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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第5章 大変なのら

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305/486

305ー縁を大事に

 ギルドの転送装置を使っても、1日か2日位のタイムラグがあるらしい。そんなタイムラグより、お手紙が向こうのギルドに着いてから、相手に届くまでの方が時間が掛かる場合がある。ギルドが近くにあるとは限らないからだ。

 普通は使えないのだけど、ディさんのお名前で使わせてもらったらしい。ちょっぴりズルした、いや違う、得した気分なのだ。


「ディさんは弓じゃなくて杖なのですか?」


 弓を使うジルさんは、興味があるのだろう。


「そんな事はないよ。狩りをする時は普通に弓を使うよ。今のは特別だ」

「ディさんは剣も使えるのですか?」

「うん、テオ。一応なんでもね」

「是非、教えてください!」

「アハハハ、いいよー」


 ただし、お野菜を採ってからなのだ。だってもうディさん用の麦わら帽子を被って、お野菜を入れる籠を持っているもの。

 ふふふ、ディさんにとってお野菜は大事なのだ。


「テオさん、私と対戦しませんか?」

「お、リア。遠慮はしないぞ」

「当たり前です!」


 ああ、体育会系だ。動いていないと駄目な病気にでも罹っているのだろうか?


「じゃ、僕はお野菜採りに行ってこよーっと」


 と、ディさんはスキップしながら畑に行った。

 じゃあ、俺はピカさんに凭れて日向ぼっこしようっと。


「ぴか」

「わふん」


 トコトコと軒下へと移動する。そこに横になったピカにパフンと凭れる。

 今日はセルマ婆さんが出てこないなぁ。俺が外に出る時間が遅くなっちゃったからかな?


「ロロ君は、いつもそうしているのかい?」

「じるしゃん、しょうなのら。いちゅもは、しぇるまばあしゃんといっしょなのら」


 今日はセルマ婆さんの代わりに、ジルさんと一緒だ。ジルさんはここに座ると良いよと、軒下に置いてある小さな木の腰掛けをトントンとした。

 いつもセルマ婆さんが座っている物だ。まだこの家に来て直ぐの頃に、ドルフ爺が俺の分と二つ作ってくれた。

 マリーがお洗濯を干そうか迷っている。もう少ししたらきっと雨が降るのだ。


「もうそろそろ、降らなくなると思うんですよ」


 もうそんな季節なのか。

 来年はこの家にいるのかな? ふとそう思ったのだ。


「ロロ君、毎日楽しいかな?」

「うん、たのしいのら」

「それは良かったね」

「れも、おじいしゃまたちにもあいたいのら」

「そうなの?」

「うん」


 俺は前世でも肉親の縁に薄かった。それって、仕方ないと思っていたのだ。

 俺はそれなりに楽しかったし、気にしていなかった。

 でも、最近思うのだ。俺の捉え方や態度で、それも違っていたのではないかと。

 義父だったけど、俺には自分の子供と同じように接してくれていたし、大学だって好きなところに行かせてくれた。学費だって払ってくれた。

 俺が勝手に疎外感を、抱いていただけなのじゃないかと思ったりするのだ。

 もしかして、俺がいなくなって悲しんでくれているのだろうか? と、最近考える。

 この世界での両親の映像を見てから、そう考える様になったのだ。

 前世の俺が赤ちゃんだった時にも、母はああして抱っこして育ててくれたのだろう。だから俺は成長できたのだ。大人になれたのだ。

 女神も俺が肉親との縁が薄いと言っていた。確かに薄かった。盆と正月くらいにしか連絡しなかった。

 俺が縁を薄くしていたのではないか? 両親は気に掛けてくれていたのかも知れない。

 俺の下にまだ学生の子供が2人もいたのだ。もう親元を離れている俺を構う時間もなかったのかも知れない。

 今なら、そう思える。だけど、前世の俺はそんな事さえ考え付かなかった。

 今更思っても仕方がない。だからという訳ではないのだけど、俺達を探してくれた祖父や祖母、伯父に会ってみたいのだ。

 今世では、ちゃんと縁を大事にしたいと思う。ただ近所に引っ越して来ただけの俺を、気に掛けて可愛がってくれる人達に囲まれているからこそ、そう思えるようになったのかも知れない。


「ロロ君達のお祖父様は温かい人ですよ。お祖母様はきっと涙されるでしょうね」

「しょうなの?」

「はい、心配されていますから」

「しょっか……しょっか」


 有難い事なのだ。よし、元気なお顔を見せるのだ。

 フォーちゃん達やプチゴーレム達も一緒に行くから、きっとビックリするだろうな。

 リーダーも行くって言うだろう。だってフォーちゃん達だけを行かせるなんて心配だもの。

 

「ふふふふ」

「ロロ君、どうしたの?」

「びっくりしゅるらろなぁ~」

「ロロ君達のお祖父様かな?」

「しょうなのら」

「きっとビックリされるでしょうね。みんなが立派に大きくなっている事もだけど。何しろ……ね」

「ふふふ」


 お口に手を当てて、笑う。どんなお顔でびっくりするだろう?

 まさか、コッコちゃんやプチゴーレムが一緒だなんて、絶対に予想できない。

 ジルさんとそんな話をしてのんびりしていたら、ディさんが走って戻ってきた。

 勿論手に持った籠にはお野菜が入っている。


「マリー! 雨が降るよ!」

「まあまあ! 大変!」


 マリーが干しかけていた洗濯物を慌てて取り込む。

 ジルさんとレオ兄が、マリーを手伝いに走った。

 リア姉とテオさんは気付かずにまだ剣の打ち合いをしている。

 リア姉、そういうとこだよ。集中していて周りが見えてないのだ。テオさんも同じタイプなのか。


お読みいただき有難うございます!

今日はとっても涼しいです。皆様も体調に気をつけて下さいませ〜。

毎日感想を有難うございます!

もう気付いておられる方も、いらっしゃる様ですが、辺境伯領にいるエルフというと…そう、あの人しかいませんね!お楽しみに〜^^;


応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ボクは光の国の転生皇子さま!④発売中です!皆様の応援が次に繋がります。宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
姉で脳筋キャラのテンプレパターンですね。母親が実は脳筋だったのでしょうか? あと、当方は作者様の他の作品を読んでおりませんので、前回の感想みたく変なことを言ったりネタバレ発言をしておりましたら注意…
前世が肉親の縁が薄くても今、ロロを愛してやまない兄弟やディさん、マリー達が居ますよ。それにテオさん達とまだ見ぬお祖父様達も忘れてはいけないピカとチロ達が居ますよ。皆んなロロが大好き〜 (辺境伯領のエル…
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