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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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35ー違う違う(ニコ視点)

 ピカを攫おうとして、怪しい男が襲ってきた時だ。

 ピカは余裕で返り討ちにして、男は縄で縛ってある。

 それをギルマスに、伝えようと俺とユーリアは必死に走っていたんだ。

 先ずはエルザが働いている『うまいルルンデ』を目指す。ご主人に頼んでギルマスに伝えてもらう作戦だ。

 俺とユーリアは、責任重大な任務を遂行中だ。完璧にやりとげてやるぜ。


「ユーリア、早く!」

「ニコ、分かってるわよ! これでも必死に走ってるの!」


 ユーリアと一緒に『うまいルルンデ』を目指して全速力で走っていた。

 俺はマジ驚いた。あんな男が現れるなんて! 信じらんねー!


「ニコ、あそこよ!」

「おう!」


 やっと『うまいルルンデ』に着いて、転がるように駆け込むと直ぐにエルザが気付いてくれたんだ。


「ニコ坊ちゃま、ユーリア、どうしたの!?」

「まあまあ、凄い汗じゃない。お水飲みなさい」


 『うまいルルンデ』の奥さんが水をくれた。助かった。必死で走って来たから、俺もユーリアも喉がカラカラだったんだ。


「ん? ニコ坊ちゃまだって?」


 え? 誰だよ。なんかとんでもなく綺麗な人だな。

 その綺麗な人が両手で、自分の顔よりも大きなボウルを持って生野菜のサラダをシャクシャクと食べていた。その量はちょっと引くぞ。

 いや、とにかく事情を話さなきゃ。


「ピカを狙って男が来たんだ! 捕まえてあるからギルマスに話して欲しいんだ!」

「何だって!?」


 と、サラダを食べていた綺麗な人が驚いていた。俺はそのサラダの量に驚くぜ。

 肉なら分かる。だって腹一杯食えない程の超デカイ肉を食ってみたいと思うから。

 でも、生野菜のサラダだぞ。そんなので、腹一杯になるのか?


「エルフのディさんって言うの。いつもこうなのよ」


 と、エルザが教えてくれた。ほう、エルフか。初めて見たけど、本当に耳が尖っているんだ。

 それにしても、綺麗だ。お兄さんだよな? 超まつ毛なげー。


「僕は男だよ」


 あ、心を読まれたぞ。俺、そんな顔していたのかよ。いやいや、それどころじゃないんだよ。


「だから、ギルマスに……」

「うん、そうだね」


 それから、そのディさんが『うまいルルンデ』から冒険者ギルドに連れて行ってくれた。そして、ギルマスに直接話を付けてくれたんだ。

 この街に来た時以来の冒険者ギルドだ。いかにも冒険者って男の人達がいる。

 みんな武器を持っている。カッコいいぜ。ちょっと汗臭いのもカッコいい。憧れるんだよなぁ。いつも畑で爺ちゃんやおっちゃん、おばちゃんと一緒だからさぁ。

 俺だって冒険者になりたかったんだ。そして、バッサバッサと魔獣を倒してみんなを楽にしてあげたかった。

 なのに、まだ10歳になっていないからって登録できなかったんだ。くっそぅ。

 ドタドタと大きな音を立てて、目の前に現れたギルドマスター。通称、ギルマスだ。

 燃えるような真っ赤な髪に、体はでっかくて筋肉ムキムキだ。くぅ〜、カッケーじゃん! 頭に乗せているサングラスもカッケー。憧れるなぁ。マジ、デケーじゃん。俺、見上げなきゃなんないぞ。

 そのギルマスとディさんが、話している様子だと顔見知りみたいだった。

 もしかして、ディさんって強いのか? あんなに綺麗でスレンダーなのに、冒険者なのか? だって剣も持ってないぞ。


「ディ、先に行ってくれるか? 俺は衛兵を連れて行く!」

「分かった。任せてよ」


 やった。衛兵を連れて来てくれる。もう大丈夫だ。

 でも、早く帰らないとロロとマリーが心配だ。


「君は? エルザの妹さんなのかい?」

「はい、ユーリアって言います」

「そう、僕はディさんだよ。君はニコくんだね。話は聞いているよ。じゃあロロが待っているね、僕にしっかりと捕まって」


 エルフのディさんがそう言って腕を出すから、訳も分からないままガシィッと捕まったんだ。

 そしたら白い光に包まれて、グニャッと目の前の景色が揺れたかと思ったら、次の瞬間には目の前にロロがいたんだ。

 ポカンと口を開けて立っていた。

 ロロは何故突然目の前に、俺達が現れたのか分かっていないんだ。

 俺だって分かんねーよ! 信じらんねー! 一体何が起こったんだ!?


「エルフはこんな事も出来るんだよ」

「超スゲー!」

「アハハハ」


 ディさんは呑気に笑ってる。もっと呑気な人がいた。マリーだ。


「まあまあ、態々来てもらって。お茶でもどうぞ」


 なんて言って、いそいそとお茶を出している。直ぐそこの木に男を縛っているのに。

 よく見ると、ロロも手にクッキーを持っている。見張りに来てくれた、おっちゃんやじーちゃん達までお茶を飲んでいる。

 ピカも寝そべっているし、そのピカの頭の上で、チロまで寝ていた。

 そんな場合じゃないだろう? て、思ったんだけど。マリーらしいや。

 マリーはあまり動じない。俺達の両親が亡くなった時は流石に顔色が変わっていたけど。だってマリーの息子夫婦も一緒に亡くなったんだ。

 それでも、すっごく冷静だった。ユーリアとエルザはもっとだ。

 ロロに聞いて、ピカが何でも収納出来ると分かった時の行動の速さだよ。俺は全く理解が出来なかったのに。


「全部持って行きましょう!」

「そうね、でも直ぐにバレない程度にしなきゃ」


 そう言って、俺達の物だけじゃなく両親の物も、家の中の貴重品も全部ピカに収納してもらったんだ。

 俺は、マジびっくりしたよ。マリーやユーリア、それにエルザも、敵に回したら駄目なタイプだと思った。

 あんな会った事もない叔父さんに、取られる位なら全部持って行く。

 まさか、犬が収納スキルを持っているなんて思いもしないだろう。だから、見た目は大きな犬を連れて家の中を歩いている様にしか見えない。

 どんどん3人はピカに収納させていったんだ。それだけじゃなかった。


「ぴか、ちゅよい」


 え……!? 犬が強いのか?

 でも、ピカと話せるロロが言うんだからそうなんだろう。て、犬と話せるってどうなんだ?

 そんな事もあったけど、何よりピカは俺達の家族なんだ。

 ピカは普通の犬じゃないんだ。あの令嬢なんかに取られて堪るかってんだ。


お読みいただき有難うございます。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいでっす!

宜しくお願いします!

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