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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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186ーロック鳥の奥さん

 墓地の柵を出て直ぐの木の下、広くなっている場所に小さなベンチセットの様なものがあった。

 そこで、マリーが用意してくれた。マリー特製のフルーツケーキで一休みだ。

 遠くから翼の音が聞こえてきた。ロック鳥だろう。まだ飛んでいるのか?

 俺はさっきの、こみあげてくる様な気持ちも落ち着いて、マリーが出してくれたりんごジュースを飲みながら音のする方を見た。

 あれれ? 2羽いるぞ。奥さんも一緒に飛んでいるのだ。後ろを守るように飛んでいるのが、俺様ロック鳥だろう。卵はもう孵ったのかな?


「レオ兄、ロック鳥が来るぞ」

「本当だ。奥さんも一緒みたいだね」

「卵から離れてもいいのかしら?」


 な、そうだよな。俺もそう思う。だって、餌を捕りに行くのも我慢して温めていたのに。

 バッサバッサと大きな翼の音がする。

 俺達の真上に来ると、ゆっくりと降りて来た。


『おう! ここだと思ったんだ!』

「あらあらまあまあ! 喋れるのですか!?」


 マリーが驚いているのだ。マリー達にも念話が通じるらしい。これは魔力量には関係ないのか?


『俺様ほどになるとな、これぐらいチョチョイのチョイだ!』


 なにが俺様だ。チョチョイのチョイだよ。


『あんた、煩いわよ!』


 ほら、奥さんに叱られている。直ぐに叱られて小さくなるのだから、最初から大きく出なければ良いものを。こんなところが憎めないのだ。


「卵はどうしたんだ? 温めなくてもいいのか?」

『おう! 昨夜、孵ったんだ』

『あなた達に見てもらいたくて』


 そう奥さんが言った。見る? また俺達を背中に乗せて、巣まで飛んでくれるのかな? ん? 俺はいつでもオッケーなのだよ。


「ロロ」

「あい」


 まただ。今日も不調なのだ。レオ兄に読まれてしまった。

 ロック鳥の奥さんがヒョコッと頭を下げた。すると、背中には小さな雛が2羽顔を出していたのだ。

 こらこら、孵ったばかりなのにもう連れ出しても良いのか? 可哀そうじゃないのか?

 ロック鳥の奥さんの背中に埋もれるように乗っていた2羽の雛。よく飛ばされなかったものだ。

 大人のロック鳥は真っ白なのに、淡い茶色の毛をしている。まだ頭の毛がモワモワッとしていて、雛らしい可愛さがある。ロック鳥は大きいのに、雛は小さいのだ。

 小さいと言っても、フォーちゃん達よりは一回りくらい大きい。これであんなに大きくなるのか? それはそれで凄いのだ。


「ひょぉーッ! かぁわいいのら!」

「ちっせーんだな!」


 思わずニコ兄と一緒に、雛をもっと見たいとピョンピョンとジャンプしたのだ。そんな事をしても見えないのだけど。

 レオ兄が教えてくれた。ロック鳥も魔鳥さんだ。コッコちゃんの雛が孵って直ぐに歩いていたように、ロック鳥の雛も直ぐに動くのだそうだ。

 それに、ほんの少しだけど飛べる。コッコちゃんの雛は飛べない。だって親のコッコちゃんが飛べないのだから。

 それよりも、ロック鳥は魔鳥さんなのに角がない。どうしてだ? と思ったのだ。

 魔獣はみんな角があるはずなのに。


『触ってみる?』


 そう言って奥さんロック鳥が、頭を触らせてくれたのだ。俺は遠慮なく触らせてもらうよ。

 ニコ兄も触ると手を出してきた。

 2人で頭をナデナデとすると、おやおや? 頭の天辺がコリコリしているぞ。それも三か所ある。


「ひょぉーッ!」

「なんだこれ!?」

『ふふふ、三つあるでしょう?』


 それが角なのだそうだ。びっくりなのだ。

 ニコ兄と二人で驚いてしまったのだ。


『角が出ていると、飛ぶときに邪魔なのよ』


 ほうほう、風の抵抗とかなのか? そうなのか? なんだかよく分からないけど。

 ロック鳥の雛が降りて、ピヨピヨと鳴いている。泣き声はフォーちゃん達と同じなのだね。

 ああ、もう力関係がハッキリしていたのだ。ロック鳥の雛がトテトテと歩いて近寄って行くと、コッコちゃんの雛3羽がピョーッ! と、ピカに向かって逃げ出した。


「アハハハ、やっぱロック鳥の雛の方が強いんだ!」

「ふふふ、必死で逃げているじゃない」

「かわいいのら」


 体の大きさは、あんまり変わらないのに強さは上らしい。フォーちゃん達も強いと思うのだけどね。ロック鳥には敵わないか。


『あら? あなたもしかして……』


 何なのだ? 奥さんロック鳥がマリーを見ているのだ。

 マリーは訳が分からずキョトンとしている。いや、まだ怖いのだと思うぞぅ。

 ずっとリア姉の後ろに隠れているのだ。


『ねえ、あなたクロエと一緒にいたわよね?』

「え? え? クロエ様ですか?」

『そうよ、ほら、隣町にあるお邸にクロエといたじゃない! クロエにも会いに行こうと思っていたのよ。元気かしら? 懐かしいわぁー!』


 リア姉やレオ兄が、訳が分からないという顔をしている。俺はもっと分からないのだ。誰なのだ? クロエ?


「ロロ、母様の名前だ」


 緊張した声でニコ兄が教えてくれた。俺は母様の名前すら憶えていなかった。だってレオ兄は母上、リア姉とニコ兄は母様、マリー達は奥様って呼ぶから。

 その母様の名前がどうして出て来るのだ? みんなさっきまでとは違って、少し緊張感が感じられる。

 ロック鳥の奥さんは、明るい声でマリーに話している。何も知らないのだ。


『ほら、私よ! 覚えてないかしら? 大きくなっちゃったから分からないかしら? 翼に怪我をして、飛べなくなっているところをクロエに助けてもらったの。暫くの間お邸でお世話になったわ』

「あぁ! あの時の雛ですか!?」

『そうよー! やっぱりそうなのね。何ていったかしら? ええっと……そう、マリー! マリーよね!?』

「はい! はい、マリーです!」


 返事をしながらマリーが涙を流した。手を伸ばし、ロック鳥の奥さんに近付いて行く。もうマリーはロック鳥を怖がってはいない。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、明日も読むよ!と、思って下さる方は、是非とも下部にある☆マークで評価をして頂けると、とっても嬉しいでっす!

皆様の声に支えられて毎日投稿しております。

有難うございます!

感謝を込めて、今日はお久しぶりのルーさんを!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] あ〜、これ…… 子どもを見せたい人って……
[良い点] 何と何と何処で繋がっているか分からない。ロロ達の母親とロック鳥の奥さんとの繋がりがここで判明した‼️ 産まれたてでも、コッコちゃんズとロック鳥の雛とでは力の差(๑˃̵ᴗ˂̵)恐るべし。 …
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