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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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203ーニコ兄にも

「エルフの魔法杖はね、国にいる長老が作ってくれるんだよ。ロロに作るのはそんな大きな物じゃなくて30センチほどの物だね」


 なんだかよく分からないけど。それでも嬉しいのだ。

 俺はまだちびっ子だ。だから魔法を使おうとしても、魔力が安定しないのだそうだ。


「うん、楽しみだ。どんなのにしようかなぁ」


 ディさんの気持ちがとっても嬉しいのだ。


「ロロ、それ着けて帰るの?」

「うん、れおにい。かっちょいいのら」

「アハハハ、それは良かったよ」


 それからディさんも一緒に家に帰ったのだ。


「なんだよ、なんだよ! ロロ、かっちょいいじゃん!」


 家に帰ったら、ニコ兄が真っ先に見つけて寄ってきたのだ。


「ふふふん」


 胸を張ってみよう。どうだ? 俺ってかっちょいいだろう? ポッコリとお腹が出ているのは見なかった事にしてね。

 あ、そうだ。あの木の短剣だ。ゴソゴソとお道具箱から取り出し、それを片手に持って掲げる。ちょっとポーズをとっちゃうよ。もう片方の手は腰だ。そして、足は肩幅に広げて立つ。完璧ではないか。


「アハハハ。ロロ、カッコいいよ!」

「可愛いわ!」


 リア姉、こんな時はかっちょいいと言うのだよ。可愛いは駄目なのだ。


「ニコにもあるよ」

「レオ兄、そうなのか!?」


 ニコ兄もレオ兄に剣帯を着けてもらっている。ニコ兄の剣帯の模様もとっても綺麗なのだ。

 植物の葉が手を広げた様に、1枚1枚が生き生きとしている。あの親方、良い仕事をするのだ。


「スゲー! レオ兄、これ軽くて柔らかいからいいな!」

「そうだろう? 良い革だからね」


 色や模様は違うのだけど、みんなお揃いだ。

 そういえば、ニコ兄も剣を持っていない。俺の木の短剣を貸してあげようか?


「ニコも、まだまだ剣は持たせられないな」

「ええー! 折角剣帯があるのにー!」


 あ、そうだ! と、ニコ兄が何か思いついたみたいなのだ。

 ニコ兄の薬草を手入れする道具を入れている、お道具箱を持ち出してゴソゴソとしている。


「俺はこれだ!」


 と、何かを剣帯に付けたのだ。


「俺はやっぱコレだろう!」


 ニコ兄が選んだのは、薬草を採取する時に使っている小型のナイフだ。

 ニコ兄はいつもそれで、丁寧に採取するのだ。茎を傷付けないように、下葉を残してまた育つように。


「ニコも良い子だね」

「なんだよ、レオ兄。かっちょいいって言うとこじゃんか」

「アハハハ、そうだった」


 いやいや、本当にニコ兄も良い子なのだ。あの年頃だと、欲しいと拗ねたっておかしくない。なのに、自分ならこれだと持ってきた。当然の様に、ちょっぴり自慢気に。


「にこにい、かっちょいいのら!」

「だろう? アハハハ!」

「まあまあ、ご飯にしましょうね」


 マリーはマイペースだ。

 マリー、少し褒めたりしても良いのだよ。と、ニコ兄と2人でデデンとポーズを取る。

 ニコ兄は片手に採取用の小型ナイフを、俺は木の短剣を掲げる。

 ニコ兄の小型ナイフに被せてある、木のカバーに掘ってあるお名前がちょっぴりガタガタで締まらないのだけど。


「はいはい、手を洗ってきてくださいね」

「「はぁーい」」


 いや、スルーなのか? 俺とニコ兄がポーズを決めているのに。

 マリーには勝てないのだ。ふとキッチンを見ると、ディさんがお野菜に(かぶ)り付いていた。マイペースな人がもう1人いたよ。うん、スルーしよう。


「にこにい、てをあらうのら」

「そうだな、ロロ」


 その日、俺は嬉しくて貰った剣帯を持ってベッドに入ったのだ。

 翌日、レオ兄がまたプレゼントを持って帰ってきた。昨日から大盤振る舞いなのだ。

 お墓参りに行く前に、頼んでいたのが出来上がったかららしい。


「ひょぉー! かっちょいいのら!」

「レオ兄、スゲー!」


 ニコ兄と俺が何に感動しているかと言うと、レオ兄の弓なのだ。

 以前話していた、ララマニの木でできた弓だ。

 しなやかにカーブを描いた木の部分を伝って、成長するかの様に丁寧に掘られた木の模様。剣帯とお揃いなのだ。

 ララマニの木の地模様が、細波のように走っている木目だ。年輪がとても細かいのだ。ララマニの木は、暗い場所に生えている所為でなかなか育たない。その為、年輪がとても詰まった良材になるのだと話していた。

 その木は森の奥にしか生えていない。それをお墓参り前にレオ兄は採取していたらしい。

 光沢のある木に彫りこまれた繊細な模様が美しい。手で持つグリップの部分には藍色の革が巻いてある。しかもこの藍色もシックだ。剣帯の色と合わせてある。


「れおにいの、おおきいのら」

「そうだろう。前に持っていたのより大きいんだ。これ位ないとね」


 ほうほう、レオ兄も成長しているのだ。


「ニコとロロにもあるよ」

「ひょぉーッ!」

「本当か!?」


 ニコ兄と俺に子供用の弓矢だ。俺の弓なんて、本当に小さくておもちゃみたいだ。こんな良い木で作るのは勿体ないのではないか? 贅沢なのだ。


「明日からディさんが直々に教えてあげよう」

「でぃしゃん!」

「ええぇッ!?」


 おやおやぁ? ニコ兄が引いているのだ。どうしてなのだ? ディさんなら最高の師匠ではないか? ディさん以上の人はいないぞぅ。


「もちろん、魔法の練習もするよ。ニコ」

「ああー、やっぱりかぁー!」


 なんだ、そんな事か。ニコ兄もリア姉と少し似ているのだ。練習とか毎日コツコツとか苦手なのだ。俺はレオ兄似なのだよ。ふふふん。


お読みいただき有難うございます!

昨日は色んなところで、沢山の方から、おめでとう!を頂きました。

本当に、有難うございます!

コンテスト効果で、ファンタジー部門日間ランキングがびっくりな事になってます!

前日96位だったのに、10位にランクアップです。

ブクマ数も100近く増えて、驚きです。^^;

これからも応援して下さる方、続きもよむよ〜と言って下さる方は、是非とも下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです。宜しくお願いします!


ご存知ない方もおられると思うので、私のデビュー作です!第4回アース・スターノベル大賞で審査員賞を頂きました!↓

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当に仲の良い兄弟ですね。 レオ兄は、良く気がつく良いお兄さん。 レオ兄とお揃いの剣帯と弓で何を狩る❓ まだ二人とも小さいから無理だけど気持ちは冒険者❓かなぁ。 これからはディさんの特訓開…
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