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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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182ー堂々と

 それだけ生活し難くなっているのだと訴えてくる。

 だけど、リア姉やレオ兄の責任ではないのだ。俺達だって、追い出されたのだ。


「びぇ〜ッ! りあねえ、わりゅくないのらー!」

「ロロ、大丈夫よ」


 思わず大きな声で泣いてしまった。

 

「あらあら、ごめんなさいね。責めているのじゃないのよ。1番下の坊ちゃまですか?」

「ええ、そうよ」

「こんなにお小さいのに、ご両親を亡くされて……」

「すまない、本当に責めたい訳じゃないんです」


 何故かここで緊迫した雰囲気が和らいだのだ。結局、レオ兄がフォーゲル子爵に相談してみると言う事で話をつけた。

 リア姉やレオ兄だって、悔しいのだ。訴えられても、どうする事もできない。


「宿に戻りましょう。きっとマリー達が心配しているわ」


 やっとみんな馬車に乗って、戻る事になったのだ。

 俺は、この頃になるとリア姉の腕の中でウトウトとしていた。

 怖かったり、びっくりしたり、疲れてしまったのだ。


「ロロ、大丈夫よ。眠っていいわよ」

「ん……りあねえ」


 そのまま、俺はリア姉に抱かれて眠ってしまったのだ。




(レオ視点)



「姉上、ロロは眠った?」

「ええ、寝たわよ。とっても可愛い寝顔だわ」


 もう姉上は気持ちを切り替えている。いや、違うかな? 単純にロロが可愛いのか?

 それにしても、あそこで泣き声を上げるなんて。ロロは理解していたのかな? あれで雰囲気が変わったんだ。

 まだ3歳だけど、ロロは聡い。僕や姉上が、責められているように感じたのかも知れない。


「レオ兄……」

「ん? ニコ、どうした?」

「あいつ、何もしてないんだな。俺達の父様や母様が守っていた領地なのに」


 ああ、ニコも分かる歳になったのか。そんな風に思うようになったんだ。こんな成長は嬉しい。


「リア姉やレオ兄は悪くないじゃん」

「あの人達も、そんなつもりで話していたんじゃないよ」

「でも、責められてるみたいだった」

「それだけ、切羽詰まっているんだよ。誰かを頼りたいんだ」


 そうだ、そこまで追い込まれているのかも知れない。

 あの辺りの人達は特にそうだったのだろう。だって、あんなにスライムが増殖していたのだから。

 あの川を利用する農家の人達は困っていたのだろう。塩に関係する人達もそうだ。

 これは、真剣にフォーゲル子爵に相談しないといけないな。

 そう思いながら、馬車を走らせた。

 宿屋に着くと、外に出てマリー達が待っていた。これは、心配かけちゃったなぁ。


「レオ坊ちゃま!」

「マリー、遅くなってごめん」

「心配しました。ロック鳥は大丈夫だったのですか?」

「え? ああ、ロック鳥ね。大丈夫だよ」


 そうだった。今日はロック鳥と会っていたんだった。なんだか長い1日だったなぁ。


「え? ロロ坊ちゃまは、泣かれたんですか?」

「マリー、大丈夫よ」

「でも、リア嬢ちゃま」

「大丈夫。寝かせてくるわね」


 マリーは一目見ただけで、ロロが泣いたと見抜いた。そりゃそうか。ロロのほっぺには涙の跡があったから。

 リア姉がロロを、部屋に連れて上がっている間に少しマリーに話した。

 ロック鳥はもう大丈夫だと言う事。それからスライム退治をした事をだ。

 

「農家の人達が、僕と姉上に気付いてしまってね」

「まあまあ、そうなのですか?」


 その時の事も少し話した。でも、マリーはあっけらかんとしている。


「あらあら、坊ちゃま達が気になさる事ではないですよ」

「マリー、そうだけどさ」

「坊ちゃま達は何も悪い事はしていません。堂々となさっていれば良いんですよ」


 マリーの言う通りだな。


「それにしても、ロック鳥に乗ったんですか? ロロ坊ちゃまも一緒にですか?」

「そうだよ! スゲーんだ!」

「もう信じられないです。ロック鳥に乗るなんて」

「それがさ、気さくなロック鳥だったんだ。奥さんもいてさ。そうだ、マリーのスープのお鍋2つ食べちゃった」

「まあまあ! ニコ坊ちゃま、2つもですか? お腹が空いていたんですね」


 マリーには心配掛けたけど、無事に戻って来れて良かったよ。



 ◇◇◇



 んん……なんだか温かいぞ? それに柔らかい……何だ、これは?

 俺はゆっくりと目を開けた。すると、お胸が目の前に……!?

 何だ? 一体どうしてこうなった!? と、顔を動かして見てみると。なんだ、リア姉だった。

 俺は、リア姉にしっかりと抱きしめられて寝ていた。これは、リア姉のお胸だ。と、言ってもちゃんと服は着ているのだ。

 ふむ。嬉しくも何ともない。ときめかないのだ。姉だしね。

 モゾモゾと、腕の中で動いて起きようとする。なのに、しっかりとホールドされていて動けないじゃないか。


 ――キュルュリュリュ……


 ほら、俺のお腹が鳴っているのだ。

 仕方がない。俺は、リア姉の腕を叩く。


「りあねえ、りあねえ、おきて」

「んん……まだ眠いのよ……」

「りあねえ、おなかしゅいたのら」

「ん……お腹?」


 やっと、目を薄らと開けてくれた。


「あら……? ロロ?」

「りあねえ、おなかしゅいた」

「えっと……」


 駄目だ。まだ寝惚けているぞ。


「おきるのら」

「うん……」


 やっと離してくれて、俺は腕の中から起き上がる。

 宿屋の部屋だ。そりゃそうなのだろう。ベッドで眠っていたのだから。


「りあねえ、おきるのら」

「うん、わかったわ」


 やっと目が覚めたか? リア姉も疲れたのだろう。こんなに魔法を使う事なんて、なかっただろうから。

 もしかして、ギリギリだったのかも知れない。あの大きな炎で、スライムを倒せて良かったのだ。


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告も有難うございます!

宜しければ、下部の☆マークで評価をして頂けると、とってもとっても嬉しいでっす!

宜しくお願いします!

今日は懐かしいイラストを!

リリ1巻のイラストです。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] そうです、リア姉やレオ兄達は、悪く無い。 悪いのは、(偽)叔父夫婦達なのだから。マリーの言う通り堂々、スライムも退治したのですから。 力を出し切ったリア姉、お疲れ様でした。 もう少し、魔力…
感想一覧
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