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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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255ールルウィン祭 夜の部 9

「でぃしゃん!」


 ディさんが戻って来た頃には、ブラックウルフの討伐も終わっていた。冒険者の人達が、ブラックウルフの死体を回収したりして後片付けをしていたのだ。

 怪我人も最初に上流で襲われた人達だけで、その人達もピカが持っていたポーションで回復した。

 軽傷の人は、なんとカナリーさんが魔法で治したのだ。カナリーさんは回復魔法が使えたのだ。魔法で戦うタイプらしい。

 夫婦で冒険者としてパーティーを組んでいただけの事はある。

 俺も、いたいのいたいのとんでけ~するぞと張り切っていたのだけど、そんな出番は全くなかったのだ。

 沢山のブラックウルフは取り敢えずピカが収納しておいて、後日ギルドへ出す事になった。


「ロロ、大丈夫だったかな?」

「うん! でぃしゃん、けがはないのら!?」

「大丈夫だよ。アハハハ、なんだかロロのテンションが高いね」


 そりゃ、高くもなる。ララちゃんを守ったのだ。俺にとっては、一世一代の大仕事だったと言っても過言ではない。

 スライム退治の時は、自分は守られる側だった。ニコ兄と一緒に討伐していたと言っても、今とは魔獣の強さが違う。

 何より俺には、ララちゃんを守るという使命があったのだ。


「ろろが、たしゅけてくれたのよ」

「え? 何があったの?」

「キュポン! て」

「え?」


 俺はピコピコハンマーを自慢気に掲げた。もう片方の手は腰だ。どうだ! と、胸を張ってディさんに話した。

 ブラックウルフをピコピコハンマーで殴ったのだと。

 その後はクーちゃんがシールドを張ってくれて、安全だった。


「アハハハ! ロロ、頑張ったね!」

「えへへ。ぴこぴこはんまー、ちゅよいのら」

「本当だね!」


 みんな無事で良かったのだ。

 と、思っていたのだけど、別の意味で無事ではなかった人がいた。


「ご、ごめんなさいぃ……えぇ〜ん……ヒック」


 リュシエンヌなのだ。大粒の涙をボロボロと流しているけど、カナリーさんは容赦しない。


「リュシィ、あなたはこれから私がしっかり教育し直します! もう甘えや我儘は許しません! どれだけ迷惑を掛けたと思っているの!? 貴女の命だって危なかったのよ!」


 リュシエンヌが、カナリーさんにこっ酷く叱られていた。それは仕方ない。それだけ心配を掛けたのだ。


「お、お祖母様! だってお祖父様がぁ……あぁ〜ん」

「あなたが行ってどうなるの!? 戦えるのかしら!?」

「い、いえ……ヒック……」


 だってあの時、咄嗟にニコ兄が出なかったら、ブラックウルフにやられていたのだ。


「ニコだったかな?」

「おう」


 ウィルさんがニコ兄に話しかけて来た。


「本当に有難う。迷惑を掛けてしまったね」

「気にすんな。無事だったんだからもういいぞ」


 おお、ニコ兄。なんて男前なんだ。俺ならムカついていたのだ。いや、助けに出られなくて見ていただけだけど。

 でも、あれだよ。本人にも、ごめんなさいと有難うを言わせなきゃ駄目だと思うのだ。

 そこにカナリーさんと一緒に、泣きべそをかきながらリュシエンヌがやって来た。


「あ、有難う」

「おう」


 それだけ言うとニコ兄は、その場をさっさと離れてドルフ爺の方へと行ってしまった。

 いいのか? 『おう』だけなのか? ほら、リュシエンヌがじっと見ているのだ。


「ニコ、いいのか?」

「ドルフ爺、いいんだ。関わりたくないから」


 ニコ兄の気持ちも分かる。でも、とっても塩対応だった。俺は驚いた。

 まだ俺の女神への態度の方が、ずっとマシなのだ。

 フォーちゃん達がニコ兄の側でピヨピヨと喋っている。

 リュシエンヌの事を、あれは駄目アルね。と、言っているのだ。フォーちゃん達にまで駄目だと言われてしまっている。

 これからカナリーさんが教育し直すと言っているし、俺達はもう会う事もないだろうし。


「みんな! もう大丈夫だ! 仕切り直しだ! 川に花を流してくれ!」


 あれ、また出来るのか? 確かにあれじゃ、供養にもならないかも知れない。


「姉上、折角だから僕達も行こう」

「そうね」

「俺はもう疲れたからここで待ってるぞ」


 ドルフ爺はお疲れだ。そりゃそうなのだ。もう爺なのに、川からテントまであの重いクーちゃんを荷車に載せて走ったのだから。


「わたしもドルフ爺の側にいるのよーぅ」

「ピヨピヨ」

「クックー」

「ピヨヨ」


 フォーちゃん達もドルフ爺といるそうだ。

 はいはい、そうして下さい。


「わふん」

「ぴか、らいじょぶなのら」

「くうぅ~ん」

「しょんなことないのら。れおにいをまもってくれたのら」

「わふ」


 ピカさんが気にしていた。側にいなくてごめん、なんて言ってきたのだ。

 そんな事はない。リア姉を乗せて颯爽と走って行くピカさんは、かっちょよかったのだ。


「ららちゃん、いくのら」

「うん、ろろ。いっしょにいくのよ」


 もう当たり前の様に、ララちゃんは手を繋いでくる。俺も、その小さな手をしっかりと繋ぐ。

 この温かい手を守れて良かった。やっとホッとして力が抜けた気がしたのだ。


「あらあら、ロロ坊ちゃま好かれてしまいましたね」

「ふふふ」


 なんだか、マリーとリア姉の視線が痛いのだ。

 ちびっ子二人が仲良く手を繋いでいるのだ。微笑ましいだろう?


 ギルマスが言った様に、仕切り直しだ。

 折角、平和にお花を流していたのにとんでもない事が起こった。

 でも、みんな無事で良かったのだ。

 川の端にしゃがみ込み、葉っぱのお舟に載せたお花を流す。淡い光の魔石が道を照らしてくれるみたいに流れて行く。

 どうか、安らかに。もしも迷っている魂があるのなら、連れて行って欲しい。

 俺達がそうしていた頃、ディさんやウィルさん、クリスさんは難しいお顔をして何か話していた。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今日アース・スター様の公式Xで発表があったので、もう大丈夫だろうと。

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挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ロロ、ラウちゃんを守ったのでいくらでも誇って良いですよ。 ٩(^‿^)۶ 反対に孫娘は、お祖母様に再教育してもらいましょう。o(`ω´ )o 今後は関わりたく無い部類に入りましたね。…
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