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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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26ー秘密

「これはギルドが作った従魔専用のもんだ。自動で大きさが変わる様になっている。重さも感じないはずだ。そして絶対に物理でも魔法でも、無理矢理外したり壊したりする事ができなくなっている。登録者のレオにしかできないんだ」


 ほう、それはとても凄いのだ。


「この長細いプレートに登録内容を記録させてつけるんだ」


 ほうほう。それも凄い。なかなか、ハイテクなのだ。


「どうする? 2頭ともレオでいいのか?」

「姉上」

「いいわよ。レオに任せるわ」

「じゃあ、僕でお願いします」

「よし」


 ギルマスが長細いプレートと、ピカの首輪とチロのリングを持ってデスクに移動して何やら操作した。デスクの引き出しから平らな板のような物を出し、そこに乗せたのだ。

 サラサラと書類を書く。


「レオ、ギルドカードをくれ。一緒にレオのスキルも更新しておくぞ」

「はい」


 レオ兄が渡したギルドカードと、書類と首輪とリングを板に乗せてまた何か操作した。

 すると、あら不思議。板からふんわりと光が出て、それが収まるといつの間にか細長いプレートが首輪とリングに付いていたのだ。


「よし、これで登録は済んだ。後はこれをつけるんだ」


 ピカの首輪は革の様な材質で真紅だ。チロのは、本物のリングみたいにキラキラなのだ。

 どちらも自動でシュルシュルと大きさが変わった。プラチナブロンド色のピカとチロによく似合っているのだ。


「おおぉー!」

「どうだ、凄いだろう?」

「うん、しゅげー」

「わふ」

「うん、ぴかお似合いら」

「キュル」

「チロもら」


 俺がピカとチロに、話しているのを見てエルフのディさんは言った。


「もしかして、ロロ。ピカとチロが何を言っているのか分かるの?」

「なんとなく……触ったらちゃんと分かるのら」

「凄いね、君達にはびっくりだ。もう1人兄弟がいるんだって?」

「うん、にこにい」

「ニコくんて言うのかい?」

「しょう。薬草そだてるのがとってもじょうず」

「そうなのか? 是非ともニコくんとも会ってみたいな」

「しょうら、れおにい」

「ポーションだよね」

「何? ポーションだと!?」

「僕達が使っているポーションは、僕かロロが作ったものなんだ。使っている薬草は、今話したニコが育てている」

「お前ら兄弟は、マジどうなってんだ!?」

「アハハハ、ギルマス。まあ落ち着いて。ロロは今ポーションを持っているの?」

「うん。いちゅももってるのら」


 俺は、肩から掛けたポシェットから小瓶を出す。いつも持ち歩いている普通のポーションなのだ。


「ほう……」

「ディ、どうなんだ?」

「ギルマス、これは普通のポーションだよ。一般的なね。でも、ロロみたいなちびっ子が作れるなんて聞いた事ないよ」

「まったくだ!」

「とても材料がいいんです」

「にこにい、じょうじゅなのら」

「ん? 薬草を育てるのが上手って事かな?」

「しょうなのら」

「なるほどね~。ロロがもっと魔力操作ができる様になったら上級ポーションだって作れるだろうね」

「おいおい、ちょっと待て! これは一般的なポーションなんだろう!?」

「そうだよ、一般的な中級ポーションだ」

「中級だとぉッ!?」


 もうギルマス、本当に声が大きいのだ。驚いてばかりなのだ。


「俺はもう満腹だぜ」

「アハハハ、ギルマス。何言ってるんだよ」

「だってよぉ、こいつらのスキルだけでもとんでもねーのに神獣に中級ポーションだぞ。ありえねーって」

「確かにそうだね。でもロロは精霊にも好かれている。君の周りに精霊がいるよ」

「ひょぇ……!」


 精霊なんて知らないぞ。あの泣き虫女神め、先に言っておいて欲しいのだ。


「ロロは大きくなったら沢山の魔法が使えるようになるよ。エルフも顔負けだ」

「そんなにですか?」

「レオがロロに魔力操作を教えたのだったね。ロロは真面目に練習しているんだよ。そこに兄姉を守りたいって気持ちが加わって、そのリボンの付与になったんだ。良い子だね」


 そう褒めながら、また俺のお腹をプニプニする。エンドレスだ。

 ちびっ子の、ふわムチボディーには抗えないか?


「でも、リア。無理したら駄目だよ」

「え……」

「君は突っ走ってしまう事が多いみたいだね。リアの気持ちも分かる。でも、もっと君達が大人にならないとどうにも出来ない事もあるんだ。無理も無茶も駄目だ」

「えっと……」

「だからね、大人を頼りなさい。ちゃんと信用出来る大人を頼るんだ」

「は、はい」


 一体何の事なのだ? 俺には全然分からないのだ。

 リア姉は、神妙な顔をして話を聞いていた。レオ兄も分かっているみたいだったのだ。


「じゃあ、みんなで美味しいものを食べに行こう」


 あれ? 突然話が変わったぞ。美味しいものという言葉に反応して、俺のお腹が可愛いらしい音を立てたのだ。


 ――キュルル……


「アハハハ。ロロ、お腹空いたのかな?」

「うん、しゅいたのら」

「よし! 今日はディさんが美味しいものを奢ってあげよう! ギルマス、もういいよね?」

「ああ、皆ご苦労だったな。今日の話は呉々も内密にな」

「はい、ギルマス」

「ギルマス、有難う」

「ありがと」

「わふ」


 なんだか色んな事が分かったりバレたり。でも、ギルマスやディさんに会えて良かったのだ。

 マリー以外で頼りになる大人の人が、リア姉やレオ兄のそばにいるのは良いことなのだ。


お読み頂きありがとうございます!

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