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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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183ー大きなおともらち

 あれれ? でも、なんだか様子がおかしいのだ。

 お隣のベッドにレオ兄とニコ兄が寝ている。これは、どういう事なのだ?


「ロロ、おはよう」

「りあねえ、夕ごはんは?」

「ふふふ、もう朝よ」

「え……」


 そうなのか? 窓を見てみる。明るいのだ。まだ夜になっていないから明るいのだと思っていたけど、どうやら違うらしい。


「ロロはあのまま眠っていたのよ」

「ボク、夕ごはん食べていないのら」

「そうね、もう朝ごはんの時間よ」


 ありゃりゃ、1回分損しちゃったのだ。いや、損って訳じゃないのだけど。

 俺はそんなに眠っていたのか。そうなのか。


「今日は朝ごはんを食べたらお墓参りよ」

「うん」


 昨日は色々あったのだ。俺にとっては、野望が一つ叶った記念日でもある。

 だって、あのロック鳥に乗ったのだ。スライム退治があまりにも白熱して、霞んでしまったのだけど。でも、俺は忘れていないのだ。

 あの大きなロック鳥の背中に乗った時の事を……!


「ロロ、おはよう」


 ベッドでガッツポーズをとっていると、レオ兄が起きたのだ。見られてしまった。ちょっと恥ずかしい。


「ふふふ、ロロは何してるんだ?」

「れおにい、鳥しゃんにのったのら」

「ああ、乗ったね」

「しゅごいのら」

「アハハハ、そうだね」

「ん~……もう朝か?」

「ニコ、おはよう」

「にこにい、おきたのら」

「あー、ロロ。大丈夫か? 疲れてないか?」

「らいじょうぶなのら。お腹しゅいたのら」

「ロロはずっと寝ていたからね」


 俺は爆睡だったのだ。リア姉に抱っこしてもらって、ウトウトしていた事は覚えているのだけど。それからどうやって宿に戻って来て、いつベッドに入ったのか分からない。

 きっとリア姉が寝かせてくれたのだろう。

 それにしても、夕ごはんの時に声を掛けてくれても良いのだ。


「起こそうと声を掛けたんだぞ。でも、全然起きなかったんだ」


 え、そうなのか? 俺は知らないのだ。


「わふん」

「しょう?」


 よく寝ていたよ。と、ピカも言っているのだ。


「さあ、今日はお墓参りだ。朝ごはんを食べて用意しよう」


 レオ兄が勢いをつけてベッドから起きた。

 下に降りて行くと、マリー達がもう揃っていたのだ。

 今朝もハンザさんはいない。もう出掛けたのかな?


「おう、起きたか。今持って来るから座ってな」


 宿屋のご主人なのだ。なんだ、マリー達と話し込んでいたのか?


「ロロ坊ちゃま、疲れていませんか?」

「らいじょぶなのら。お腹しゅいたのら」

「あらあら、沢山食べましょうね。昨日は食べずに寝てしまいましたからね」

「うん」


 やっと今日はお墓参りだ。予定が遅れてしまっているのだ。

 本当なら昨日お墓参りをして、今日はもう帰っている途中のはずだったのだ。

 ロック鳥と、スライムで手間取ってしまった。あまり遅くなると、きっとディさんやドルフ爺が心配するのだ。


「ロロ坊ちゃまが、ロック鳥に乗ったと聞いて、マリーは冷や汗が出ましたよ。まさか小さいロロ坊ちゃままで乗ったなんて」


 そんな事を言いながら、マリーは手を胸にやる。心臓に悪いと訴えているのだろう。


「何より皆さん無事で、本当に良かったですよ」


 そうなのだ。みんな怪我もなく無事で良かったのだ。危険な場面はあったのだけど。

 マリーに見えないように、レオ兄が人差し指を立ててお口の前に持って行く。ふふふと微笑みながら。

 危機一髪だった事は内緒なのだね。分かったのだ。


「さあさあ、食べてくれ! この街の恩人だ!」


 ご主人が料理を出してくれた。

 少し厚切りのベーコンのような、お肉の上に目玉焼きが載っている。

 付け合わせに、塩漬け野菜がある。

 この厚切りベーコンのようなお肉、これも名物なのだそうだ。

 ベーコンに見えるけど、そうじゃない。ベーコンにする時も最初にお肉を塩で漬けるのだそうだけど、そこまでしっかりとは塩漬けにはしていない。

 ほんの1日だけ塩漬けにしたものらしい。だが、その事でとっても良い塩梅に塩味が浸みて、しかもお肉が柔らかい。それを軽くソテーしてある。

 それだけなのだが、風味があって美味しいのだ。

 それに、付け合わせの塩漬け野菜だ。これを一緒に食べるとまた美味しい。

 お野菜の塩漬けは、浅漬けよりも全然さっぱりとしていて、サラダ感覚でバリボリ食べられる。

 この領地はフューシャン湖の塩無しでは、話にならないのだろう。

 それに俺達は、目玉焼きが久しぶりなのだ。いつもはコッコちゃんの卵なので、大きすぎて目玉焼きは作らない。お皿に載らないのだ。

 トロッとした半熟加減が、また絶妙なのだ。


「よくスライムを退治してくれたよ!」


 宿屋のご主人が大きな声で嬉しそうに言った。

 塩の収穫量が減って、もうギリギリだったそうだ。特産品の塩漬けの、諸々を作るのにもフューシャン湖の塩が必要だ。その塩自体も取引されている。


「うまうま!」

「な、美味いな」


 夕ごはんを食べていないから、余計に美味しく感じるのだ。

 朝ごはんを食べたら、宿はもう引き払うのかな? ハンザさんはどうするのだろう?


「1度戻ってくるよ。ハンザさんも乗せなきゃね」

「お昼過ぎには戻ると言って出掛けられましたよ」

「うん、丁度良い時間じゃないかな?」


 昨日ロック鳥にちゃんとお話ししたから、今日はもう大丈夫だ。新しいお友達ができたのだ。


「え? ロロ、お友達なのか?」

「しょうなのら。いっしょに食べたから、もうおともらちなのら」

「アハハハ、そうなんだ」


 なんだ? だって、もう仲良しだと思うぞ。レオ兄なんて、普通に話していたじゃないか。


お読みいただき有難うございます!

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感想を有難うございます。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] お疲れ様、リア姉•レオ兄•ニコ兄•ロロ。 美味しい朝ごはんを食べていよいよお墓参りに行きましょう。 ディさんやドルフ爺そしてコッコちゃん達が待ているから早く帰らないとね。  ディさんに教え…
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