303ーギルドと騎士団 2
ギルドは独自のネットワークを持っているところもあるらしい。
ただ、一定の協力は約束させられるのだそうだ。国の一大事には協力しろという事だ。それは当然だろう。
冒険者ギルドで例えるなら、魔獣が大量に発生した時やスタンピードだ。
そんな時はギルドに登録している冒険者は、騎士団や衛兵と連携協力して討伐に参加する。
ディさんのような高ランクの冒険者になると、指名で協力要請が出たりする事もある。
その代わりにギルドカードを提示すれば、国から国への移動も入国料を支払わないで済んだりする。
対する騎士団と衛兵は、国の組織だ。だが長が違う。騎士団は国王陛下で、衛兵はその地の領主が長だ。
衛兵の方が地元に根差した活動をしている。領地の細々とした事を毎々国にお伺いを立てなくても、領主の権限で差配できる。
どちらもそこに入団するまでは、冒険者ギルドに所属していた者が多い。いや、殆どそうらしい。
フィーネ達の様に、冒険者の活動を通して鍛えるんだ。その時にランクはあったとしても、入団後は関係なくなる。
騎士団や衛兵の中にも階級があり、そっちが優先されるからだ。
全体の強さでいうと、騎士団の方が強いらしい。何故なら騎士団の入団試験の方が難関だからだそうだ。
その中でも、団長や副団長といえば精鋭中の精鋭といっても良い。冒険者の高ランクに匹敵するらしい。
「ひょぉ~、ららちゃんのとうしゃまちゅよいのら」
「アハハハ、ロロ当然だよ。でないと騎士団の副団長になんてなれないよ」
「でぃしゃん、らんくらと、どれくらいなのら?」
「ん~、そうだなぁ……副団長ならAランククラスじゃないかな?」
それは凄いのだ。だってリア姉とレオ兄が、DランクからCランクに上がるのも難しそうだったのだ。
「リアとレオもその内だね」
「レオには負けないわ!」
「姉上、そんな問題なの?」
「当たり前じゃない! レオは弟なんだから!」
とっても深刻だった空気が、リア姉の言葉で和らいだ。
だからと言って、無かった事にはならない。みんな覚えている。
俺の両親の死因が魔族と遭遇した為だという可能性が出てきた。俺達では何もできないから、ディさんに任せるしかない。国の対応を待つのだ。
だけど、その魔族ってとっても強い。Aランクかぁ、俺なんてまだまだ登録できない。
登録できる歳になったとしても、俺は冒険者ギルドなのかなぁ。ちょっと違う気もするのだ。
だって俺は戦う事は苦手なのだ。マンドラゴラなら話は別だけど。
ピコピコハンマーでどれだけ戦えるのかなぁ。
「むむむむ」
「ロロ、またかよ」
「にこにいは、ぼうけんしゃぎるろに、とうろくしゅるのら?」
「おう、10歳になったらな。もう少しだ」
「ボクはろうしよう」
「ロロ、必ず冒険者ギルドに登録しなきゃいけない訳じゃないからね」
「れおにい、けろみんな。ぼうけんしゃぎるろら」
「別に良いと思うよ。ロロならそうだなぁ、魔術師ギルドとかどうかな?」
「ま、まじゅちゅし?」
「そうだよ、ロロは魔法が得意だろう?」
「とくい? れおにいのほうが、とくいなのら」
「アハハハ、それは僕とロロだと歳が違うだろう?」
まあ、そうなのだけど。でもみんな戦うのに、俺だけ何もしないなんて選択肢はない。
ブラックウルフが出た時だってそうだった。俺は俺なりに、守りたいと思っているのだ。
「ロロはまだちびっ子だ。ゆっくり考えると良いよ」
「でぃしゃん、しょう?」
「うん、そうだよ」
そっか、まだ何年もあるんだ。俺ももっと大きくなったら、レオ兄みたいに強くなれるのかな?
「ロロ、私もレオと同じCランクなのよ?」
「う、うん。りあねえもちゅよいのら」
おっと、ヤバイのだ。俺は考えている事が、お顔に出ちゃうらしいから気を付けないと。
思わずほっぺに手をやった。
「ニコも冒険者ギルドに登録するなら、もっと鍛練しなきゃ駄目よ」
「リア姉、分かってるって」
ニコ兄はお墓参りから戻ってきてから、リア姉に剣を教わっている。レオ兄には槍と弓だ。まだどれがニコ兄に合っているのか分からないから、少しずつ毎日鍛練している。
俺も早く教わりたいのだ。とおッとかっちょよくやっつけたい気もするけど、ちょびっと怖いと思う気持ちもある。
今日は朝から難しくて重大な話だったけど、今直ぐどうこうできる事でもなかった。
ディさんが国の上の方の人に報告するらしい。まだそれからなのだ。
でもディさんって、一体どんな立ち位置なのだろう? そんなに軽く、お野菜採ってくるね~みたいに、国の上の人に相談するって言えるなんて普通じゃないのだ。
もしかしてディさんは偉い人なのか?
「僕はこの国の人間じゃないからね、何にも縛られないんだ」
なんて笑顔で言っているけど、余計にそう思うのだ。この国の人間じゃないのに、国の上の人と話せるなんて不思議なのだ。もしかして、SSランクってみんなそうなのかな?
「でも君達兄弟がこの国にいる間位は、僕はここにいようと思っているよ」
ああ、きっと俺達が生きている間位はという意味なのだ。
ディさんはそうやって何人もの人を送って来たのだろう。眉や目尻が下がって寂しそうだ。ディさんの笑顔はそんなんじゃない。いつもはキラッキラな笑顔なのに。
お読みいただき有難うございます!
書籍化作業に追われているうちに、いつの間にか涼しくなっていました。^^;
この2週間はゲラと睨めっこしていた記憶しかないという^^;
リリ⑤とロロ①はあと少しです。
公開できる様になれば、活動報告でも書影を投稿しますね。どちらも、とんでもなく可愛いですよ〜!
来年発売のハルちゃん②の作業も、もう始まっています。アヴィー先生が登場します。美魔女です。お楽しみに!
毎日感想を有難うございます。
皆様の応援を励みに書籍化作業と毎日の投稿に頑張ってます。
有難うございます!
応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!
宜しくお願いします。
今日は久しぶり(?)にハルちゃんを!




