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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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215ーまだいた

「それでね『うまいルルンデ』で使うお野菜も、ドルフ爺の息子さんが卸してくれる事になったんだ」


 ほうほう、ならディさんにとっては朗報ではないのか?


「そうなんだよ! 『うまいルルンデ』でも美味しいお野菜が食べられるんだ!」


 とっても嬉しそうなのだ。

 ディさんは、お野菜が大好きだから良かったのだ。

 庭先でディさんやセルマ婆さんと、のんびりとそんな話をしていたら視界の隅で何かが動いた。

 ん? 何なのだ? と、思いそっちを見てみる。

 昨日、レオ兄やニコ兄と作った子亀さん達のための小さなお池。その周りに盛った土に、何処かで見た艶々とした美味しそうな緑の葉っぱがチラホラ。


「え……なんら?」


 俺はトコトコと池に近寄って行く。これから土に入りますよと、白い大根さんの様なものがモゾモゾと動いている。

 白い体にはお爺さんのようなお顔があるのだ。

 なんですと!?


「でぃ、でぃしゃん! でぃしゃん!」


 俺は驚いて、手でブンブンとおいでおいでとしながらディさんを呼んだ。


「ロロ、どうしたの?」

「な、な、なんれまらいるのら!?」

「おやおや、マンドラゴラか」


 そうなのだ。昨日池を作る為に掘った土を池の周りに盛っていた。

 そこにお爺さんのようなお顔のある、白いムッチリとした体で2本の足に見えるものをクネクネと動かし、土に入っていくマンドラゴラがいたのだ。

 あ、バレちゃった! と言わんばかりだ。でも、土に入るのは止められないらしい。ズボボボと入っていく。


「昨日盛ったばかりで、土がフワフワだからだね」


 いやいや、呑気な事を言っている場合ではない。ここは呼ぶしかないのだ。


「どーるーふーじぃー!!」


 俺は畑に向かって、大きな声でドルフ爺を呼んだ。広い畑のどこにいても聞こえるように、体全体で呼んだのだ。

 思わず両手が、グーになっている。力が入っちゃったね。


「おう! どうした!?」


 ピューッと、ドルフ爺が走って来た。プチゴーレム達も、後を付いて走って来る。走るのが早いなぁ。


「見て、見て! まんどらごら!」

「まだいたのか。こいつらしぶといんだよ」


 少し前に、森からクーちゃんの背中に乗って来たらしいマンドラゴラ。

 騒ぎになった時に、全部回収したつもりだった。なのにまだ畑に残っていたらしい。


「無理矢理引き抜かなければ害はないんだ。美味いしな。散らばらない様に一箇所に集めていたんだが、こっちまで移動したのか」


 んん? 意味が分からないのだ。

 実はドルフ爺、今迄も何個かマンドラゴラを見つけて退治していたらしい。

 マンドラゴラは無理矢理引き抜くと、叫び声を上げて状態異常を引き起こしてしまう。

 叫ばないように、先にバシコーン! と、殴って気絶させてから抜くのだ。

 マンドラゴラは美味しい。しかも、売れる。珍しいから良いお値段で売れるのだ。

 ドルフ爺は、美味しく食べていたらしいけど。


「殴って気絶させたら害はない。だから見つけたら、畑の隅に移動させていたんだ」

「どるふじい、たべるから?」

「おう、美味いからな」


 知らなかったのだ。まさかまだマンドラゴラがいるなんて。

 しかもドルフ爺は食べるために、マンドラゴラを移動させたりしていたのだ。

 それってもう、マンドラゴラを栽培しているのではないか?


「アハハハ! そんな大したもんじゃねーぞ」


 いやいや、どう考えても増えているではないか。

 そんな話をしていると、また何処からかマンドラゴラがトコトコとやってきて、池の周りにズボボボと入っていく。


「いやいや、待って。ドルフ爺!」


 今度は何なのだ? ディさんが、家の横に作っているニコ兄の畑の方を見ている。


「いつの間に、あんなに大きくなっていたんだよ!」


 ディさんが見つけたのは、ドルフ爺とニコ兄が試しに育てていたリカバマッシュだ。

 リカバマッシュが生えていた木も、森から持って帰ってきて菌を植え付けていたのだ。

 それが、立派なリカバマッシュに育っている。


「なんだ、ディさん。気付かなかったのか?」


 今迄育てた事例はないと、ディさんが話していたリカバマッシュ。それが、何個も立派に育っている。

 しかも、大きいぞぅ。食べたら美味しいのかなぁ? お醤油を滴らして焼いたら美味しそうなのだ。醤油はないのだけど。パスタも良いかなぁ。


「ロロ、そんな問題じゃないよ」

「あい」


 ディさんのお顔が、ちょっぴり怖いのだ。


「ニコと試しに育ててみたら、上手くいったんだ。ワッハッハ」

「いやいや、ドルフ爺。笑い事じゃないよ! これは褒章モノだ!」

「そんな大袈裟なもんじゃねーよ」


 大袈裟なものらしいよ、ドルフ爺。

 俺は、ディさんと一緒にドルフ爺をジトッと見つめる。


「え? そうなのか?」


 当然なのだ。エルフのディさんでさえ、育てた事例を知らないと言っているのだ。それだけ育てる事が困難なのだろう。


「要は菌類と同じなんだ」


 ドルフ爺がそう言った通り、育て方は椎茸と同じなのだ。

 前にドルフ爺がやっていた様に、どんぐりを砕いた物の上にリカバマッシュを置いて菌をつける。

 それを小さな棒状にして、木に埋め込むんだ。日陰で育てると良いらしい。

 普段は直射日光や雨が、掛からないように布を掛けたりしてある。だからディさんも気付かなかったのだろう。


お読みいただき有難うございます!

覚えておられた方はいらっしゃるでしょうか?あの時のマンドラゴラがまたまた登場です。

応援して下さる方、明日も読むぞー!と言って下さる方は是非とも下部↓にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


今私の頭の中はリリでいっぱい^^;

早くリリの新しいイラストが見たいなぁ!

今日は私の大好きなリリの②表紙です!

超可愛い!イラストレーターのnyanya様天才か!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ドルフ爺の発想が面白い。マンドラゴラを移植するなんて^_^ 美味しい物の為なら努力を惜しまないドルフ爺は偉大だ。 まだまだ、増えそうですネ。 [一言]  マンドラゴラでのお漬物、フューシャ…
[気になる点] 前から思ってたけどドルフ爺は只者では無い! よくある「転生したら王国に独りしかいない大賢者みたいだけど田舎でのんびりスローライフします」みたいなやつに出てくる元有名賢者とか~ でもクー…
[一言] 最近ランキングから発見し、ここまで追いつきました。 4兄弟と動物(?)たち、周りの人たちみんな可愛らしくて最高です! それにしてもドルフ爺、(わかっていたけど)ディさんとタメ張れるくらい規格…
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