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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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226ー魔王降臨

「まんどらごらなのら」

「え? またなの?」

「しょうなのら。しちゅこいのら」

「わふん」


 ピカも、しつこいと言っている。このマンドラゴラ、いつの間にか池の端に移動して来るのだ。

 本当、ピコピコハンマーを作っておいて良かったよ。


「ロロ、ピカに乗るのは良いけど、あんなに速く走ったら駄目だ。ピカもだよ。分かるよね?」

「え、れおにい。らいじょぶなのら」

「わふわふ」

「大丈夫じゃないよ。もし落ちたらどうするんだ?」

「ちゃんと、もってるのら」

「わふん」


 俺はちゃんと手綱を持っているし、ピカも僕が落とすわけないよ。と、言っている。でも、レオ兄の目が怖いのだ。

 これは、怒っている時の目だぞぅ。

 しまったなぁ。まさか見られているとは思わなかったのだ。ね、ピカさん。


「わふん」

「ピカ、僕もピカの言っている事が分かるんだからね」

「くぅ~ん」


 あ、またまたしまったのだ。そうだった、レオ兄も分かるようになったのだった。

 ピカさん、どうするのだ? ヤバヤバだぞぅ。

 目はとっくに泳いでいて、ちょっぴり変な汗が流れてしまいそうなのだ。


「それにロロ。その手に持っているのは何?」

「これは、ぴこぴこはんまー」

「え? ピコ?」

「しょう、ぴこぴこはんまー。ちゅくったのら」


 ふふふん、どうだ? なかなか良いだろう? 叩いた時の音がちょっぴり予想外なのだけど。

 まさかあんな音が、標準装備だとは思いもしなかったのだ。


「前に土で作っていた物かな?」

「しょうなのら。これれ、ばしこーんて」

「マンドラゴラを見つけたら、ドルフ爺を呼べば良いだろう?」

「よんだのら」

「だから、ピカに乗って走るのは駄目だ」

「えぇー」

「駄目だよ。ね、姉上」

「そうよ、あんなに速く走ったら駄目よ。ピカ」

「わふん」


 大丈夫なのに。と、ピカが言ってしまった。


「だからね、ピカ」

「わふ」


 ほら、怒られちゃった。

 レオ兄の背後に、魔王が見えてしまうのは俺だけなのだろうか?

 それから俺とピカは、レオ兄にこってり叱られたのだ。

 あんなに速く走ったら駄目と、ピカは注意されていた。

 俺は、乗るのは構わないけど片手を離しちゃ駄目と叱られた。両手でしっかり手綱を持ちなさいと。

 なのにまだレオ兄のお小言は続いているのだ。


「ロロ、スピードアップって何かな?」

「え、えっちょぉ……」


 しまった。そんな事も聞かれていたのか!?

 不味いぞ、とっても不味い。こんな時にディさんはどこ行った? ヘルプ希望なのだ。


「おや、おかえり~」


 大きな籠に沢山お野菜を入れて、呑気にディさんが戻って来た。いつもの麦わら帽子を被っていて、首にはタオルを巻いている。

 この場に似つかわしくない格好と、爽やかな笑顔でピカピカの髪を靡かせて登場だ。

 またお野菜を採りに行っていたのか。どれだけお野菜を食べるのだ?

 それよりも、ディさん。ピンチなのだ。今俺はとってもピンチなのだよ。


「ディさんは知っていたんですか?」

「ん? 何かな? ああ、マンドラゴラ?」

「違いますよ。ロロがピカに乗っている事です」

「ああ、あのハーネスがあるから、上手に乗るようになっただろう? すごく速く走るようになったね。アハハハ!」


 言ってしまった。

 ディさん、アハハハじゃないのだ。

 今それを言ってはいけない。空気を読もう。

 ほら、目の前にいるレオ兄の頭に、角が2本生えているのが見えないか?


「それが問題なんですよ。もしロロが落ちたりしたら、どうするんですか!?」

「大丈夫だよ。ロロは上手に乗っているし、ピカだって気を付けているから」

「ディさん……」

「え? あれ? ロロ、僕なんか不味い事を言ったかな?」

「でぃしゃん、もうおしょいのら」

「えぇー? 何だよぉー!?」


 それからまだレオ兄のお小言は続いたのだ。

 リア姉はとっくに飽きちゃって、マリーにおやつをもらって食べていたりするのに。


「ロロ、分かったかな?」

「あい」

「ピカもだよ」

「わふ」


 思わずレオ兄の前で、正座をしそうになってしまった。しないけど。

 それでも、直立不動なのだ。ピカさんはきちんと前足を揃えてお座りだ。尻尾が情けなく体に巻き付いている。


「そんな事より、レオ」

「ディさん、そんな事ではありませんよ」


 ほらまた。ディさん、空気を読もうと言っているのに。

 ディさんまで、俺とピカの隣に並んで叱られている。直立不動なのだ。お野菜が沢山入った籠を抱えたままで。


「でもレオ、気付いてる? ロロの持っている武器(?)だよ」

「ピコピコハンマーでしたっけ?」

「そう、ロロが土で作ったんだよ。なのに、この強度。それに音!」

「音?」


 そうなのだ。もう気付いている人もいるだろうけど。

 土で作ったピコピコハンマーなのに、バシコーンと殴ると音が鳴るのだ。

 どんな音なのか聞かせてあげよう。

 俺はしゃがみ込んで地面を軽く叩く。


 ――きゅぽん!


「ぶふッ!」


 あ、笑ったね。レオ兄、今笑ったよね? 

 俺も可笑しいとは思う。初めて聞いた時には、土製なのにこの音なの? て、思ったもの。

 でも、鳴っちゃうのだから仕方がない。もう少し強く叩いてみよう。


 ――きゅぽぽん!


「アハハハ! ロロ、その音は何なの!?」

「らって、れおにい。なっちゃうのら」


 もう1回鳴らしてみようか?


 ――きゅぽぽぽん!


 なんてふざけた音なのだろう。もう1回いっとく? いっとこうか? それ!


 ――きゅぽぽんぽん!


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告を有難うございます!

惚けたロロも、また可愛い♡と、思うのは私だけでしょうか?^^;

応援して下さる方、面白かったよ〜と思って下さる方は是非とも下部↓にある☆マークから評価をしていただけると嬉しいです。

宜しくお願いします!


只今SS考え中…と、言う事で今日はリリです。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] ピコピコ言わないピコピコハンマー! むしろ叩いたらなんか出てきそうな音がしてるよねw
[一言] ぴこぴこハンマーじゃなくて。踏んで歩くと鳴るぴこぴこスリッパ的なの有りました。私が小さい頃目を離すと居なくなるがぴこぴこと音を立てて脱走すると近所のお姉さんたちがあー今あっちにって教えてくれ…
[一言] ピコピコハンマーなのに独自進化したようですね。 マンドラゴラを気絶させる強度に似合わない面白い音でした。
感想一覧
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