表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第5章 大変なのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

306/486

306ーお返事

「リア! テオ! 雨が降るよ!」

「はい、ディさん!」


 ディさんに大きな声で言われて、やっと気付いた。

 俺も家の中に入ろう。


「ぴか」

「わふん」


 ヨイショと立って、ピカと一緒に家に入る。コッコちゃん達も付いて来る。

 淡い青色だった空に、直ぐに重い色の雲が広がり始める。空気の中に雨の匂いが混じり始める。

 あっという間に細い糸の様な雨が、ザァーザァーと降り出した。

 家の中から見ると、雨に閉じ込められてしまったみたいに感じる。


「あらあら、もうそろそろ降らないかと思っていましたのに」

「マリー、もう2~3日じゃないかな?」

「ディさん、そうですか?」

「うん、そんな感じだよ」


 マリーと話しながら、バシャバシャとお野菜を洗っている。もう洗うのか? まだお昼には早いのだ。


「雨が止んだら、もう一度お野菜を採りに行こうと思ってさ」


 なんて言っている。まだ行くのか? もう充分な気もするのだけど。


「ロロ、何かな?」

「なんれもないのら」


 ニッコリと良い笑顔のディさんだ。


「ディさんもお茶にしませんか?」

「うん、ありがとう」


 マリーはもう既にみんなの分のお茶を出している。即行なのだ。これはマリーの特技と言っても良いと思うぞ。


「まりー、くっきーもたべたいのら」

「わふん」

「キュルン」

「あらあら、お昼前ですから少しだけですよ」

「うん、べりーのがいい」

「わふ」

「キュル」


 なんだかちびっ子トリオみたいじゃないか。ピカさんとチロも欲しいと俺の側に座っている。

 ピカとチロも甘いものが好きだね。


 そんな平和な日が数日過ぎた頃、夕方に帰ってきたリア姉とレオ兄がディさんにお手紙を渡した。


「ギルドに戻ったら、ギルマスがディさんに渡してくれって言ってましたよ」

「有難う。きっと辺境伯だね」


 それともう一つなのだ。

 同じ様に、ギルドから帰ってきたテオさんもお手紙を持っていた。


「お祖父様からの手紙だ」

「思ったより早かったですね」


 俺達のお祖父さんには二度お手紙を送っている。俺達が見つかったというお手紙の後に、ディさんが送ってくれるから辺境伯領で待ち合わせをしないかというお手紙だ。そのお返事らしい。

 庭先に何故だかみんな集合して、お手紙を開封している。お家の中に入れば良いのに。


「ふふふ、辺境伯は大歓迎だって。来る日が決まったら教えて欲しいって書いてあるよ」

「ディさん、こっちもです。なんならルルンデまで、迎えに行くつもりだったと書いてあります」

「ふふふ、大旦那様らしいですね」


 お祖父様も辺境伯からもオッケーが出た。これから本格的に準備なのだ。

 

「ておしゃん、おじいしゃまのおてがみ?」

「そうだぞ」

「みしぇてみしぇて」


 背伸びをしながら、両手を出す。こういう時はちびっ子って不便なのだ。


「ロロはもう文字が読めるのか?」

「ロロは文字が読めますし、計算だってできますよ」

「レオが教えているんだろう?」

「はい、でもロロはほとんど教える事がなくて。少し基本を教えたら、どんどん自分で覚えるんです」

「それは凄いな」


 そうじゃないのだ。俺の事ではなくて、お祖父様が書いたお手紙を見たいのだ。

 テオさんがお手紙を渡してくれる。俺がレオ兄に勉強を教わる時に使っている、ザラザラとした厚い紙とは違ってツルツルとしていて綺麗な透かし模様が入っている。

 

「これは僕達の家の紋章なんだ。間違いなくオードラン家の者が出した手紙だって事だ」


 ほうほう、紋章って確か両親が乗っていた馬車にも紋章があったと言っていた。貴族ってその家々に紋章があるのだな。

 俺の両側に、みんな集まって来た。なんだ、みんなも見たいのだ。


「おおー」

「ロロ、綺麗な字だよな」

「にこにい、しょうらね」

「うわ、達筆だ」

「本当、達筆過ぎて読めないわ」

「姉上……」

「やだ、冗談じゃない。レオったら本気にしないでよ」


 いやいや、冗談にならないのだ。本気で読めないのかと俺も思ったぞ。


「ロロ、冗談よ。ちゃんと読めるわよ」

「なにもいってないのら」


 俺の周りにしゃがみ込んで、みんなでお手紙を見る。だってお手紙を持っているのが、ちびっ子の俺だから。

 本当に、ルルンデまで会いに来るつもりだったと書いてある。その準備もしていたと。

 俺達はどうしているのか? 元気なのか? ちゃんと食べているのか? 何が好きだろう? と色々聞いている。

 テオさんがお手紙に書いたのだろう。リアはどんな令嬢なのだろう? レオはしっかり者なのだな。ニコは野菜を育てられるのか。ロロは一番小さいのに寂しい思いをしていないだろうか? と細かく聞いてきている。

 心配してくれているのだと、お手紙から伝わってくる。

 お祖父さんってこんな感じなのか? 俺は前世でも祖父母がいなかったから、孫は可愛いと話に聞くだけだったけど。俺達はその孫なのだな。


「ふふふ」

「ロロ、なあに?」

「りあねえ、うれしいのら」

「そうね、有難い事だわ」

「そうだね」

「うん、ちょっとな」


 ニコ兄がちょっとなんて言っているけど、嬉しそうなお顔をしているぞ。

 マリーやドルフ爺達が可愛がってくれているのは、よく分かっている。それも嬉しいのだ。

 でも、それとはまた違う。この気持ちはなんだろう?


お読みいただき有難うございます!

書籍化作業もあと少しです。

もう私は確認するだけの事が多いです。編集さん、イラストを書いて下さる方、デザインをして下さる方、他にも色んな方が携わって下さっています。

リリ⑤とロロ①は11月1日発売です!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今日はリリ①から懐かしいイラストを。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
クッキーおねだりちびっ子トリオ可愛い。 ニコ兄ってば素直じゃないのら~♡お祖父さん早く会いたいですね♪
ディさんは、本当に野菜が好きですね。イヤ、ドルフ爺とニコ兄が作る野菜は美味しいからね。٩(^‿^)۶ 待ちに待った手紙の返事が一度に来ました。 辺境伯からも良い返事がそれよりもお祖父様が直接迎え…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ