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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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248ールルウィン祭 夜の部 2

「でぃしゃん、ひみちゅなのら」


 俺は人差し指をプニッと唇に当てた。


「そうだったね、これも秘密だ」

「とんでもない兄弟だ」


 え? そう? 普通に仲良しの兄弟なのだ。

 衛兵さんと一絡(ひとから)みして、防御壁の外に出ると景色が変わる。

 草原が広がり、少し先に見える暗くなっているところは森だ。あそこに魔獣がいる。

 俺達が魔魚を捕りに行った川もあの森の中だ。コッコちゃんやクーちゃんもあの森にいたのだ。

 昼間とは違って、人も(まば)らだ。

 みんな自分の都合の良い時間に行くのだろう。でも、お祭りだ。川までの街道の脇には灯りの魔石が等間隔に置かれていて、足元を照らしてくれる。

 いつもなら真っ暗な闇に包まれる道だけど、今日はそうじゃない。

 川までの道を、ぼんやりと明かりが照らして教えてくれる。

 満点の星空の下、月明りと魔石の灯りで川までの道が幻想的に見える。

 川は防御壁の外だから、みんな武器を持っている。リア姉はいつもの剣、レオ兄は槍を背負っている。クリスさんも腰に剣を差している。俺とニコ兄も、武器を持っているのだ。

 俺作の、ピコピコハンマー。これに魔力を流して叩くと、魔獣だってイチコロだ。多分だけど。

 川の手前に大型のテントが張られていた。運動会とかにある様なテントだ。

 そこにギルマスがいた。


「おいおいおい! お前達何を連れて来てんだ!?」

「何ってギルマス。フォリコッコの子供だよ」

「そりゃ、見れば分かるさ! 色が違うじゃねーか」

「この子達はちょっと特別なんだ。行くって言って聞かないからさ」

「大丈夫よ、強いから」

「リア、そんな問題じゃねーだろう」

「あら、そう?」

「おいおいおいおい! ドルフ爺!」


 今日は「おいおい」が多いのだ。


「ああ? 何だよギルマス」

「何連れてんだって言ってんだよ!」

「亀だよ。見て分かんねーか?」

「普通の亀じゃねーだろう!? その大きさは何なんだよ! 登録したのはこの亀か!?」


 そうそう、ギルドに登録したのはこのクーちゃんなのだ。


「大丈夫だ。大人しいから」

「そういう問題じゃねーだろう!」


 はいはい、もう良いのだ。その(くだり)は、さっき衛兵さんともやったのだ。

 色々言われてしまったのだけど、無事に川に到着だ。これから夜の部なのだ。


「ロロ、ここで葉っぱとお花と魔石をもらうんだ」

「うん」


 テントの中には、ギルドのお姉さん達がいた。


「ロロちゃん、こんばんは」

「こんばんは~」


 笑顔で俺に挨拶をしてくれたのは、お茶を出してくれたり、フィーネとマティが怪我をした時にポーションが欲しいと言って来たお姉さんだ。

 そのお姉さんから、葉っぱとお花と小さな魔石を貰った。

 テントで、葉っぱでお舟を作る。茎を葉っぱにぶっ刺して、まぁるくして出来上がりだ。

 お舟とかいう程のものでもないのだ。


「はい、灯りの魔石よ」

「あい、ありがと」


 屑魔石と呼ばれている物だ。魔石として使うには小さすぎる、小さな小さな魔石。淡く光っている。

 それと、お花だ。アルストロメリアのお花一輪。

 魔石とお花を葉っぱにのせて流すんだ。

 さあ、川に行こうかという時に、見かけない綺麗な人達がやって来た。護衛らしき人もいる。きっと偉い人なのだろう。


「ディさんが一緒にいるって事は、この子達なのかな?」

「そうだよ。噂の四兄弟だ」


 何だ? どこかで見た様な?


「あー! ぱれーろのひとら」

「そうだよ。末っ子のロロくんかな?」

「しょうなのら。ろろなのら」


 どうして俺の名前を知っているのかな? と、いうか四兄弟って言っていたから、俺達の事を知っているのだろう。

 えっと、確かマリーが王弟殿下だと言っていた。とっても偉い人ではないか。


「この国の王弟殿下ご夫婦だよ」

「初めまして、ウィルセント・テンブルームだ。ウィルでいいよ」

「うぃるしゃん?」

「そうだよ」


 俺は普通に話していたのだけど、レオ兄達やドルフ爺が恐縮して頭を下げていた。

 この国の王弟殿下だというウィルさん。パレードの馬車にも乗っていた。

 ふんわりとした金髪を後ろで一つに結んでいる。クールなアイスブルーの瞳がかっちょいい。確か、Aランクでギルマスとパーティーを組んでいたと聞いたけど。


「ぎるましゅ、なんしゃいなのら?」

「おい、ロロ。お前失礼な事を考えていただろう」


 え、何で分かるのだろう?


「アハハハ、ギルマスとは同い年なんだよ」

「ええー! 見えないのら」

「ほらみろ、失礼な事を考えていたじゃないか」

「らって、ぎるましゅのほうが、おじしゃんなのら」

「こら、ロロ」


 あ、レオ兄に叱られちゃった。


「ふふふ、私は妻のカナリーネ・テンブルームよ。カナリーさんと呼んでほしいわ。ロロくん、よろしくね」

「ろろれいいのら。かなりーしゃん」

「まあ、お利口さんね」


 シェルピンク色のサラサラとした髪に、宝石のトパーズの様な瞳の美人さん。


「えっちょ、かなりーしゃんもAらんく?」

「そうよ。私も同じパーティーにいたの」

「しゅごいのら」

「凄いわ!」


 おや、リア姉と声が被ったのだ。リア姉を見ると、目を輝かせて見ている。だって女の人でAランクだもの。リア姉としては、憧れちゃうよね。


「あら、えっとあなたはリアちゃんかしら?」

「はい! アウレリア・レーヴェントです。お目に掛かれて光栄です」

「ぶふふ」


 おやおや、レオ兄が吹き出している。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

今日も頭の中はリリでいっぱい^^;

新しいイラスト、早く公開したいなぁ。

挿絵(By みてみん)

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