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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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194ーお出掛け

 雨が降っていたのに、クーちゃん親子はお外に出たままだったのだ。雨がかからないように、軒下に入ればいいのに。


「びしょびしょなのら」

「まあまあ!」

「あらぁ〜、いいのよーぅ。気持ち良かったわぁー」


 ええー、そうなのか? 小さな赤ちゃん亀が、水溜まりに入ってバシャバシャしている。どろんこになってしまうぞぅ。


「大きくなるまでは、水に入りたい時があるのよーぅ」

「しょうなの?」

「そうなのよーぅ」


 なら、どうしよう? 小さな池があれば良いのにね。


「朝と夕方にドルフ爺さんが、水をかけてくれているのよーぅ」


 そうなのか? ドルフ爺ったら面倒見が良いのだ。でも、レオ兄が帰ってきたら相談してみよう。

 クーちゃんの赤ちゃん、5匹孵ったのだ。亀さんって、もっと沢山孵ると思っていたのだけど。


「クーちゃんは特殊だし、もうお年だからじゃない?」

「でぃしゃん、しょお?」

「多分ね。でも聖獣になっちゃったから、まだまだ生きるだろうね。まさか、卵を産むと思わなかったけど」


 そうなのか? 聖獣ってどれくらい生きるのだろう?


「何百年と生きるだろうね」

「ぴょぉー!?」


 凄い長生きなのだ。俺達より長く生きるのか。


「でぃしゃん、あかちゃんかめしゃんに、いけをちゅくってあげたいのら」


 小さい池で良いから、いつでも水遊びできるようにしてあげたい。水なら俺も出せるのだし。


「そっか、まだ水浴びが必要なのかな? なら、ニコだね」


 え? ニコ兄がどうして関係あるのだ?


「ニコの土属性魔法で掘ってもらえば良いよ。ああ、レオもできるかな?」


 俺の兄達は、凄いのだ。俺なんかよりずっとチートだぞぅ。俺はそんな事全然できない。


「むむむ」

「ロロ、どうしたの?」

「ボクは、れきないのら」

「何言ってんだよ。ロロが一番凄いじゃないか」


 ディさんはそう言うけど、俺はそう思わない。だって、まだまだちびっ子だしぃ。


「ちびっ子なのに、回復魔法が使えるだろう? テイムもできる。風属性魔法だって、使えるようになったよね。それに付与魔法だ。そんな事ができるちびっ子なんていないよ」

「しょお?」

「そうだよ。まるでエルフみたいだ」


 ん? エルフならできるって事だよな?


「エルフ族のちびっ子は、種族的に魔力量が多いし、魔法が得意だからね」

「へえ〜」


 やっぱエルフって凄いのだ。


「あらあら、行きましょうか?」

「うん、まりー」


 俺は、家の中にお出掛け用のポシェットを取りに行く。


「キュルン」

「わふ」


 チロもピカも行くよ。みんなで、お出掛けなのだ。

 ディさんとマリーとお手々を繋いでお出掛けなのだ。チロは相変わらず俺のポシェットの中に、ピカは後ろを付いて来る。俺はもちろんスキップだ。

 雨上がりの畑は、葉っぱがピカピカしている。緑が綺麗なのだ。


「きれいらね〜」

「とっても美味しそうだ」


 お野菜大好きディさんには、美味しそうに見えるらしい。


「まあまあ、ふふふ」


 お墓参りから帰って来てからは、マリーが何か吹っ切れた様な顔をしている。マリーだけじゃない。エルザやユーリア、そしてリア姉とレオ兄にニコ兄もそうだ。

 あの叔父だという人の問題が、解決したわけではない。それでも、お墓参りできた事。それに、ロック鳥が持っていた魔道具の映像を見た事が大きいのだと思う。

 リア姉は、スライムを退治した事で満足したのかも知れないけど。ちょっぴり脳筋気味だからね。


「ヒュージスライムは、最低Cランクで魔法が得意な冒険者が、何人も一緒に討伐する魔物なんだ。普通のスライムじゃないからね。リアはよく頑張ったよ」


 と、ディさんが話していた。あの時のリア姉は、超かっちょよかったのだ。


「マリーはロック鳥に乗ったと聞いて、クラッとしましたよ」

「えへへ、たのしかったのら」

「まあまあ、怖くなかったのですか?」

「こわくなかったのら。まりー、おしょらからおやしきをみたのら」

「あらあら! そうなんですね! それは良かったですね」

「うん。えへへ」


 そんなお話をしながら、俺のスキップも絶好調なのだ。短い足を、ピョコピョコ出してスキップスキップ。

 俺もお墓参りから帰ってきて、なんだか少し心が軽くなった気がするのだ。違うな、ポカポカが大きくなったのだ。

 上空からだけど、実際に住んでいたお邸を見る事ができた。俺は覚えていなかったけど、映像で両親を見る事ができた。

 母様は『愛している』と、話していたのだ。まだ赤ちゃんだった俺を抱っこしてくれていた。チュッて、してくれた。


「むふふ」

「ロロ、なんだい?」

「こころが、ポカポカしゅるのら」

「それは良かった」

「はいはい、良かったですね」

「お墓参り、本当に良い旅になったんだね」


 また行きたい。年に一度は行きたい。塩釜焼きや塩漬け野菜も美味しかった。

 

「こんろは、ディしゃんもいっしょにいくのら」

「本当に? 僕もいいの?」

「あらあら、それはいいですね」


 ディさんが一緒だと、楽しそうだ。


「今日は、お土産を持って行くのかな?」

「しょうなのら」


 フューシャの街でお土産を買ってきた。それを『うまいルルンデ』と教会に持って行くのだ。

 ディさんにと、沢山買ってきたお野菜の塩漬けは、直ぐにバリボリと食べていた。


「生野菜もいいけど、これも美味しいね!」


 と言って、嬉しそうに食べてくれたのだ。


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挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] エルフのイメージと漬け物は…(笑) しかもポリポリではなくバリボリって、なんか凄まじい光景が目に浮かびます(^∇^)
[良い点] クーちゃんの小亀ちゃんのプール(池)を作ってあげるのね。 ニコ兄が活躍する番到来。 ディさんは、本当に野菜が大好きなのね。 今は野菜が高い(๑>◡<๑)ニコ兄の野菜を分けて欲しい。 [一言…
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