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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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204/485

204ー弓

「でぃしゃん、ししょー!?」

「アハハハ! 師匠かぁ!」


 俺は嬉しいぞ。願ってもない事なのだ。ディさんに教わる事ができるのは、とっても嬉しい。だってディさんは弓が得意だと言っていたから。

 それに、こんなに立派な弓まであるのだ。張り切ってしまうぞぅ。

 おっと、それよりまた忘れるところだったのだ。


「れおにい、たまごをわしゅれているのら」

「ああ、そっか。コッコちゃんと約束していたね」


 そうなのだよ。フォーちゃん、リーちゃん、コーちゃんを統率できるような雛を孵すのだ。その可能性を高める為に、レオ兄と俺の2人で魔力を流して温める。

 親コッコちゃん達の希望なのだ。切実なね。


「明日産まれる卵を温めようか。昼間はロロが温めるんだよ」

「うん、わかったのら」


 今度はあまり魔力を流さないようにしなきゃ。でないとまた、身体能力に飛び抜けた雛が孵ってしまうのだ。そこが納得いかない。だって俺はそんなに身体能力が高い訳ではないのだから。

 俺は前世だって研究職だった。身体能力なんて全く関係ない。俺が1番体力を使うのは、コミケに参加するくらいだったのだ。

 今世だって、そんなに運動神経が良いとは思えないぞぅ。


「ロロはまだ3歳だ。これからだよ」

「れおにい、しょお?」

「そうだよ。でも、よく動く方だと思うよ」


 そうなのか? 俺以外のちびっ子がどうなのか、よく知らない。ああ、孤児院の子供達がいたぞ。時々鬼ごっこをするけど、いつもニルスに手を引っ張って貰っているからよく分からない。

 でも最近は転ける事が減った。以前はよく笑いながら、お顔から転けていたのだけどそれも無くなったのだよ。ふふふん。


 さて、翌日だ。レオ兄が、昨日話した通りコッコちゃんの卵に魔力を流した。

 その卵を家の中で、布にくるんで温める事にした。他の卵と混ざらないように篭に入れてある。

 親コッコちゃん達が、その卵をジッと見つめている。何かを祈るかのようなのだ。


「コケッ」

「クック」


 これが頼みの綱なのだと、話している。そこまでなのか?

 そんなにフォーちゃん達は、困ったちゃんなのか? そんな事はないだろう?

 確かに親より身体能力が優れているけども。

 きっと勝手に走って行っちゃうから、心配なのだよね。


「うーん、どれ位魔力を込めれば良いのか分からないなぁ」

「ちょーっぴりちょびっとれ、いいのら」


 あんまり魔力を流し過ぎると、オレンジ色の雛達みたいになってしまう。そうなると、本末転倒なのだ。

 お昼には俺が魔力を流す。ほんの少しだけだ。どんな雛が孵るか楽しみなのだ。

 今日は朝からチクチクと、ディさんに依頼された分の刺繍をしていたのだ。まだ半分も出来ていない。俺の足元には相変わらずコッコちゃん達が勢揃いなのだ。

 俺の横には、そのディさんが座っている。

 完成するまで秘密だと言っているのに、ディさんがガン見してくる。ずっと俺にピトッとくっついて見ている。

 もう、秘密も何もあったもんじゃない。

 毎日朝からやって来るから、秘密になんてできっこないのだけど。


「でぃしゃん、ひみちゅらっていってるのに」

「いいじゃない。見たいんだもん」


 ディさん『もん』じゃないよ。いい大人なのに。何歳だっけ? 何百歳なのだろう?


「ロロ、それは秘密だよ」


 そう言いながら、バチコーンとウインクをした。何でもウインクすれば良いってもんじゃない。もう慣れたから誤魔化されないのだ。相変わらず、目がチカチカしそうだけど。

 何が秘密なのだよ。本当にもう。

 何度言ってもガン見してくるから、もういいかと開き直って堂々とチクチクとしている。


「午後から弓の練習をしようか」

「うん!」


 楽しみなのだ。初めて使う弓だ。武器らしき物を使うのが初めてなのだけど。

 木の短剣だって、おもちゃだ。リア姉の真似をして、ブンブン振って遊んでいただけなのだ。

 レオ兄が頼んで作ってくれた子供用の小さな弓。レオ兄も父様に子供の頃から教わっていたと話していた。


「僕は剣を習うより先に弓を教わったんだ。父上は何でもできたからね。たしか剣は、最強の剣士と呼ばれた前辺境伯様に、師事していたと聞いた事があるよ」


 半分位、意味が分からなかったのだけど。

 辺境伯領っていうのは、父様が治めていた領地の向こう側になる。そのまた向こうはもう違う国になるらしい。国境を守る国の要だ。

 お隣の領地だったから、昔から交流があったのだって。

 その領地を、治めているのが辺境伯。今はもう息子に爵位を譲って引退しているらしいのだけど、それでもまだまだお元気なお爺ちゃんらしい。


「現役の頃は、鬼剣士とも言われていた人らしいよ」

「ひょぉー、こわこわ」


 父様も、嫡男でなければ辺境伯領に来て欲しいくらいだと、言われた事があるらしい。

 その息子さんの現辺境伯と父様は兄弟弟子だ。2人お揃いの剣を譲ってもらっている。それくらいに、優れていたのだろう。

 今その剣は、グリップを替えてリア姉が持っている。

 ガードと呼ばれる部分が、女性のリア姉には大きすぎるのだそうだ。手が当たって握り難いらしい。

 だからそのガードとグリップを、女の子仕様にしてリア姉が使っている。

 リア姉が学園に入学する時に、父様から譲り受け大切にしている剣なのだ。


今日はもう1話投稿します〜!

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― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよディさんに弓の教わる事が出来る(^O^☆♪ ロロは上手く出来るかなぁ❓ 上手く出来なくても大丈夫。 気長に行きましょう^ - ^ ロロはやる事が多いのですから、ディさんの頼まれてい…
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