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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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180ースライム退治 6

「にこにい、らいじょぶなのら!」

「ロロ! ピカか!?」

「しょうなのら!」


 俺達はピカが鳴いているのが聞こえたから、もう焦っていなかった。

 でもリア姉は、耳に入っていなかったようなのだ。

 見ていると、こっちに走りながら叫んでいる。


「ニコとロロは、私が守るの! 駄目よ! 駄目ッ!」


 ピカの魔法に弾かれて、大きなスライムが空中で向きを変える。と、同時にピカが馬車に風を纏わせて防御してくれた。

 あれだ、飛んでくるポップントットの種から、リア姉とレオ兄を守っていたのと同じなのだ。


「ピカ! そのまま降ろして!」

「わふん」


 ピカは容赦ない。ポポーイと大きなスライムを地面に放り投げたのだ。それでもスライムは、ボヨヨーンと弾んで飛びあがる。

 リア姉を敵と見定めたのか、今度はリア姉の方へボヨヨンと向かって行く。


「リア姉!」

「あぶないのら!」


 大きなスライムがボヨヨンと弾んで、リア姉の真上に来た時だ。


「姉上!」

「ああー! もうッ! ムカつくのよ! いけーッ!」


 リア姉がそう叫びながら、スライム目掛けて剣を振った。え? 斬ったら駄目なのだろう?

 よく見ると、リア姉の剣に青い炎が纏わりついている。その剣から、今まで見た事がない様な大きな炎が出て、あっという間に大きなスライムをゴォーッと音を立てて焼き尽くしたのだ。

 プスプスと煙をあげながら、燃えカスが落ちてくる。


「えぇ……」

「リア姉!?」


 び、び、びっくりなのだ。スライムが飛んできた事より、こっちの方がびっくりした。思わず放心状態なのだ。

 当のリア姉は自分でも驚いたのか、その場にペタンと座り込んでいる。


「姉上!」

「だ、大丈夫よ。びっくりしただけよ。思わず斬っちゃったわ」

「アハハハ! 今の何だよ!?」

「笑わないでよ、私にも分からないわよ。ニコとロロが危ないと思ったの! まさか剣から、あんなに大きな炎が出るなんて思わなかったのよ!」


 あ、レオ兄が笑っているのだ。大丈夫そうだ。


「リア姉! スゲー!」

「しゅごいのら!」


 ニコ兄と2人で、その場で小躍りをして大騒ぎなのだ。凄いのだ。

 リア姉なら、いつかはやってくれると信じていたのだ。まさか、剣から炎を飛ばすなんて思わなかったけど。


「ロロ、あれ炎の剣だよな?」

「びっくりなのら」

「スゲーよな!」

「しゅごいのら!」


 これは、あれだね。完全にディさん案件だね。剣自体に炎を付与するだけじゃなくて、剣からあんなに大きな炎を出せるなんてさ。

 あ、そう言えば……ディさんとの秘密があったのだ。

 ディさんが必要な時は呼ぶんだよと言われていた。呼べば良かったかなぁ? いや、でも俺達だけでなんとかなったのだ。

 今回の事で、リア姉も少しは成長したのではないかな? ふふふん。

 と、俺は両手を腰にやり胸を張る。ちょっとお腹がポヨンとしているけどね。見なかった事にしてほしい。


「ロロ、何で胸張ってんだよ」

「これれ、りあねえも勉強になったのら」

「アハハハ! ロロは何もしてないじゃん!?」


 そうだった。俺は何もしていなかったのだ。

 それよりも、もうスライム退治は良いのかな? ん? もう終わりかな? 何なら俺が出て行ってやっつけても良いのだよ?


「アハハハ! ロロ、偉そうだ!」

「ふふふん、にこにい。もうおわりれ、いいのかな?」

「どうだろうな。でもあんな大きいスライムを退治したんだから良いんじゃないか? ほら、リア姉とレオ兄が戻って来るぞ」


 よし、手を振ろう。俺は短い手をブンブンと振った。

 2人の後を、ピカとちびっ子戦隊が付いてくる。誰も怪我をしていないよな?

 

「ピヨヨ!」

「キャンキャン!」

「わふ」


 ピカの足元をチョロチョロと走っていたちびっ子戦隊が、ピカに叱られている。

 歩き難いから、離れて。なんて言っている。ピカさんを慕っているのだよ。そんな邪険にしなくても良いのに。

 ちびっ子戦隊も、目立たなかったけど頑張っていたのだ。


「ちょっとあんた達! 凄いじゃないか!」


 近くで見ていたのだろう、おばさんが走り寄って来た。

 リア姉の肩を、バシバシと叩いている。


「あのおばさんは、さっきリア姉と話していた人だ」


 そうなのか? 俺は知らないぞ。眠っていたからかな?

 そのおばさんだけじゃなく、どこで見ていたのか農家のおじさんやおばさんが、ワラワラと寄ってきたのだ。


「姉さん達スゲーじゃねーか!」

「有難う! スライムで困っていたんだ!」

「大丈夫なの? 怪我はない?」


 口々に色々言っている。この辺りの農家の人なのだろう。みんな麦わら帽子を被っている。

 エプロンをつけていたり、長靴を履いていたり。農作業をしていたのかな?


「リア姉とレオ兄が、討伐していたのを見ていたんだな」

「ねー」


 いやいや、それよりもだ。ちびっ子戦隊を馬車に乗せないと、目立ってしまうぞ。

 雛はまだいいが、プチゴーレム達だ。

 本当なら土人形は、動くはずないのだから。


「まあ! 可愛らしいのがいるじゃない!」

「ええッ!? 何で動いてんだよ! アハハハ!」


 ああ、遅かった。見つかってしまったのだ。


「ロロ、手遅れだな」

「にこにい、ろーしよう」


 ちびっ子戦隊が、おじさんやおばさんに囲まれている。

 なのに、ちびっ子戦隊ったらとっても自慢気なのだ。


「ピヨヨ!」

「キャンキャン!」

「ピヨ!」

「アン!」

「わふん」


 ピカまで自慢気にしている。意味が分からない。駄目だろう、さっさと戻って来るのだ。


「ニコ、ロロ、大丈夫か?」


 レオ兄が馬車に戻ってきた。馬車の後ろ側から声を掛けてくれる。


「なんともないぞ!」

「れおにい!」

「ロロ、早く目が覚めちゃったんだね」


 俺はトコトコとレオ兄に抱きついた。そのままレオ兄は抱っこしてくれる。レオ兄の腕の中は安心なのだ。


お読みいただき有難うございます!

やっとリア姉が大活躍しました。^^;

宜しければ、下部にある☆マークで評価をして頂けるととっても嬉しいでっす!

ロロを宜しくお願いします!

と、言う事でお久しぶりに大好きなリリの表紙を。^^;

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] リア姉やったー!
[良い点] リア姉凄い(*≧∀≦*)尊敬の眼差し✌︎('ω')✌︎ 火事場の馬鹿力なのか❓剣に魔力を付与するなんて、リア姉あんたは偉い❣️長女の面目を保つ事が出来た(*゜∀゜*) ただの能力では、…
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