表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

223/486

223ー手紙(レオ視点) 1

「レオ、リア、ちょっといいか?」


 クエストを終えて、ギルドに戻って来たらギルマスに呼ばれた。何だろう? 思わず姉上を見た。


「姉上?」

「何? 私何もしていないわよ」


 そんな事は言ってないよ。少しだけ思ったりしたけど。でも、一体何だろう?

 もしかして、またロロが何かやらかしたのかな? なんて思いながら、2階に上がりギルマスの部屋へと向かった。


「おう、家じゃない方が良いかと思ってな」


 という事は、ニコやロロのいないところでって事か。何の話なんだろう。

 姉上と僕はギルマスの向かいに座る。いつもお茶を出してくれるお姉さんが今日はいない。

 果実水でいいよな? と、ギルマス自ら入れて出してくれた。

 これはもしかして、人払いをしていると言う事なのかな?


「いや、別にニコやロロがいても構わないとも思うんだけどな」


 と、前置きしてギルマスが二通の封書を出してきた。ちゃんと家紋が刻印された、シーリングをしてある淡いブルーの上質な紙の封筒だ。

 こんな上質な紙は貴族しか使わない。久しぶりのツルツルとした手触りだ。

 両親が生きていた頃は、そんな事を考えもせずに当たり前のように使っていた紙。庶民はこんな上質の紙は使わないと、この街に来てから知った。今は僕達も、もっと手触りのザラザラとしたペンの滑りが悪くて、インクの馴染みも悪い茶色っぽい紙を使っている。

 フィーネに文を書く時に、少し紙質の良いレターセットを態々購入したくらいだ。

 その綺麗な淡いブルーのを封書を手に、少しの間見つめてしまった。


「これは?」

「フィーネからだ。フィーネの兄さんからのもある。ギルド経由で送って来たんだ。その方が早いし確実だからな」


 そんな事ができるのか? 貴族だからだろうか? 武官家系だと言うし、融通が利くのかも知れない。


「まあ、あいつらの父親や兄貴は偉いさんだからな。そんな裏技も有りって事だ」


 フィーネとマティだけでなく、家族全員が冒険者ギルドに登録していると言う。しかも、母親もだ。それに全員Cランク以上だと言うから、本当に武官家系なんだ。

 まさか母親までCランクなんて思いもしなかった。

 フィーネには例の、調査の申立てをするのに力を貸して欲しいと(ふみ)を出していた。きっとその返事なのだろう。

 調査の申立てには「何人かの貴族が連名」で必要なんだ。


「中は見てねーぞ」


 そんな事、言わなくても信頼しているのに。


「ここで読んでいっていいぞ」

「そう? じゃあ……」


 僕は先ずフィーネからの文を開けた。少しドキドキする。姉上にも見えるように、文を読む。

 その文には、お兄さんに話を付けてくれたとあった。そのお兄さんが手を貸してくれるから、いつでも言って欲しいと。

 有難い。良かった。ホッとして、小さく息が漏れた。肩の力が抜けた。

 フィーネは協力してくれるだろうけど、そのお兄さんとなるとどうなのか? 自分で思っていた以上に、不安だったみたいだ。

 もしも、フィーネのお兄さんが協力できないとの返事があったら、他の貴族なんて僕達にはもう当てがないのだから。

 問題が一つ解決できたような気分になった。まだ何も解決なんてできていないというのに。それでも、一歩進めたんだ。

 フィーネの文には続きがあった。ただ……『その時にお父様の耳にも入ってしまったから、もしかしたら少し面倒な事になるかも知れない』とあった。もしもそうなったら、ごめんなさいと。


「面倒な事って何だろう?」

「ね、別にお父様の耳に入ってもいいんじゃないの?」

「ああ、そういう事か」


 ギルマスが教えてくれた。フィーネ達の父親は第1騎士団団長。お兄さんが、第3騎士団副団長。

 その父親とお兄さんはとても正義感が強いのだそうだ。特にお父上は、そうなのらしい。騎士団長なんてやっているのだから、それもそうなのだろう。


「それに何に対しても、めちゃくちゃ熱い人なんだ。俺も会った事あるけどな、圧が強いのなんのって」


 僕達にとっては、ギルマスだって充分圧が強いんだけど。そのギルマスが、そう言うくらいに熱い人。

 何にでも一所懸命で正義感が強い。それ故に、少し先走ってしまう事もあるのだそうだ。

 そこがフィーネの言ってきた『少し面倒』なところらしい。


「ふふふ、そんな貴族もいるのね」

「こらこら、リア。そんな言い方をしたらいかんぞ」

「あら、そう?」


 僕も姉上と同じ事を思った。だって、僕達が知っている貴族の中にはそんな人はいなかったから。

 庶民になった僕達を見下し(さげす)んだ貴族しか知らない。


「まあ、良かったじゃねーか」

「うん、そうだね。ほっとしたよ」


 そう言いながら、もう一通の文を開封する。これはフィーネのお兄さんからの文だ。

 フィーネと同じレターセット。透かして見ると、家紋が入っているのが分かる。その上、家紋のシーリングもしてある。

 確実にフィーネの家、アウグスト家からの文だと証明できると言う事だ。

 その封筒に入っていた文を姉上と一緒に読む。

 驚いた。思わず姉上と2人で顔を見合わせたくらいだ。


「ギルマス」

「おう、何て書いてあんだ?」


 僕は答えずに、文をギルマスに手渡した。


「読んでいいのか?」

「うん、意見を聞きたい」


 そうか、と言ってギルマスが文を読んだ。


お読みいただき有難うございます!

今日と明日はレオ視点でのお話になります。

応援して下さる方、明日も読むよ〜と、思って下さる方は、是非とも下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

感想や誤字報告を有難うございます。

誤字報告で懐かしい方のお名前を見て、ちょっとほっこりしたりします。続けて読んでいただいているんだと、嬉しく思います。

有難うございます!


今日はリリです。

まだ暫く私の頭の中の大部分をリリが占めています。

頑張ります〜!(๑˃̵ᴗ˂̵)/

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今の領主さんて領主の仕事してないよね。スライムを大きくしたり チクッてしまえ。
[良い点] おう〜一歩前進かぁ?ギルドマスターに呼ばれた時は又リア姉が何かやらかしたと思ったけどƪ(˘⌣˘)ʃ 手紙は、待ちに待った返事。それも朗報やった‼️ だけどフィーネのお兄様からの手紙••••…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ