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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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207/485

207ー誰似?

「だから、ロロ。くすぐったいって! アハハハ!」

「にこにい、がまんなのら」

「ロロが触ってもわからないだろう? アハハハ」

「らって、しゃわりたいのら」


 ふむふむ。やっぱり全然分からないけど、俺の腕とは全然違っている事だけは分かるのだ。


「ニコ、畑の仕事が終わったら教えてあげるよ」

「うん、分かった。じゃあな、ロロ」

「うん」


 ニコ兄って運動神経がとっても良いのだ。走るのだって早いし、二の腕には筋肉が付いている。お腹だって、俺みたいに出ていない。

 俺のお腹は、一度触るとやめられないよ? 癖になっちゃうよ? プヨプヨでとっても触り心地が良い。それに魅了されてしまったのが、リア姉なのだ。


「ロロは先ず、弓を持つ練習からだね。ちびっ子だけど、できない事はないからさ」

「しょうなの?」

「そうだよ。エルフのちびっ子は弓を射るよ。しかも魔法の矢を出すよ」

「ひょぉー!」


 よし、俺も負けていられないのだ。魔法の矢を出してやろうではないか。なんて、出来ないのだけど。

 まあ、ダメ元だ。弓にディさんが出した様な、緑色の魔法の矢を……まさか出せるはずないのだけど。と、考えながらちょびっと集中してみる。すると光が……!


「ロロ!」

「え……?」


 なんと、一瞬だけど緑色の矢が現れたのだ。直ぐにシュンッて消えちゃったけど。

 ディさん出した光り輝く矢とは違って、線香花火が燃え落ちる時の様な、弱い光だけど確かに出たぞ。

 これは、もっと集中だ。よし、もう一度だ。


「よしッ! むむむむ」


 お腹の下辺りにある魔力を意識して、緑色の矢をイメージする。ディさんの魔力でできた緑色のキラキラと輝く矢。それを弓に番えるんだ。

 すると今度はしっかりと、魔法の矢が現れた。ディさんほどクリアな緑ではない。ちょっぴり薄い緑色で、輪郭がフヨフヨとしていて不安定だ。それでも、ちゃんと矢の形をして弓に番えている。

 足は肩幅に開き、堂々と立って構える。お腹がちょっぴり出ているのは、見なかった事にしてほしいのだ。そして、淡い緑色の魔法の矢を番えた弦をグググッと引っ張る。

 どうだ? なかなか、かっちょいいのではないか? ふふふん。


「ロロ、そのまま射ってごらん」

「うん」


 ヨイショと引っ張っている弦をそのまま放つ。


 ――ピュ~……ボテッ……


「ああ、おしいな」


 俺が放った矢は、そのままカーブを描いて直ぐそこにポテッと落ちて消えたのだ。

 魔法の矢を出せはしたのだけど、射るとディさんの様に飛ばなかった。

 そりゃそうだよ。弦を引っ張る力が全然足りていない。


「でも、凄いよ。初めてで矢を出せるなんて! ロロは本当に凄い!」

「えへへー」


 褒められちゃったのだ。飛ばなかったけど。それでも、魔法の矢を出せただけで満足なのだよ。ふふふん。レオ兄が帰って来たら自慢しよう。


「ロロ、その魔力で身体強化すれば、楽に射る事ができるよ」

「し、しんたいきょうか?」


 ディさんが教えてくれたのだ。お腹の下の方にある魔力を、体全体に巡らせて……て、そんな事できるのか? むむむ、チャレンジなのだ。


「むむむむ」

「プフフ」

「でぃしゃん、わらったららめ」

「ロロのお顔が可愛くて、プフフ」


 可愛いではないのだ。俺は真剣なのだよ。つるんとしたオデコに皺を寄せて、眉がピクピクと動くのだ。しかめっ面というやつだ。

 でも、なかなか難しい。イメージもできないし、感覚が掴めなくて結局マスターできなかったのだ。


「そんなになんでも直ぐにできちゃうと、僕の立場がないよ」


 なんてディさんは笑っていた。でもきっとエルフは、そんな事ないのだろう。

 種族的に、持って生まれたものが違うのだと言う。それでも、ちょっぴり悔しかったのだ。

 それから、ニコ兄が畑から戻って来た。俺はてっきり、弓の練習をするのだと思っていたのだけど。


「クーちゃんの子供達に、小さな池を作ってあげて欲しいんだ」


 と、ディさんが言い出した。忘れていたのだ。クーちゃんの赤ちゃんには、まだお水が必要だ。

 でも、この近くに川はない。どうするのだろう?


「ほら、水路があるだろう。あそこから引こうと思うんだ」


 畑と道の境目と、畑の中を小さな水路が流れている。畑に使う水なのだ。農水路とでも言うのだろうか。日本の様に田んぼはないけど、畑にもお水が必要だ。

 その為の水路が通っている。そこからお水を引くのだ。


「ディさん、俺がか?」

「そうだよ、ニコ」

「えぇー、無理だよー!」


 ニコ兄が、びっくり仰天なのだ。てっきり弓を教えてもらえると、張り切って帰って来たのに。


「どうしてかな? ニコは土属性魔法が使えるだろう?」

「使えるって言っても、まだ小さな出っ張りを作れたりする程度だぞ」

「だからだよ。良い練習になるよ」

「ええー!?」


 ふむふむ。俺も土属性を持っているのではないかな? 多分だけど、レオ兄と一緒だと思うのだよ。何故なら俺はレオ兄似だからなのだ。


「にこにい、ボクもしゅるのら!」

「え!? ロロは土属性を持ってるのか?」

「しらないのら。れも、たぶんもってるのら」

「どうしてそう思うんだよ」

「らって、ボクはれおにいに、にてるからなのら」


 俺は両手を腰にやり、ポヨンとしたお腹を張って堂々と言い切った。


お読みいただき有難うございます!

本日のファンタジー部門日間ランキング、4位でした!私史上最高位かも知れない!(覚えていない!^^;)

皆様に心からの感謝を込めて、有難うございます!!

これから書籍化作業頑張ります。

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は、是非とも下部↓にある☆マークから評価をして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします。

私の原点、リリです。4巻は9月に発売予定です。

今日は懐かしい3歳の頃のリリを!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ディさんも、私も、びっくり‼️まさか魔力の矢を作り出すなんてロロちゃん凄い‼️  でもまずはクーちゃんの子供の池作り、ニコ兄頑張れ〜。 [気になる点] ロロちゃんのプニプニお腹が気になる…
[良い点] 皆が遊べる池を作ってね! ロロもニコ兄を手伝って、もちろんディさんも! ロロの矢は魔法矢だったらカッコいいね~
[良い点] 凄い❣️ロロ貴方は、やる子だったのですね。 此れにはディさんもビックリ‼️なのだ。 凛々しい(たこ口❓)姿が目に浮かびます。 レオ兄に自慢すると多分レオ兄のヤル気に火が付いて面白くなりそう…
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