表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

240/486

240ールルウィン祭 4

 首に掛けているレイが少し大きいね。

 人が多いのに、危ないのだ。


「ろうしたのら?」

「う……ひっく」


 ああ、涙がポロポロと溢れだした。


「あらあら、迷子かしら?」

「どうしたの?」

「はぐれちゃったのかな?」

「ロロの服を握ってるじゃん」


 そうなのだ。離してくれないのだ。仕方がない。


「まいごなの? おててちゅなぐ?」


 俺は手を出した。すると、素直に手を繋いでくる。とっても柔らかくて小さな手でキュッと俺の手を握ると、大きな瞳から涙が洪水の様に流れ出した。


「うぇーん、えぇぇーん……あぁーん!」

「あらあら、泣いてしまいましたね」


 マリーがしゃがみ込んで、涙を拭いてあげる。


「えぇーん……ふぇッ、ふえッ、ええーん! とーしゃまー!」

「よしよし、らいじょぶなのら」


 あらら、大泣きなのだ。俺がそっと、ナデナデしてあげると、まだ涙を流しながらコクリと頷いてくれた。

 俺の言う事は分かっているらしい。これは完璧に迷子だね。

 人が多いから、はぐれちゃったのだろう。


「でも、貴族の子供よね?」

「そうだろうね」

「おう、綺麗な服を着てるもんな」


 ニコ兄が言うとおり、見るからに俺達が着ている服とは生地が違う。シャラシャラしていそうだ。


「おなまえはなんていうのら? ボクはろろ」

「ひっく……ろろ?」

「うん、しょうなのら。おなまえいえる?」

「うん……ひっく、らら……グシュ……なのよ」

「ららちゃん?」

「うん」


 そうか、ララちゃんか。て、それだけじゃ分からない。貴族なら家名があるはずなのだけど、そこまでは言えないのかな?


「ふぇーん! えぇーん……ヒック」

「なかないれ」


 コクリコクリと頷く。その度にポニーテールの、ふんわりとした髪が揺れる。

 俺は一番ちびっ子だから、誰かと話す時はいつも見上げていた。それが目線の高さが、俺の方がほんの少しだけ上なのだ。これはとっても新鮮だ。

 それに小さい女の子って、こんなにふわふわなのか? 握っている手が柔らかくて華奢で、同じちびっ子でも俺とは別物なのだ。


「ギルマスのところに連れて行こうか?」

「そうよね。ギルマスなら知っているかも」


 でもね、俺の手をギュッと握っているのだ。どうして俺なのか分からないけども。


「ららちゃん、おなまえじぇんぶいえないのら?」

「え……と、らら……えぇ~ん」

「なかないのら。いっしょにいるのら」

「わふ」


 ピカさんが、お顔をズイッと出して、ララちゃんの手をペロリと舐めた。


「ふぇッ!? わ、わんちゃん!? ヒック」

「しょうなのら。おっきらろ?」

「うん……グシュ」


 ワンちゃんが好きなのかな?


「なれなれして、らいじょぶなのら」


 ほら、と俺が撫でてみせる。


「ヒック……ほんとに?」

「うん、らいじょぶらよ」


 ララちゃんが小さな手を、恐々ピカに伸ばす。

 最初はそっと、でも直ぐに大丈夫だと思ったのだろう。涙が引っ込んで、わぁッといった表情に変わっていく。


「ふわっふわなの!」

「しょうなのら」


 もう涙は止まったね。

 嬉しそうな顔をして、ピカを撫でている。


「わふん」

「おりこうなのね~、おおきいのね~」


 大胆にピカを撫でている。もう大丈夫なのだ。ピカさん、ありがとう。

 やっとララちゃんの涙が止まって、ギルマスのところに行こうかと話していた時だ。

 舞台に楽器を持った人達が出て来て、演奏を始めた。軽快でリズミカルな音楽が広場に流れる。

 一体どうなっているのだ? どうするのだ?


「れおにい」

「うん、凄いね。これじゃ移動するのは無理だ」

「行きましょう」


 マリーとユーリアが手招きしていた。マリーはこんな時でも大雑把で呑気なのだ。

 音楽に合わせて、集まっている人達が自然と輪になって踊り出した。みんな弾けるようなとっても良い笑顔だ。

 パンパンと手を叩いたり、軽やかな掛け声まで聞こえてきた。

 マリーとユーリアや、孤児院の子供達も輪の中に入って踊っている。

 ああ、これじゃ移動するのも探すのも難しいかな。

 ご褒美といい、このダンスといい、先に言っておいてほしい。俺は驚いてばかりで、ドキドキしているぞ。


「ロロ、行くよ」

「うん、れおにい」

「ララちゃんも一緒に踊ろう?」

「ららちゃん、らいじょぶ?」

「うん!」

「アハハハ、ユーリアも踊ってるぞ」

「ニコ! 踊りましょう!」


 ほら、ユーリアのご指名だ。明るい音楽に合わせて、軽いステップで蝶が舞う様に踊る。

 途中でパンパンと手を叩きながら、足で地面をコツコツとつま先で小突く。

 手をヒラヒラさせたり、隣の人と繋いだり。踊りの輪が二重にも三重にもなっている。

 俺達はマリーがいる輪に入って、真似事をする。

 ララちゃんとお手々を繋いだまま、二人で踊りの輪に入るのだけど何をどうすれば良いのか分からない。


「ロロ坊ちゃま、マリーを真似てください」

「まりーはしってるの?」

「はい。この街の出身ですから」


 ララちゃんと手を繋いで踊る真似事をする。俺なんてちびっ子だもの。みんなが右手を出しているから真似をしようとしても、もう次の振りに移っている。

 全然、付いて行けないのだ。


「ロロ、可愛い!」

「りあねえ、わからないのら」

「ロロ、上手だよ」

「ええー! キャハハハ!」

「ララちゃん、可愛いわよ」

「うふふふ!」


 ララちゃんも、もう笑顔だ。なんだか楽しくなってきたぞぅ。


お読みいただき有難うございます!

小さな女の子、ララちゃんの登場です。ちびっ子の女の子は初めてなので、可愛く書けるかしら?^^;

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は、是非とも下部↓にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


リリ④のイラストが上がってきてます。早く皆様に見て頂きたい!

と、いう事で、今日は1巻のリリです。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 迷子ちゃんの名前はララちゃん。小さい女の子は可愛いよね。 出会えたのがロロ達で良かった(๑>◡<๑) 中には悪い大人がいるからね。踊りの輪の中に入ればもしかしたら親御さんの目に止めるかも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ