ漫才(?)は、さす…
シゲ爺とドルフ爺は、凄い٩(^‿^)۶ 美味しい葡萄や野菜を作る事の天才〜   リア姉は、藪蛇でマナーの講習が追加しました。   その前にお昼ご飯を頂きましょう。╰(*´︶`*)╯♡
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