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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第1章 ルルンデで生活するのら

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25ー神獣

「ロロ、このハンカチを持っていたらどうなるのか教えてほしいな」

「ハンカチはあんまりら」

「え? ハンカチは? 他にもあるの?」

「ああ、そうか。ロロ、僕と姉上にくれたリボンだね」

「しょう。りあねえと、れおにいのおリボン」

「え? そうなの?」


 なんだ、リア姉は知らなかったのか?

 レオ兄が髪からリボンを外して、ディさんに手渡した。


「これは……」

「なんとなく、いやいやとか分かるのら。ふふん」


 どうだ? 今の俺の自信作なのだ。


「ん? なんだって?」

「ロロが言っているのは、なんとなく嫌な感じがするから止めておこう。て、分かるって意味です」

「それは素晴らしい。お守りだね」

「しょう。りあねえと、れおにいのおまもりなのら」


 ディさんが言うには、それも付与魔法なのだそうだ。守護するって程まではいかなくても、守られているそうなのだ。

 そんな付与は滅多にないと言われたのだ。


「ハンカチには軽い防御が付与されていたんだ。例えば、躓いたけど転けないですんだとかその程度だよ。でも、このリボンは素晴らしい。守られているね」

「ふふん」


 ちょっと、自慢なのだ。小さい手で、ひと針ひと針頑張った。しかも、おリボンだからハンカチよりずっと刺繍がし難いのだ。


「ロロ、君はそれだけじゃない。なんだい、その加護は?」

「か、かご?」


 なんだ? 俺、分からんぞ。全然覚えがないのだ。


「もしかして、ピカは神獣なのかな?」

「な、な、なんだと!?」

「ピカ!?」

「ロロ!?」


 ああ、駄目じゃん。やっぱあの泣き虫女神、抜けているのだ。バレてるじゃん。

 俺だってピカが神獣だなんて知らなかったぞ。神使って神獣の事なのか?

 冷や汗タラタラなのだ。知らん顔をしておくのだ。


「ギルマス、ここだけの話にしよう。いいかな?」

「おう、当然だ」

「ロロはこの世界の、主神である女神様の加護を受けている。そして、ピカは主神の神獣だ。そのピカの主人がロロだ。ピカの加護もあるね」

「お、おい……これヤベーんじゃねーか?」

「だからここだけの話だ。教会本部に知られると拙い」

「ロロが教会に連れて行かれるって事ですか?」

「そうなるな」

「そんな! ロロは私達の弟です! 離れません!」

「リア、分かっている。だから、ここだけの話だ」

「君達も絶対に他言したら駄目だよ」

「もちろんです」

「はい! 言いません!」


 こら、泣き虫女神。全部バレてるじゃないか。見事にバレバ~レだ。どうするのだ?


「ロロ、大丈夫だよ。ずっと僕達と一緒だ。弟なんだから」

「れおにい……」

「そうよ、絶対に離れたりなんかしないわ」

「りあねえ」

「ロロ。今は土属性魔法だけだ。他が何故か見えないんだなぁ……なんでだろう? まだ使えないって事なのかなぁ? それにしても、付与魔法がこの歳で使えるのはロロだけだ」


 他が見えない? まだ何かあるのか? 

 そういえば、あの泣き虫女神が回復魔法がどうとか言ってた。それが見えないって事なのかな?

 それにしても、今度呼ばれたら絶対に文句を言ってやろう。


「ギルマス、だからピカを登録したいんだ。従魔契約はしていないけど、僕達の犬だって証明する首輪が欲しいんだ」

「なるほどな。そりゃその方がいい。噂を聞いたぞ、あの迷惑令嬢だろ?」

「それもだけど、単純に盗もうとする奴がいたら」

「アハハハ、そんなのピカに敵う訳ねーよ!」

「でも、防げるなら防ぎたい」

「おう、分かった。レオの従魔として登録しておこう。ロロはまだギルドに登録できないからな」

「有難う」

「れおにい」


 俺はレオ兄に目配せした。ピカだけじゃない。チロもいるのだ。


「そっか、チロだね」

「うん」

「ああ、もう1頭神獣がいるんだね」

「な、な、なんだとぉッ!?」


 ディさんが軽〜く言った。ギルマスはさっきから驚いてばかりなのだ。


「ちゃんとロロに加護を授けているよ。何処にいるのかな?」

「だしていい?」

「いいよ」


 じゃあ、遠慮なく。俺は、肩から下げていたポシェットからチロを出した。眠っていた。まだまだ赤ちゃんなのだ。


「あい、ちろ」


 チロを両手に乗せて見せたのだ。小さなポシェットに入って眠っていたから丸くなっているのだ。


「へ、へ、蛇じゃねーか!?」

「ほう……これはまた興味深い」


 ディさんが、ジッとチロを見る。


「僕は何百年と生きてきたけど、こんなに神獣を見るのは初めてだよ。ピカは亜空間収納と風属性魔法だ。そうそう、ピカはワンちゃんじゃなくてフェンリルだね。チロは、回復系全般か。ああ、でもまだ赤ちゃんなんだね」


 バッレバレじゃん。全部バレてるじゃん。泣き虫女神、いいのかよ!?

 それより、今サラッと言ったから聞き逃しそうになったんだけど。


「なんひゃくねんッ!?」

「アハハハ、驚いたかな? エルフは長命種だからね、千年以上生きるんだ」

「ひょぉ~ッ!」


 千年も何するのだ? やる事が無くなってしまわないか? 俺なら趣味を極めていそうなのだ。


「ギルマス、でも蛇に首輪は無理かな?」

「おう、それ用のリングがあるんだ。尻尾につけるんだ」


 それからギルマスはお姉さんに頼んで、ピカの首輪とチロのリングを持って来てもらった。


お読み頂きありがとうございます。

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