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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第5章 大変なのら

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308ーハンカチにしよう

「え、これ、ロロが刺繍したのか?」

「しょうなのら」

「テオ様、もう流石に驚く事はないだろうと思っていましたけど」

「ああ、あったな」


 んん? 何なのだ? 小さな刺繍だけど、お上手にできていると思うぞ。まあ、大人が刺繍した物には見劣りするかもだけど。

 テオさんとジルさんが、俺が刺繍をしたハンカチを見つめている。テオさんもジルさんも鑑定眼は持っていないから、いくら見つめても付与の効果は分からない。


「ロロ、違うぞ。刺繍で付与する事に驚いているんだ。それに、上手に刺繍しているじゃないか」

「これはディさんが教えたのですか?」

「違うよー、ロロが刺繍をしたハンカチが切っ掛けで知り合ったんだ。僕も初めて見た時には驚いたよ。アハハハ」

「いやいや、ディさん。これって笑い事じゃないですよ」

「だからねー、ロロ」

「うん、ひみちゅなのら」


 お肉を食べてちょっぴり脂でペカッとなっている唇に、短い人差し指を当てて言った。


「ロロ、指に脂がつくだろう?」

「あ、にこにい。しょうらった」


 ニコ兄が、俺の指とついでにお口も拭いてくれる。いつも有難う。


「アハハハ、ロロったら」

「ディさん、もうないですよね?」


 ジルさんが真剣なお顔で言った。え? 何がだろう?


「ロロ、秘密だよ」

「ひみちゅはいっぱいあるのら」

「ええー、いっぱいなのかよ」

「しょうなのら。けろ、ひみちゅなのら」

「アハハハ。テオ様、驚く私達の方が変なのかと思いますね」

「ああ、まったくだ」


 だって色々秘密があって、言えないのだ。

 なにしろ、俺の足元で食べているピカとチロが一番の秘密なのだから。いや、俺の加護もそうかな?


「わふん?」

「キュルン?」

「なんれもないよ。おいしい?」

「わふ」

「キュル」

「しょう、よかったね~」


 ふふふ、可愛いのだ。言わなければ絶対に想像つかないと思うのだ。


「しんじゅうなのら」

「「ええッ!?」」


 あ、しまった。ついお口が……思っていた事をペラっと喋ってしまう。これはいけないのだ。


「アハハハ! ロロったら秘密になってないよ」

「らってでぃしゃん、おもってたのら」

「ロロ、テオさんとジルさんは良いんじゃないか?」

「れおにい、しょう?」

「うん、お祖父様達も良いと思うよ」

「しょっか」


 けど、俺は誰が良いとか判断できない。だから……。


「れおにいに、まかしぇるのら」


 これを丸投げと人は言う。ふむふむ。


「アハハハ、まあ良いんじゃない?」

「ディさん、どういう事ですか!? クーちゃんで充分驚きましたよ!」

「クーちゃんは聖獣だろう。ピカとチロはもっと上位の存在だ」

「じゃあ、本当に神獣なのですか?」

「そうだよ、この世界の創造神である女神様の神使だ」

「「えぇ……!?」」


 あらら、ディさんが全部言っちゃった。まあ、良いか。


「うまうま」

「な、美味いな」


 どうした、テオさん、ジルさん。食べないのか? 手が止まっているのだ。

 ポカンとお口を開けて、お目々を大きくしているから驚いているのかな?

 ディさんがサラッと秘密を言っちゃった。それでも俺の加護の事は話していない。これは本当に秘密なのだろう。覚えておこう。


「ジル、僕は普通というものが分からなくなったぞ」

「ええ、テオ様。私もです」

「こんなので驚いているなんて、まだまだだねー」


 ディさん、そんな事を言ったらまだあるって言っている様なものじゃないか。お任せするけど。


「ごちしょうしゃま」

「はいはい、おかわりは良いんですか?」

「おなかいっぱいら」


 俺はここまでかな。お腹が一杯になったら眠くなるからね。

 コクコクコクと果実水を飲む。


「ぷはッ」

「ロロ、口の周りを拭けよ」

「うん、にこにい」


 お口の周りね、はいはい。何故かいつもソースがついてしまうからね。

 ピカさんとチロはもう食べたかな?


「わふん」

「キュルン」


 よしよし、もう寝る準備はできたのだ。


「ロロ、ベッドに行こうか」

「うん、れおにい。ふわぁ~」


 大きな欠伸が出てしまったのだ。両手を出すと、レオ兄が抱っこしてくれる。俺はレオ兄の肩にコテンと頭を乗せる。

 お昼寝もしているのに、夜は起きていられない。

 前世の俺なら、まだまだ夜はこれからだと思っていたような時間なのだ。

 身体を預けながら手をフリフリしておく。


「おやしゅみ~」

「おやすみなさい」

「ロロ、また明日な」


 ふふふ、嬉しいのだ。


「ロロ、どうしたの?」

「れおにい、にぎやかれいいのら」

「そうだね」


 階段を上って、レオ兄と一緒に使っている部屋へと入って行く。

 本棚やレオ兄の机があって、ご本や俺のぬいぐるみも並べてある。

 俺をベッドに寝かせて、温かい色のランプを点ける。真っ暗になると俺が怖がるからだ。

 そしてレオ兄はいつも、俺が眠るまでそばにいてくれる。

 この時間は、俺がレオ兄を独り占めできる。俺の頭を撫でながら、お話ししてくれるのだ。


「ロロは楽しみなんだね?」

「おじいしゃま?」

「そうだよ」

「うん、たのしみなのら。れおにいは?」

「僕も楽しみだよ。小さな葉っぱの模様で良いから、刺繍したハンカチをプレゼントしたらどうかな?」


 小さくて良いのか? そんなのでも良いのかな?


お読みいただき有難うございます!

感想を有難うございます。誤字報告も助かってます。

そろそろ活動報告を書きたいなと思ってます。また夜中に突然書くかも知れません。

読んで頂けると嬉しいです。

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ボクは光の国の転生皇子さま!④発売中でっす!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
三歳児がやったのを知れば、並縫いでも感動するww
何と言いますか……いつか、女神様の加護や転生のことを含めてしゃべってしまいそう……
ごく自然にあり過ぎて何が秘密なのかロロも分からないですよねʅ(◞‿◟)ʃ ディさんもしれっとバラしているし、聞かされたテオさん達も慌てますよねε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘でもこれぐらいで驚…
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