表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第6章 辺境伯領に行ったのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

352/486

352ーぶどう狩り

「大きなダンジョンもありますからね」

「クリスティー先生、討伐もできるのですか!?」


 こんな事を言っているのはリア姉だ。俺やニコ兄が聞くわけがない。それにレオ兄だって、まさか討伐に行きたいとか言うんじゃないだろうな、と言いたそうな顔をしている。

 ここに来る前に、イシュトさんに言われたのだ。


「果樹園は森に近いから、念のため武器を持って行くのだぞ」


 そう言われたので、リア姉は剣を、レオ兄は槍を持っている。俺とニコ兄はピカが収納してくれているピコピコハンマーだ。それに、ピカがいれば大丈夫なのだ。


「わふん」

「うん、ありがと」


 当然だよ、僕が守るから大丈夫だよ。と、ピカさんが言っている。頼りになるね。

 シゲ爺が、採ったぶどうを入れる籠を配ってくれた。


「まだ少しシーズンには早いんだけどな、収穫できる品種があるからぶどう狩りをするといいぞ」

「ひょー!」

「ワッハッハッハ! なんだ、ちびっ子! 可愛いな!」

「らから、ろろなのら」

「あん? あんだって!?」


 おや、俺の言葉か理解できないか? 慣れないと難しいのかもね。イシュトさんが通訳してくれた。


「シゲ爺、ロロだと言っているんだ」

「ワッハッハッハ! ああ、そうだった!」


 何か喋る度に、ワッハッハッハと笑っている。豪快というか何と言うか、ドルフ爺がまだ大人しく見えてしまう。

 今まで俺の周りで豪快な人と言えば、ドルフ爺かギルマスかってくらいだった。でも、そんなのかる~く超えてきたぞ。

 そんな中に、とってもお上品なネリアさんだ。


「ここのぶどうは、とっても美味しいのよ」

「ねりあしゃん、ぶろうじゅーしゅも、ここれちゅくってるの?」

「そうなのよ。あそこに大きな建屋があるでしょう。あそこで作っているのよ」

「しゅごいのら!」

「ふふふふ、みんなでぶどうを採ってくると良いわ」

「うん! にこにい、れおにい、いくのら!」


 俺は二人の手を引っ張る。早く行こう、楽しみなのだ。


「アハハハ。ロロ、慌てなくてもいいから」

「ロロ、シゲ爺と一緒に行こうぜ」

「うん」

「やだ、私も行くわよ!」

「えー」

「ロロー!」


 ふふふ。リア姉はお転婆さんだから、じっとしていられないのだろうね。鍛練でへばっていたのに、もう復活している。

 ネリアさんと一緒に、座って待っていれば良いのに。だって一応令嬢なのだから。


「私が一番採るわよ!」

「姉上、だからそんなに張り切らなくても」

「なんでよ、やるわよ!」


 ああもう、本当にお転婆さんなのだ。何でも一生懸命だ。真っ直ぐで、裏表がない。

 俺にも真っ直ぐな愛情をくれる。


「りあねえ、おててちゅなぐのら」

「ロロ! ええ、繋ぎましょう!」


 ちょっぴり、リア姉にサービスだ。リア姉の課題は、配分とか適度を覚える事だな。

 ぶどうの蔓を伸ばすための枠組みが作られた、ぶどう棚が広がっている。

 そこに入ると俺はちびっ子だから、そのままの姿勢で普通に歩けるのだけどリア姉やレオ兄は違う。腰を少し屈めて歩かないと頭が支えてしまう。


「実の粒が揃っていて、しっかり膨らんでいるのを採るんだぞ」

「わかったのら」

「今はまだ小さい実の種なしの種類しか収穫できねーんだけどな、もっと暑くなったら大きなのも採れるようになる」

「ほお~」


 これはあれだ、きっと前世でいうデラウエアだ。小粒だけど甘くて酸味が少なくて、種がないから食べやすい。とってもポピュラーなぶどうだ。


「しげじい、あれはいい?」


 プックリと粒の揃った一房を指して聞いた。ぶどう棚の隙間から差し込む陽に、キラキラと光って見える。とっても立派なぶどうだ。


「おう、良いぞ。届くか?」

「とろかないのら」

「あんだって?」


 ふふふふ、どっかのおじさんみたいな言い方をしている。


「ロロ、抱っこしてあげよう」

「うん、れおにい」


 レオ兄に抱っこしてもらい、俺は自分の小さな手にはさみを持ってチョキンとヘタを切った。俺の手に少し重みを感じるくらい立派な一房だ。

 ニコ兄やリア姉も、其々採っている。


「れおにい、たべてもいい?」

「え? ロロ、今食べるの?」

「うん、おいししょうなのら」

「アハハハ、少しだけだよ」

「うん」


 小さな一粒を指で取ってお口に入れた。ぷにゅッと指で押して中の実を出すと、口の中に甘い果汁が広がる弾力のある小さな粒を噛む。


「ふぉー! とっても、あまいのら」

「そう?」

「うん、れおにいも。あーん」


 抱っこしてくれているレオ兄に、小さな一粒を差し出す。お口に入れてあげよう。


「アハハハ、僕は後で良いよ」

「らめ、たべて。とってもあまいのら」

「わかった、わかった」


 レオ兄が口を開けると、そこにぷにゅッと小さな実だけを入れる。


「ん、本当だ。甘いね」

「ね~」

「あー! ロロが食べてるぞ」

「にこにい、あまいのら」

「なんだ、もう食ってんのか? ワッハッハッハ!」

「しげじい、とってもあまいのら」

「そうだろう!? 何百年も掛けて交配を重ねて、品種改良してきたんだ」

「ひょぉー!」


 何百年だって!? それは凄い。きっとコツコツと、偶々良くできた株に花粉を授粉させて種を取り、また育てて授粉させてと繰り返してきたのだろう。

 根気のいる気が遠くなるような作業だ。


お読みいただき有難うございます!

ロロにクリスティー先生が登場して話が出てくる影響でしょうか?ファンタジー部門のランキングでココちゃんがのびています。びっくりです。^^;

有難うございます!

今月前半ゆっくりしてしまった所為で、今ちょっと焦ってます^^;

原稿を2本抱えていて、月末まで頑張ります。

なのに本を何冊も買ってしまって、読みたい^^;

いつも感想を有難うございます!

誤字報告も助かってます。

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ロロの紀伊國屋さんの在庫がどっと増えて、どっと減っていくのを毎日恐々チェックしてます^^;

売れなかったらどうしよう!

ロロ①発売中です。宜しくお願いします。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
つまり、噂の初代様の頃は、単なる葡萄だったのですね…… ちなみに葡萄は簡単にワインにできます。まず皮のついた葡萄を、殺菌消毒した完全に密封で(以下、国税局による審査が入りました)
嬉しい悲鳴ですね。こんな悲鳴なら良いですよね╰(*´︶`*)╯♡ 葡萄も美味しそうで羨ましい限りです。٩(^‿^)۶ ロロもお腹いっぱい食べてお腹壊さないようにね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ