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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第5章 大変なのら

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266ーコケッコー

 俺はまだ頭が起きていない。むにゃむにゃと、もう一度レオ兄にくっついて眠ろうとする。だってまだ眠い。早すぎるのだ。レオ兄が背中をトントンするから余計だ。


「コケッコーッ!」

「クックックーッ!」

「コケッコケーッ!」


 ああ、もう分かったよ。起きるのだ。どんどん鳴き声が大きくなっているじゃないか。


「れおにい、きっとしょうら。ひながかえったのら」

「ああ、そっか。言ってたね」


 と、またコッコちゃんが鳴いている。これは起こそうとして鳴いているよね。


「コケッコーッ!!」

「クックックーッ!!」

「コケッコケーッ!!」


 そんなに急がなくても、起きたら見るのに。


「れおにい、おきるのら」

「そうだね、ふふふ」


 レオ兄も苦笑いだ。こんなに煩く呼ばれるとは思わなかったのだ。

 フォーちゃん達が孵った時だって、こんな事はなかった。大人しく、俺達が起きるのを待っていたのに。

 どうしたのだろう? もしかして、失敗だったとか?

 レオ兄と俺の魔力で温めて、とっても凄いコッコちゃんになるはずなのだ。あのやんちゃなフォーちゃん達を、統率するような凄いコッコちゃんに。

 部屋を出ると、お隣の部屋で寝ていたリア姉が顔を出した。眠そうなお顔をしている。


「レオ、ロロ、コッコちゃん達どうしたの?」

「姉上、おはよう」

「まだ早いわよぅ」


 と、言うだけ言って、リア姉はもう一度眠るらしい。ベッドに戻って行った。


「レオ兄、ロロ、これって孵ったから呼んでいるんだよな!?」


 リア姉と同じ部屋で寝ていたニコ兄が、交代で起きてきた。とってもテンションが高い。俺はまだ眠いのだ。


「そうみたいだね。あんなに騒いでどうしたんだろう」

「見に行こうぜ!」


 ああ、本当に俺はまだ眠いのだ。と、フラフラと歩いていたら、レオ兄に抱っこされた。


「ロロ、階段だ。危ないよ」

「れおにい、ねむいのら」

「アハハハ、でも見に行こう」

「うん」


 俺達は外に出てみて驚いた。

 3人揃って、並んでポカーンとお口を開けてしまったのだ。

 直ぐには頭が動かなかった。寝起きだからね、早くに起こされちゃったから。

 そして、とっても自慢気……いや満足気な親コッコちゃん達。やり遂げたと、胸を張っている。

 見に来るのが、遅いじゃないかと言わんばかりだ。


「なんれら?」

「この色なのか?」

「これって、どうなんだろうね?」


 そこにいたのはフォーちゃん達の時と同じ様に、普通の雛よりも一回り大きくて色の違う雛だった。

 その色というのが、とっても意外なのだ。俺は全然予想できなかった。


「まっくろくろ?」

「だな」

鶏冠(とさか)はまだないのかな? 何色になるんだろう?」


 レオ兄もまだ頭が起きていないのかな? 意味の分からない事を言っている。鶏冠の問題ではない。

 俺が言った様に、真っ黒なコッコちゃんの雛が一羽、ピヨピヨと鳴いていたのだ。

 全身真っ黒だ。まだフワフワだけど、黒く艶のある羽毛は光の加減で緑に光って見える。足、爪、くちばしが何故か淡いピンク色をしている。それがとっても雛らしさを醸し出している。

 だけど黒いからかな? どこか威厳のようなものを感じさせる。立派な雛なのだ。

 あれか? 戦隊ものでもブラックって出て来るよね、特別感を出してさ。そんな感じの立ち位置なのかな?


「れおにい、これってしぇいこう?」

「ん? ああ、成功って事かな?」

「しょうなのら」

「どうだろうね」

「でも、大きいぞ」

「そうだね。アハハハ」


 レオ兄、笑ってないで見て欲しいのだ。

 最近、本当によく笑うようになったのは良いのだけど。

 俺はその真っ黒な雛を、短い指でビシッと指差して言った。


「れおにい、みて」

「そうだよ、レオ兄」

「え? 僕が見るの?」


 レオ兄が見ないで誰が見るのだ? レオ兄しか鑑定できないのに。俺が鑑定眼を持っているなら、絶対に見る。速攻で見るのだ。


「いや、ディさんが来るのを待つのかと思って」

「らって、れおにいもみれるのら」

「そうだよ」

「ん~、けど僕はディさん程じゃないよ?」

「いいのら。みて」

「おう、見て」


 ニコ兄と二人で腕を組んで要求した。ちょびっと偉そうなのだ。部長クラスの風格なのだよ。ふふふん。

 俺は幼児体形だけども。しかもまだお着替えをしていない。髪もピョンピョン跳ねている。


「でも、ディさんにも見てもらうんだよ」

「わかったのら。みて」

「早く見てくれよ」

「分かった分かった」


 レオ兄がじっと黒いコッコちゃんの雛を見た。

 ふと、その時気付いた。フォーちゃん達が遠巻きに見ている。三羽並んで、こっちをジッと見ている。

 どうして、寄って来ないのかな? もしかして、新しい雛がいるからなのかな?

 あれれ? ふぉーちゃん達、ちょびっとだけ鶏冠が生えてきていないか? 頭の部分にピンク色の小さな鶏冠がある。

 だからレオ兄は、鶏冠がどうとか言っていたのか。気付かなかったのだ。


「そうだよ、ロロ。最近生えてきたんだ」

「しらなかったのら」

「で、レオ兄。どうなんだよ」

「ああー、よく分からないなぁー」

「ええー」

「なんでだよー」


 とっても期待を込めて待っていたのに、それはないだろう?

 ニコ兄と一緒にガックリとしたのだ。


お読みいただき有難うございます!

黒い雛が孵りました。皆様の予想はどうでしたか?

いつも感想を有難うございます!なかなかお返事できませんが、全部読ませて頂いてます。

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


明後日発売です!宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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