286ー案内しよう
そんな顔をしなくてもいいのだ。
「みんないっしょらから、しゃびしくないのら」
「そうか」
「りあねえとぉ、れおにいとぉ、にこにいとぉ、まりーとぉ、えるざとぉ、ゆーりあとぉ、どるふじいとぉ、しぇるまばあしゃんとぉ、しょれにでぃしゃん!」
「ロロォ!」
ディさんが抱きついてきた。ふふふ、いつもの事なのだけどちょっぴり嬉しい。
「わふん」
あ、しまったのだ。ピカとチロを入れるのを忘れていた。ピカがちょっぴり寂しそうな顔をしているように思えたのだ。
「ぴかもらよ。ぴかとちろもら」
それに、コッコちゃん達とプチゴーレム達とクーちゃん一家だ。
賑やかになったのだ。
「アハハハ、珍しい子達ばかりなんだけどね」
「ディさん、珍しいどころじゃないですよ」
「そうです、ピカとチロなんて絶対に普通ではないですよね?」
「ひみちゅ」
「アハハハ、そうだよねー。秘密だもんねー」
人差し指をプニッと唇に当てて、お口を閉じる。俺も成長したものだ。ちゃんと秘密を守っているぞ。
それよりお庭を案内してあげよう。て、案内するほどの広さはないのだけど。
先ずは、やっぱマンドラゴラが狙っている池だろう。
「あしょこのおいけも、れおにいとにこにいがちゅくったのら」
「へえー、二人で掘ったのか?」
「しょう、まほうれごごごごーって。でぃしゃんに、おしえてもらったのら」
「ええッ!?」
「アハハハ!」
あれ? ディさんがまた笑っている。俺、変な事を言ったかな? 言ってないよな?
「れね、かわからおみじゅをひくのも、れおにいとにこにいが、ちゅくったのら。ごごごごーって」
「あ、ああ……」
あれ? テオさん聞いてる? 俺が身振り手振りを織り交ぜながら説明しているんだけど。まあいっか。
「あっちがね、にこにいのはたけなのら」
「ニコは薬草を育てているのか?」
「しょうなのら。あしょこれどるふじいといっしょに、りかばまっしゅをしょだてているのら」
「リ、リカバマッシュ!?」
「しょうなのら。もりれ、とってきたのをしょだててるのら」
「ええー……」
そうなのだよ。だってドルフ爺だからね。ドルフ爺は凄いのだ。
まだまだ案内は続くから、ちゃんと付いてきて欲しい。聞いているかな?
テオさんったら、ずっとポカーンとお口を開けているけど。
「にこにいがしょだてた、やくしょうれ、ぽーしょんちゅくるのら」
「レオ君が上級ポーションを作れるのでしたっけ?」
「じるしゃん、しょうしょう。ボクはまら、ちゅうきゅうぽーしょん」
「ディさん……」
「ん? 何かな?」
「ディさんが教えているんですか?」
「ううん、僕は教えてないよ。僕が知り合った時には、中級ポーションを作っていたからね」
「うそだろ……」
「テオ様、この兄弟はどうなっているのでしょう?」
何を言っているのだ。普通の兄弟だ。とっても優しくて頼りになる姉と兄なのだ。
それからっと、クーちゃんの説明かな?
と、俺は一通りテオさんとジルさんに説明したのだ。クーちゃんは、ある日森からやって来たのだと。
「なんというか、言葉がないというか」
「テオ様、本当ですね」
「ロロがクーちゃんに名付けたのだろう?」
「うん。しょうなのら」
「ふふふふ」
「ディさん、何ですか?」
「ロロが名付けて、クーちゃんは進化したんだよ」
そうだった。えっと、最初は何だっけ?
「霊獣だよ、ロロ」
「しょうらった」
「え? 霊獣ですか? 珍しいですね」
「そうだろう? クーちゃんはロロが名付けて聖獣に進化したんだ」
もう、びっくりだよね~。なんて言いながらディさんは笑っていた。
なのに、テオさんとジルさんはビックリお目々をしていたのだ。
「くーちゃんらけ、しゃべるのら」
「「えええーッ!?」」
あれれ? 知らなかったのかな?
クーちゃんはいつも寝ているからね。
「アハハハ!」
「ディさん、笑い事じゃないって!」
「そうですよ!」
「アハハハ! だって、おかしくって!」
ええー、おかしいかな? そうかな?
それよりも大事な事があるのだ。
「くーちゃんは、どるふじいがしゅき」
「え?」
「ドルフ爺をですか?」
「しょうなのら、しょれれたまごを、うんらのら」
「は!?」
ね、驚くよね。これには俺も驚いた。本当、びっくりなのだ。
テオさんが、ふぅ~ッと大きく息を吐いて、真面目なお顔をして俺に聞いてきた。
「ロロ、毎日楽しいか?」
「うん、ておしゃん」
「僕達が帰る時に、一緒に遊びに来ないか? お祖父様とお祖母様が、ロロ達に会いたがっているんだ」
「あしょびに?」
「そうだ。ロロは嫌かな?」
「ううん、あしょびにならいいのら」
全然良いよ。俺だってお祖父様とお祖母様に会ってみたいもの。
どんな人なのかなって思う。テオさんのお父さんにもだ。母様のお兄さんだろう? 会ってみたいのだ。
「そうか、早速リアとレオにも相談してみよう」
「ええ、大旦那様と大奥様が喜ばれますね」
「ああ、迎えに来ると言い出すんじゃないか?」
「ふふふ、確かに」
テオさんとジルさんが、話す事を聞いていて感じていたのだ。
俺達兄弟と会った事もないのに、お祖父様達は本当に心配してくれているのが伝わってくる。
会いたいと思ってくれて、迎えにまで来るのではないかとテオさん達が思うくらいだ。
それって、とっても嬉しい事なのだ。




