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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第5章 大変なのら

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278ーマリーの最上級

「ロロ、何か言ったかしら?」


 ついポロッと言ってしまった。リア姉が目を細めて俺を見ている。ヤバイのだ。


「な、なんれもないのら」

「アハハハ! そうかリアはできないのか」

「だって、テオ様!」

「いやいや、僕達の母上だって全然できないさ」

「ほら、ロロ。聞いた? できないんですって」

「れも、ボクはれきるのら」


 あ、しまった。また言ってしまったのだ。


「はいはい、ロロ坊ちゃまは器用ですからね」


 ふふふ、なんだかとっても楽しいのだ。

 テオさん達が来てくれて、少し安心した部分もある。だって、俺達を心配してくれる身内がいるなんて考えもしなかったから。

 態々遠くから来てくれたのだ。それはとても嬉しいし心強い。

 レオ兄と同じ髪色と瞳の色をしているテオさん。優しそうで明るい人だ。

 人懐っこい笑顔が、とっても爽やかなのだ。

 夕ご飯が済んだら、マリーの最上級が出たのだ。


「よろしければ、泊まっていかれませんか?」


 いつもは、お茶どうぞ~だけど、それの最上級なのだ。これは滅多な事では出ない。


「有難う。でも僕達は宿を取っているから」

「また、明日お邪魔しても良いですか?」

「はいはい、勿論です。ウォルターさんの事もお聞きしたいです」


 その日はディさんと一緒に帰って行った。

 楽しかったのだ。夕ご飯も美味しかった。

 テオさん達が来てくれた事で、リア姉とレオ兄の気持ちも軽くなると良いのだけど。



 翌日、いつもの様に庭先でセルマ婆さんと日向ぼっこをしていた。

 ピカさんに(もた)れて、まったりとしていたのだ。チロもピカの上に乗ってトロンとした目をしていた。


「ロロ、おはようー!」


 皆勤賞のディさんだ。その後ろにテオさんとジルさんがいた。


「いっしょなのら?」

「うん、ギルドで会ったんだ」


 ほうほう、冒険者ギルドの事だな。テオさん達はお隣の国の人なのに、冒険者ギルドに用があるのか?


「冒険者ギルドはね、国に縛られないんだ」


 ふむ、だから?

 俺が思っていたよりギルドは世界的だったのだ。

 色んなギルドがあるけど、各ギルドのギルドタグは共通でしかもそれを持っている人は、ギルドに加盟している国なら入国料が免除されるらしい。

 ギルドの仕事によっては、国を(また)いで移動する事もあるのだそうだ。そんな時に入国料が免除される。とっても良いシステムなのだ。


「父上にギルド経由で、君達兄弟を見つけたと手紙を出したんだ。それでギルドに行っていたんだよ」


 ほうほう、お手紙を。

 テオさんのお父さんは、俺達から見れば伯父にあたるのかな。

 どんな人なのだろう。会ってみたいのだ。

 俺達を心配して、テオさんを探しに出してくれた。優しい人だったら良いのだけど。


「ておしゃんのとうしゃま、ろんなひとなのら?」

「父上か? そうだな、厳しい人だけど愛情豊かで温かい人だよ。ロロ達の事をとても心配しているぞ」

「しょっか」


 ふふふ、それは嬉しいのだ。有難い事なのだ。


「リアとレオはもう出掛けたのか?」

「しょうなのら。りあねえがいくっていって。にこにいも、はたけにいったのら」

「冒険者ギルドで会わなかったな」

「リア達は早いんだよ。早く行かないと良いクエストが無くなってしまうからね」

「ディさんは受けないんですか?」

「僕? 僕はロロと遊ぶんだ」


 俺と遊ぶというよりも、ディさんがお好みのお野菜を吟味する時間なのだけどね。


「ロロちゃん、話していた人なのかしら?」

「しょうなのら。ておしゃん、じるしゃん、しぇるまばあしゃんなのら」


 俺はテオさんとジルさんにセルマ婆さんを紹介した。ドルフ爺さんの奥さんだよと。俺の日向ぼっこ友達なのだ。

 はじめまして~と、お互いに挨拶をしていたのだ。


「ロロちゃん、良かったわね~」


 セルマ婆さんがニコニコとしながら、俺の髪を撫でてくれる。温かくて優しい手なのだ。


「態々探しに来て下さったのでしょう? 心配してくれる大人がいて良かったわ~」

「うん」


 このセルマ婆さんの、おっとりとした雰囲気がとても好きなのだ。

 俺が怖くて一人でお外に出られない時に、とってもお世話になったのだ。


「ロロ、今日はロロの魔法杖を作ろうと思ってね」

「でぃしゃん! ちゅえ!」

「そうだよ。色々材料を考えたんだけどさ」


 話しながら、家に入る。


「あらあら、ご一緒だったのですね」


 マリーが出迎えてくれた。

 手にはディさんの麦わら帽子を用意している。いつもの事だから。


「マリー今日はロロの魔法杖を作るんだ」

「魔法杖ですか?」


 キョトンとしていた。マリーは魔法杖と言われても分からないかな?


「奥様が立派な杖を持っておられましたよ」

「ああ、叔母上は魔法が得意だと聞いた事がある」


 叔母上……そうか、俺達の母様の事なのだ。


「そう、やっぱりレオとロロの魔力量の多さは母親譲りなんだね」

「ディさん、そうなのですか? レオとロロが?」

「そうだよ。この兄弟は見ていて本当に楽しいんだ」


 楽しいとは? 俺達はいつも普通に生活しているだけなのだ。


「でぃしゃん、ふちゅうなのら」

「ロロ、普通のちびっ子がゴーレムを作ったりしないよ?」

「え、しょう? コネコネしない?」

「コネコネはするけど、それがゴーレムになって動いたりはしないね」

「しょう?」


 アハハハとディさんが笑った。俺もゴーレムを作ったつもりはないのだ。


お読みいただき有難うございます!

マリーのイラストも出来上がっています。楽しみにして頂けると!^^;

ロロのイラストを担当して下さっているpotg様が、HONDAのイラストもされているそうです。個展もされていて、びっくりです。めちゃくちゃ可愛いロロになっていますよ〜!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


ここはやはり、リリ④で。(しつこい^^;)

発売中でっす!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ロロは天然ですね٩(^‿^)۶ 心の声がダダ漏れ。それに頼れる大人の人が増えて良かった^_^ 次は、どんな事件が起きるかなぁ❓ [一言] ディさんがロロに魔法の杖を作ってくれるの⁉…
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