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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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200/485

200ー寄り道

 冒険者ギルドの前を通りかかった時なのだ。


「あれ? ロロ、マリー」

「あらあら、今お帰りですか?」

「りあねえ、れおにい」


 クエストから帰ってきた、リア姉とレオ兄に会ったのだ。


「ロロ、お出掛けしていたの?」


 と、言いながらリア姉は俺を抱っこする。やっぱお手々は、俺のむっちりとしたお腹をモミモミしている。相変わらずなのだ。


「きょうかいに、いってきたのら」

「そう、沢山雛が生まれているのでしょう?」

「しょうなのら」


 なんだ、リア姉は知っていたのか?


「評判になっているわ。卵が欲しい人も多いみたいよ」


 珍しいものね。でも、病気は治らないのだ。

 コッコちゃんの卵に(すが)りたい人もいるという事なのだろうか?

 

「ふふふ、元気で長生きしたいのよ」

「あー、しょうなのら」


 そっちなのか? 確かに元気ではいたい。病気にはなりたくないのだ。この世界には病院なんてないのだから。

 なら、病気になった人はどうするのか? 個人的に医者の様な事をしている人がいる。医師と呼ばれているし、医学知識もある。ちゃんと学園を出て、専門的な知識を学んだ貴族がその職に就いている。だが、なにしろお値段がお高い。庶民はちょっとお熱が出た程度なら利用しない。

 なら庶民は、病気になった時はどうするのか? 街で店を開いている薬師さんに頼るのだ。

 庶民でも、手の届くお値段でお薬を売ってくれる。薬湯もある。

 ポーション類はまた別なのだ。一緒に扱っている薬師さんもいるらしいけど、魔法薬とも呼ばれるポーション類を買う時は錬金術師さんのお店に行く。

 そこには、魔石に付与した物も売っている。レオ兄が持っていた、シールドを張る魔道具もそうだ。

 俺はポーションなら作れるけど、薬湯は作れない。薬草の知識がないからだ。


「僕は両方作れるよ」


 サラッと凄い事を言ったのは、ディさんだ。薬湯が作れてポーションも作れる人なんて滅多にいないそうなのだ。俺も薬湯は全然分からない。


「でぃしゃん、しゅごいのら!」

「ふふふ、そうだろう? ディさんは凄いのだよ」


 なんて、笑っている。ディさんは強いし、魔法も使えるし何でもできる。俺も教わりたいのだ。


「ロロがもう少し大きくなったら、僕が直々に教えてあげるよ」


 と、バチコーンとウインクをした。久しぶりのディさんのウインクは破壊力が半端ない。

 目がやられてしまうぞぅ。そんな事はないのだけど。それだけ、キラッキラだと言う事なのだ。


「ロロ、一緒に帰ろう」

「うん、れおにい」

「僕も一緒に行くよ」


 ん? 帰るのだろう? 家とは反対方向へ進んで行く。どこに行くのだ?

 俺は、ディさんとレオ兄と手を繋いで歩く。これは一番安心するのだ。2人の大きな手に、俺の小さな手を繋いで街を歩く。

 まだ夕焼けには少しだけ早い時間だ。でももうすぐ、ニコ兄が帰る頃じゃないのかな?


「マリーは先に帰ってますね」

「ええ、分かったわ。ニコをお願いね」

「はい、リア嬢ちゃま」


 やはりそうなのだ。マリーはニコ兄が心配しない様に、先に家へ帰るのだ。

 俺が攫われた時、ニコ兄が家に帰ると誰もいなかった。あれ以来、誰もいないと凄く心配する。まだあの事件を、誰も忘れてはいないのだ。


「まりー、きをちゅけて!」

「はいはい、ロロ坊ちゃま!」


 手を振って、マリーは帰って行った。マリーが居てくれれば安心なのだ。

 で、俺はどこに行くのだろう? お手々を繋いでトコトコと街を歩く。夕方近くになってくると、昼間より冒険者が多くなる。みんな戻って来るのだ。

 体の大きな人もいる。大きな剣や槍に弓を担いでいる人もいる。なんだか、怖そうな人もいるのだ。


「ロロ、ディさんが抱っこしよう」

「うん」


 人が多くなってきたので、俺はディさんに抱っこしてもらう。それまで俺の目線の高さだと、周りが全然見えていなかった。ディさんに抱っこしてもらうと一気に目線が高くなる。

 俺は、ディさんの肩に手をやって街の外の方を見る。


「もうしゅぐ、ゆうやけなのら」


 街の向こう、森の方を指さす。空はまだ薄い青空だ。だけど、ずっと向こうのお空に傾いたおひさまが見えた。もう直ぐ空が青から茜色に変わる時間なのだ。

 ディさんに抱っこしてもらうと、レオ兄より目線がほんの少しだけ高くなる。いつもは見る事ができない、レオ兄のツムジがチラッと見える。大きくなった気分が味わえるのだ。

 そのレオ兄が、額に掛かった俺の髪をかき上げながら優しく声を掛けてくれる。


「汗かいてるよ、疲れてないかな?」

「らいじょぶなのら」

「ロロも少しずつ体力が付いてきたね」

「れおにい、おはかまいりにいったからなのら」

「それ、関係あるの?」

「あるのら」


 だってあの時は大変だった。馬車に乗っているだけでも体力が必要だった。あんなに揺れるとは思わなかったのだ。

 それに、移動距離が長かった。いや、何より俺にとっては刺激がいっぱいだったのだ。

 そして、やって来たこのお店は何屋さんなのかな? 看板を見てもよく分からない。何かの工房なのかな?


「ここは革製品を専門に扱っているお店だよ」


 ディさんも知っているお店なのか。


「ディさんに紹介してもらったお店なんだ。親方さんが頑固なんだよ」


 レオ兄がハッキリと言ったのだ。頑固親父なのか。あれかな? 初めての客は受け付けないとか? 紹介状を持っていないと駄目だとか?


お読みいただき有難うございます!

ロロがいる世界の雰囲気や、初夏の夕方には少し早い時間を感じて頂ければと。

いつも、感想や誤字報告を有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は、是非とも下部↓にある☆マークから評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします!

今日はやっぱりハルちゃんを!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 流石ディさん、パーフェクト美男子(*´꒳`*) 改めて惚れなおしますがな〜   革製品の工房と言えば頑固親父のドワーフだよネェo(`ω´ )o リア姉が言ってた?剣帯でしたっけ❓名…
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