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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第5章 大変なのら

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294ー元Bランク

 ここはご本人に、登場してもらわないといけないだろう。

 俺は立ち上がり、スゥーッと息を吸って大きな声で呼んだ。


「どーるーふーじぃー」


 こうして、どこから俺が呼んでもドルフ爺は直ぐに来てくれるのだ。


「おう! また出たか!?」


 ほら、片手に鉈を持って畑からダッシュで来てくれた。やっぱ早いのだ。


「ちがうのら」

「なんだ、どうした?」

「どるふじい、びぃらんく?」

「は? 何言ってんだ?」

「ほら、冒険者ランクの事よ〜」

「ああ、昔の事だ」


 ここは大切なところなのだ。はっきりしておかないと。


「けろ、びぃらんく?」

「まあ、そうだな。もう十年位更新してねーけどな! 元だ、元! ワッハッハ」

「カッコよかったのよ〜」

「へえー」


 驚き過ぎて、反応ができない。人って驚き過ぎると、無反応になってしまうものなのだね。知らなかったのだ。こんなところに猛者がいたぞ。


「セルマ、何でそんな話になったんだ?」

「ロロちゃんがね、誰が一番強いかなぁって言うからなのよ〜」

「なんだ、そりゃディさんだろうよ」

「だから、ディさん以外よぅ。リアちゃんと、レオくんでしょう? それに、何てお名前だったかしら?」

「ておしゃんと、じるしゃんなのら」

「ああ、その四人か。そりゃレオだろう?」

「え、けろじるしゃんは、びぃらんく」

「そうなのか? だが、実戦ならレオじゃねーか? あいつはブラックウルフを仕留めていたからな。驚いたぜ」

「へえー」


 ふむふむ、レオ兄なのか。それは、リア姉が悔しがるのだ。


「ロロ、リアか?」

「しょうなのら。くやしがるのら」

「いや、リアも分かっているだろうよ」

「しょお?」

「ああ、そうだ。リアもレオに支援魔法を掛けてもらったら、Bランク位になるんじゃねーか?」


 なんですとッ!? ドルフ爺、やっぱ普通の爺さんじゃない。そんな事まで分かるのか?


「どるふじぃ、しえんまほー?」

「そうだな。レオが攻撃力アップと防御力アップを掛けているだろう?」


 そんな事知らなかったのだ。いやいや、ドルフ爺はどうしてそんな事を知っているのだ?


「そりゃブラックウルフが出た時に、見ていたんだ」


 あの時ドルフ爺は、クーちゃんを乗せた荷車を引くので必死だと思っていたのに、そんな事も見ていたのか?


「俺も鉈で殴っていたからな! ワッハッハ」

「ええー」

「あらあら〜」


 セルマ婆さんがこんなにおっとりしているのに、旦那さんのドルフ爺はこれだよ。

 もう爺なんだから、鉈で殴るとか止めるのだ。アグレッシブすぎるぞぅ。


「あの時はニコもよくやったじゃないか」


 ニコ兄が、あの王弟殿下の孫娘を助けに出た時だ。俺はそれはもう驚いた。心臓がキュッてなったのだ。


「うん、ぴゃッてドキドキしたのら」

「何言ってんだ、ロロだって頑張ったじゃないか」

「ふふふん。ららちゃんをまもったのら」


 カッコよかったぞと言いながら、頭を撫でてくれる。

 このドルフ爺がBランクとは。リア姉とレオ兄が聞いたら、きっとびっくりするのだ。


「あら、みんな知ってるわよ〜」

「えー、ボクしらなかったのら」


 それは、あれだ。ここに引っ越して来た当時、俺は外に出るのが怖くてずっと家の中にいたかららしい。だから、知らなかったのだろうと言われた。


「大きくなったな」


 ドルフ爺が、感慨深そうな表情をして俺の頭を撫でる。

 だから俺は堂々と短いプクプクの指を3本立てて言った。


「しゃんしゃいなのら」

「おう、そうだな! ワッハッハ」

「ドルフ爺! またサボッてんのかよ!」


 あ、ニコ兄だ。見つかってしまったね、ドルフ爺。


「サボッてねーぞ。ロロと話してたんだ」

「それをサボッてるって言うんだよ」


 ワハハハと、笑いながらドルフ爺は畑に戻って行ったのだ。

 そろそろお昼なのではないかな? ディさんはどこ行った?


「ロロ! 見てみて! このお野菜! ほらッ!」


 はいはい、今日はどこまで行っていたのかな?


「ドルフ爺が育てたお野菜だよーぉ!」


 いつも食べているじゃないか。


「こ~んなに新鮮で元気なお野菜を食べられるなんて、幸せだぁーッ!」


 毎日同じ事を言っていると俺は思うのだ。


「ディさん、ロロ坊ちゃま、お昼にしましょうか?」


 ほら、マリーが呼びに来た。俺のお腹も鳴ってしまいそうなのだ。


「マリー、僕サラダ作るよ!」

「まあまあ、今日も沢山収穫したのですね」

「そうなんだよー! もうどのお野菜も素敵でさぁ!」


 ほう、お野菜に素敵なのと、そうじゃないのがあるのかな? 俺は区別がつかないぞ。


「まりー、おなかしゅいたのら」

「はいはい、食べましょうね」


 ピカさん、チロさん、お昼ご飯なのだ。


「わふん」

「キュルン」


 そして、呼んでいないのにコッコちゃん達も一緒に家に入って来る。もうそれが普通になってしまったのだ。

 フォーちゃん達はどこまで行ったのだろう? リーダーはもう慣れたのかな?


「でぃしゃん、りーだーみた?」

「ん? ああ、コッコちゃんのリーダーだね。うん、フォーちゃん達と一緒にいたよー」


 お野菜をバッシャバッシャと洗いながら、ディさんが教えてくれた。

 リーダーはまだ卵から孵って間もない。それでも。フォーちゃん達にちゃんと付いて行くそうだ。

 最初はさすがに孵ったばかりの雛だから、後を追っかけている感じだったらしいのだけど。


お読みいただき有難うございます!

今日も主役はドルフ爺^^;

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


リリ⑤とロロ①の作業が、またまた山場に差し掛かりそうです。頑張ります!

リリ④が発売中です〜!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今日の主役はドルフ爺でした。ドルフ爺は、色々方面で凄い人❣️ ブラックウルフと戦っている時もレオ兄の事を見ているなんて本当に凄い‼️ そのドルフ爺に褒められるレオ兄も凄い❣️早くリア姉と一…
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