338ー朝の鍛練
「らってにこにい、まらふにふに」
「え、ロロ。なんだよ」
「にこにいのうでと、れおにいのうではちがうのら」
「それは当然だ。年も違うし、レオは槍を使うだろう? それに弓もだ。どちらも腕の力が必要なんだ」
ほうほう、なるほど。レオ兄は15歳だしね。その差は大きいのだろう。
「だって俺、畑の婆ちゃん達に力持ちだって言われてんのにぃ」
「ニコ、使う筋肉が違うんだ」
だってさ。だからニコ兄も朝の鍛練に参加すると良いと誘われていた。
「らんじいも、やってるの?」
「ああ、当然だぞ。全員参加だ」
「ひょぉ~」
「すげーな。俺みたいな子供が参加しても良いのか?」
「もちろんだ」
この辺境伯家では、その子自身が参加したくなったら何歳からでもオッケーなのらしい。
最後までできなくても、少しでも参加して鍛練を続けていく。それに意味があるという。継続は力なりという事だ。
「それが積み重ねになるんだ。そうして筋肉が作られていく」
「へえー、俺も参加しようかな。どうせリア姉は喜んで参加するだろうし。ならレオ兄も参加するだろう?」
「きっとしょうなのら」
そうそう、レオ兄はそう言っていたものね。リア姉は参加する気が満々なのだ。だって眼がキラキラしていたもの。
「ラン爺、最後までできなかったり、ついていけなくても良いのかな?」
「もちろんだ。初めから鍛練の最後まで熟せる者なんていないぞ」
「ええ! そんなになのか?」
「アハハハ、まあ参加してみると良いよ」
「うん!」
ええー、じゃあ見ているのは俺だけじゃないか。だからといって、俺は参加しないけど。
色んな話をしながら、ラン爺に剣を教わっていた。身体を動かしていると汗ばんでくる。
風に少し潮の匂いが混じってきたかな? と、思っていたのだ。
マリーが手を振りながら邸から出てきた。どうした?
「坊ちゃま、オヤツにしませんか?」
「まりー、たべるのら」
そうだ、いつもはお昼寝から起きたらオヤツだった。今日は忘れていた。
「いつもより早くロロが起きたからだぞ」
「え、しょうかな?」
「ああ、そうだぞ。あんまり寝てないんじゃないか?」
「しょんなことないのら」
ニコ兄ったらよく見ている。俺は自分でも、そんな事気が付かなかったのに。きっとあの泣き虫女神に呼ばれた所為なのだ。
「みなさーん! オヤツにしましょう! 少し休憩されませんかー!」
マリーが大きな声でリア姉達を呼んだ。
四阿の前では、まだリア姉とレオ兄が手合わせをしていた。それを見ているフリード爺とユーリさんもいた。みんなでオヤツにするのだ。
「オヤツか。なんだか懐かしいな」
「らんじいは、おやちゅたべないのら?」
「そうだな、もうそんな年じゃないからな」
年には関係ないと思うぞ。だってマリーはオヤツが大好きなのだから。
ピカさんが暇そうに寝そべっていたのだけど、マリーのオヤツという声を聞いてムクッと起きた。
ぐぐぐぐーッと大きな身体を伸ばしている。チロさんはそんなの関係なしに、ピカの背中に乗っている。
とっても良いお天気で、風も気持ち良い。お空を見ると、ふんわりと薄い雲がゆっくりと流れている。平和なのだ。こうして人が多いと、こんなに賑やかなのだな。
俺は大抵ピカさんに乗って一人で畑をうろついている。それも楽しいのだけど、こうして色んな人がいるのも楽しい。とっても新鮮だ。
「キャンキャンキャン」
「ピヨピヨ!」
「ピヨヨ!」
ああ、邸の裏からもっと賑やかなのがやってきた。リーダー達とプチゴーレムだ。
元気にピューッと走ってくる。リーダーは一番小さいのに、先頭を走っている。本当に身体能力が高い。
「りーだー、はやいのら」
「おう、そうだろう。一番小さいのにな」
「うん」
「リーダーというのか?」
「そうだぞ。あの先頭を走っている黒い雛がリーダーなんだ。あの子は最近孵ったんだ」
「ほう、それでもリーダーなのか?」
「しょうなのら。れおにいとボクのまりょくれ、かえしたから」
「ん?」
ニコ兄が代わりに説明してくれた。俺ってまだ舌足らずだから、慣れない人だと長文は駄目なのだ。
コッコちゃんの卵を孵すのには、ほんの少しの魔力を流さないといけない。その魔力によって雛が変化したりする。
それでオレンジ色の雛は、俺が一人で魔力を流した雛達。黒い子はレオ兄と俺が魔力を流して孵した雛だと。
オレンジの子達は、雛というにはもう大きい。親コッコちゃん達の半分より大きくなっている。
少し小さな鶏さん位の大きさなのだから、もう雛じゃないね。
「どうしてロロが魔力を流した子達はオレンジなんだろうな? フォリコッコって普通は真っ白だろう?」
「そうなんだよ。ロロが魔力を流し過ぎたんだってディさんが言ってたぞ」
「ほう、なら本当に少しで良いのだな」
「しょうしょう。もうわからないくらいに、しゅこしれいいのら」
そうなのだ。そんな事が分からない時に俺が魔力を流しちゃったから、ああなったのだ。
とってもやんちゃなオレンジの子達。しかも強い。ハイコッコちゃんに進化しているし。リーダーなんてハイパーコッコちゃんだ。
お読みいただき有難うございます!
今日は少しお願いが。
皆様はAmazonをご利用されますか?書籍を購入して下さった方は宜しければ是非、レビューをして頂けるととっても嬉しいです!
次に繋がるらしいのです。小さな事からコツコツと(≧∀≦)
皆様のお陰で来年はリリの⑥が発売されます。
あと少しでラストです。有難い事です。
ロロもできるだけ続刊をと思って下さる方は、宜しくお願いします!
私、自分で書きたいくらいなのですけどね、さすがにそれはと^^;
もしよろしければ、お願いします!
いつも感想を有難うございます。
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宜しくお願いします。
ロロのポシェットのアップリケは、真っ赤なトマトと白い垂れ耳のワンちゃんです。ロロの母が作ったアップリケを、ロロがポシェットに縫い付けました。
偶然、真っ赤なトマトはニコが育てています。そしてワンちゃんはピカさんですね〜
(正確には白じゃないのですけど^^;)
母様は何か感じていたのでしょうか?
SSに書いたのですが、読んで下さった方はいらっしゃるのかしら?
実はポシェットにはこのアップリケでと、イラストをオーダーしたのではなく、potg様のアイデアなのですよ。凄くないですか?ラフを見た時にびっくりしました^^;




