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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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219ーやり直し

「アハハハ! 一人でやると、何でそうなるんだ?」

「わかんないのら」


 だめだ。迷宮にハマってしまったのだ。何故か一人だとスキップが上手くできない。

 同じ様にしているつもりなのだけど。おかしいなぁ~。

 平和なのだよ。そんな事をしながら教会にやって来た。俺の完璧なスキップのお披露目はまた今度なのだ。


「こんちはー」


 元気よく教会に入って行く。奥からビオ爺が出て来た。


「おう、ロロ。みんなで来てくれたのか」

「ビオ爺、畑を見に来たんだ」

「ああ、ディもすまんな」


 ビオ爺がドルフ爺にお礼を言っていた。コッコちゃん達のお野菜の事なのだ。


「息子が『うまいルルンデ』に野菜を卸す事になったんだ。だから(つい)でだ」

「そうか? 助かるよ」


 ドルフ爺の息子さんが『うまいルルンデ』にお野菜を配達する事になった。その時に教会の前に、コッコちゃん達のお野菜を置いておいてくれる。

 子供達で息子さんの店に取りに行くと言っていたのだけど、量が多いからと息子さんが配達を引き受けてくれたのだ。

 それはとっても助かる。この先、もっとコッコちゃんは増えるだろうし。

 話しながら教会を抜け、孤児院の方へ向かう。裏庭に出ると小さな子達とハンナがいた。

 みんながいる裏庭の片隅に小さな畑を作ってある。ドルフ爺とニコ兄の出番なのだ。


「こりゃロロの言う通り、基本が駄目だな」

「本当だな」


 ほら、そうだろう? 俺の言った通りだろう?

 俺はニコ兄の隣で偉そうに腕を組んで見ている。俺のお腹もポヨンと偉そうに出ているのは、見なかった事にしてほしいのだ。


「ロロ、偉そうだな」

「にこにい、らめらめなのら」

「そうだな」


 ふむふむ、で? どうするのだ?


「ドルフ爺。どうする?」

「これは植え替える方が早いだろう。土からやり直しだ」

「そうだよな」


 なんですと? 植え替える? 土からやり直し? 全然分からないのだ。


「ニコ、いけるか?」

「おう、任せろ」


 答えたニコ兄が畑の地面に手をやり地面をジッと見つめる。すると、ボコボコと地面が波打った。

 何なのだ、あれは!?


「あれは地面の表面を柔らかくしているんだ。ニコったらいつの間に、こんなに土属性魔法を使えるようになったんだろう? 凄いや」


 ディさんが感心しているのだ。硬そうな地面がボコボコと波打っている。

 植えられていた、ちょっとヒョロッとしたお野菜も根っこごと掘り返されている。

 ニコ兄が、籠にお野菜を片っ端から回収していく。その後からドルフ爺が、大きな袋を抱えて畑に何かを撒いている。


「でぃしゃん、あれなんらろ?」

「あれは畑の栄養分だね。ずっとあそこで野菜を作っていたから、土に栄養が少なくなっているんだろう」


 なるほど、先に土を作るのだな。土からやり直しとは、この事なのだ。

 

「ニコ、いいぞ」

「おう」


 またニコ兄の出番らしい。ニコ兄が畑の地面に手をやると、またボコボコと地面が波打った。

 池を作った時には、地面をどう掘ったら良いのか分からないと言っていたニコ兄。

 なのに、これだよ。小さいとはいっても畑だ。その畑全部を土属性魔法で、あっという間に耕してしまったのだ。

 やっぱ俺の兄2人は凄いのだ。


「凄いなぁ、あれで土を混ぜているんだ」

「ほぉ~」


 次にドルフ爺は、肩に担いで持って来た鍬で畑に畝を作り出した。

 本当に全部植え替えるつもりなんだ。

 平らな地面に、植えてあっただけの畑に畝を作るつもりなのだろう。基本からやり直しなのだ。


「でぃしゃん、はやいのら」

「ね、2人共手慣れたもんだね」


 そうなのだ。ドルフ爺が、慣れた手付きでどんどん耕して行く。ドルフ爺が畝を作ると、ニコ兄が野菜を植え替えて行く。しかも、手から水をシャワーの様に出しながらだ。


「ニコは土属性魔法だけじゃなくて、水属性魔法も使い熟しているじゃない」

「しゅごいのら」

「凄い早いですね。もう畑らしくなってきました」


 ハンナも感心して見ている。ハンナとビオ爺だけだと、こんな本格的な畑を作るのは難しいのだろう。

 ハンナは女の人だし、ビオ爺はもうお爺さんだし。て、ドルフ爺もお爺さんなのだ。いつも元気で、アグレッシブだから時々忘れちゃう。

 俺は畑を、どうすれば良いのか分からない。


「ちゅれてきて、よかったのら」

「本当だね、流石だよ。土が蘇ったよ」


 あれれ、ディさんの目までキラッキラしてきたぞぅ。


「でぃしゃんもやりたいの?」

「うん、僕は自然と共存するエルフだからね」


 よく分からないけど。ディさんがウズウズしているのだ。なら手伝ってきても良いのに。


「僕が行くと邪魔になっちゃうよ」


 あらら、それは残念なのだ。それくらいに、ドルフ爺とニコ兄の息がぴったりだった。

 毎日一緒に、作業しているからこそのコンビネーションなのだ。

 見る間に立派な畑が出来上がった。


「こんなもんか?」

「おう、上等だ」


 かっちょいいぞぅ! 思わず拍手なのだ。パチパチパチ!


「どるふじい、にこにい、しゅごいのら!」

「本当に凄いよ! 立派な畑だ!」


 ディさんやハンナも拍手をしている。まさかこんな短時間で、畑を作ってしまうなんて思いもしなかったのだ。


「ニコの土属性魔法があるからな」

「へへん、どうってことないぜ」


 ニコ兄の隣で同じ様に胸を張ってみる。ふふふん。どうだ? 俺の兄は凄いだろう?


お読みいただき有難うございます!

ニコの見せ場です。地味ですが。^^;

感想や誤字報告を有難うございます!

応援して下さる方、次も続けて読むよ!と、思って下さる方は、是非とも下部↓にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします!


今日は現在書籍化作業中のリリを!

残念ながら4巻のイラストはまだなので、3巻の書影をどうぞ〜!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] しゅきっぷ迷宮入りしちゃうロロくん可愛い♡ ニコ兄の畑作りしゅごいのら~!
[良い点] ドルフ爺とニコ兄の息があったコンビネーション。 これで一安心、後は種子を蒔くだけ。ドルフ爺とニコ兄が耕した畑だからきっと美味しい野菜が取れそう。^_^ ディさんもテンションがマックス!  …
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