267ーハイパー
「だって、ロロ。ハイパーフォリコッコちゃんだって」
「はいぱー?」
「ハイパーなのか!?」
「れおにい、ふぉーちゃんたちはなんてみえるのら?」
「ハイフォリコッコちゃん」
え……?
「それって成功なのか?」
「多分ね。ハイパーだから」
えぇ……?
「ロロ、コッコちゃんに聞いてみたらどうかな?」
「きいてみる?」
「おう、それがいいぞ」
まあ、親なら分かっているだろう。それにこの態度だ。
もう聞かなくても分かる様な気もするけど。だって、とっても満足そうなのだ。
大事な一仕事を終えたね~ッて感じなのだ。
「こっこちゃん、このこ、はいぱーらって」
「コケッ」
「クックック」
「コケッコ」
ああ、やっぱりそうなのか。
「らいしぇいこうらって」
「アハハハ、大成功なのか」
「やったじゃん!」
それにしても、この色だ。親コッコちゃんは真っ白なのに、どこがどうなって真っ黒になるのだ?
それって、おかしいだろう? 遺伝子というものを無視していないか?
「ぴよ」
と、その真っ黒な雛が寄って来た。ヨチヨチと歩いて来る。しゃがんでお手々を出してみた。
「はじめましてらね」
「ぴよよ」
俺の手をクンクンしているのかな? いやいや、犬じゃないのだから。鳥さんなのだから。
「ボクはろろ、よろしくなのら」
「ぴよ」
小さな首をコクンと動かした。おや、言っている事が理解できるのかな?
「もしかして、わかるのら?」
「ぴよ」
「おー、おりこうらねー」
理解できるらしい。さすが、ハイパーなのだ。
俺の手に頭を擦り付けてくる。くぅー! 可愛いではないか。
「ロロ、もしかして話せるのか?」
「らめ。にこにい、まらはなしぇないのら」
「え? ロロ、そうなの?」
「れおにい、ぴよしかいわないのら」
「でもロロ、今話していなかった?」
「ボクのいってることは、わかるのら」
「スゲーじゃん! フォーちゃん達なんて最近だぜ、分かる様になったの!」
ニコ兄、そんな事はないのだ。ニコ兄が最近分かる様になっただけなのだ。
フォーちゃん達だってお利口さんだった。ただちょっぴり、やんちゃだったというだけなのだ。
でも、この子は落ち着いている。やっぱ、ハイパーだからなのか?
「分かるかな? 僕はレオだ。よろしくね」
「ぴよ」
「おー! 可愛いね」
「なんだかフォーちゃん達とは違うよな!? 落ち着いてないか?」
ニコ兄、そんな事を言ったら、フォーちゃん、リーちゃん、コーちゃんが拗ねちゃうぞ。
「俺はニコだ。よろしくな! これから大変だと思うけどさ」
え、もうそれを言っちゃう? それはあまりにも過酷ではないかな? 孵ったばかりなのに。
「ロロ、僕だと能力とか全然分からないから、ディさんに見てもらうんだよ」
「うん」
「名前も考えないとな」
「え……」
「なんだよ、ロロ。名前だよ」
「えぇー……れおにいがちゅけて」
「アハハハ、そこはロロだろう?」
「ええー……」
もうネタ切れなのだ。だって、フォリコッコから取ってフォーちゃん、リーちゃん、コーちゃんなのだよ。もう文字がないのだ。仕方がない。これしかないだろう。
「……ぶらっく」
「いや、マンマじゃんか。それは止めておけよ。ブラックのブーちゃんも無しな」
「え、にこにい。しょう?」
「ああ、それは可哀そうだ」
「アハハハ」
今日は早い時間に一日が始まったのだ。
でも、成功して良かった。またフォーちゃん達みたいな雛が孵ったら、収拾がつかなくなっていたかも知れないのだ。
「キャンキャン!」
「アンアン!」
ああ、また朝から元気な子達が走って来たよ。
「おはよー」
「アハハハ」
レオ兄はまた笑っている。そんなに可笑しいかな?
俺の周りを、キャンキャンと鳴きながら走っているプチゴーレム達。
畑の見回りをしてくれていたのだろう。
「ありがとうね」
「キャン」
と、またピューッと走って行った。もう意味が分からない。
「ロロにおはようを、言いに来たんじゃないかな?」
「しょう?」
「だってロロが親だから」
「ええー!?」
ガビーン! なのだ。
え? ニコ兄まで俺を意外そうに見ている。え? 何? みんなそんな認識だったのか?
「だってロロが作ったじゃん」
「しょうらった」
「ロロの魔力で動いているからね」
「……しょうらった」
「きっとああしてロロの魔力を貰っているんだ」
もう何でもいいや。ちょびっと眠い。
お目々がしょぼしょぼするのだ。
「おう! 起きてたのか」
今度はドルフ爺だ。今朝も早いのだね。
「ドルフ爺、見たか?」
「ああ、雛だろう? 黒ってな!」
「な! そうだよな!」
「どうして真っ白のコッコちゃんから、黒い雛が孵ったのかだ。これは研究したくなるぞ」
やっぱドルフ爺は研究者なのだ。なんだか、親近感が沸いてしまう。
俺も一応、前世は研究者だったからね。鳥さんなんて研究した事ないけど。
「まあ、ディさんが来るのを待つか」
「おう」
「しょうなのら」
ディさんにお名前付てもらおう。うん、それがいい。
「えぇッ!? どうしてだよ。そこはロロだろう?」
と、やって来たディさんに言われてしまった。
いつも通り綺麗なディさんがやって来て。真っ黒な雛を見てお目々をパチクリさせていた。




