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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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159ー秘密になってない

 多分なのだけど、言葉をオブラートに包んだりすることなんて知らないのだと思う。

 相手がどんな気持ちになるかなんて、神獣のピカには関係のないことなのだろう。


「ああ、なるほど。ロロ、そうなの?」

「たぶん、しょうらと思うのら」

「確かに。神獣だからね」

「しょうなのら」

「ほいぃッ!? ピカちゃんは神獣なのですか!?」


 あ、しまったのだ。ハンザさんがいた。これは、言っておかなければならないのだ。


「はんじゃしゃん、ひみちゅ」


 そして人差し指をプニッと唇に当てる。

 よし。これで、大丈夫なのだ。


「ロロ、秘密になってないぞ」

「え、にこにい。しょお?」

「そうだよ」

「ほぅッほぅッほぅッ、大丈夫です。誰にも言いませんよ」


 ハンザさんが笑いながら言った。


「お利口なワンちゃんだと思ったら、神獣ですか。私は神獣を初めて見ましたよ」

「ちろも」

「ほほい! そうなのですか!?」

「ほら、ロロ。自分から言ってるじゃん」


 あ、しまったのだ。ここはやはり、もう一度言っておかなければならない。


「はんじゃしゃん、ひみちゅなのら」


 俺はまたまた人差し指を唇にプニッとつけた。


「ほいほい。秘密ですね。ほぅッほぅッほぅッ」


 人の良さそうな笑顔のハンザさん。


「ピカちゃん、秘密にする代わりと言っては何なのですが」


 お、何なのだ? 笑顔が怪しくなってきたのだ。目つきが変わったのだ。


「帰りに私の荷物を、収納してもらえたら助かるのです。ほぅッほうッほぅッ」


 ありゃりゃ。交換条件を出してきたのだ。流石、商人なのだ。

 商品を沢山買い付けようという魂胆なのだな。ふむふむ。


「ロロ、どうする?」

「れおにい、べちゅにいいのら」

「そうなの?」

「はんじゃしゃんも、ご縁なのら」

「ロロくんは優しい。しかし、気を付けないといけませんな。私が悪い商人だったらどうするのですか?」


 それはそうなのだが、大丈夫なのだ。だって、レオ兄がいるから。


「れおにい」

「うん、大丈夫だよ」


 ほら、ちゃんと見ている。でないと、一緒の馬車に乗せたりしないのだ。

 何故なら、俺達はもう痛い目に遭っているから。ピカが狙われて俺が攫われたりしたから、レオ兄なら警戒していて当然なのだ。

 そのレオ兄が同行を許した人なのだ。


「はんじゃしゃんは、悪い人じゃないのら。れおにいが、らいじょぶらって言ってるのら」

「ほぅッほぅッほぅッ、有難う。これは、参った」

「ハンザさん、レオ坊ちゃまの目は誤魔化せませんよ」

「マリー、そうらしい。良い子達だ」


 レオ兄の鑑定眼。レオ兄本人が気付かないうちに使えるようになっていた。

 切っ掛けは、マンドラゴラだ。

 マンドラゴラなんて見たことがないのに、目の前に生えているそれが、何故かマンドラゴラだと分かったらしい。

 それで、魔獣討伐を中断して、森からマンドラゴラを処理しながら街に戻った。

 その判断力がレオ兄の冷静なところだ。このまま放っておけば、街の人達が被害に遭うと考えたのだ。

 それからレオ兄は、ピカが喋っていることも分かるようになっていた。レオ兄は、凄いのだ。

 だから、リア姉……頑張ろう。


「何? ロロ」

「なんれもないのら」

「なによぅー! なんだか、可哀想な目で見られていた気がするわよ!」

 

 なかなか鋭いのだ。リア姉、長女なのだからね。

 それに、さっき種を焼いていた炎だ。周りに燃え移らないように、炎を加減していた。

 あんなに火属性魔法が使えるのだ。是非とも頑張ってほしい。


「ロロ、やっぱり何か思っているでしょう?」

「りあねえ、がんばるのら」

「ほらー! 何? 何で?」


 まあ、リア姉のペースでいいのだ。ただ、あの泣き虫女神と同じ様なキャラになるのだけはやめて欲しい。

 それから、また馬車は走る。

 まだフォーゲル領を出ていない。今日は、領地で1番端っこにある街の宿屋に泊まる予定なのだ。

 ポップントットのポップーン攻撃で、予定外の時間を取ってしまった。

 だから、急ぎ気味に馬車を走らせ暗くなる前に、無事に目的の街に着いたのだ。

 宿屋の部屋に入る。俺はレオ兄と一緒なのだ。一日中馬車だったから、疲れてしまった。夕食を宿屋で食べると、俺は直ぐに眠ってしまったのだ。

 翌朝も、なかなか目が覚めなかった。

 馬車に乗ってもウトウトとしていた。お昼を食べても、眠気が抜けない。

 昨日、ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったかなぁ? なんて思いながら微睡(まどろ)んでいたのだ。

 まだ3歳児の小さな体には、思っていた以上に馬車の旅は疲れるものだったらしい。

 森から離れたこともあり、もう魔獣は出てこない。獣だって少ない。

 順調に馬車は進む。俺はずっと、浅い眠りを繰り返している状態で、夕方近くなった頃だ。リア姉が教えてくれたのだ。


「ロロ、もう街よ」


 いつの間にかフォーゲル領を出て、領地の街に着いていたのだ。今はあの怪しい叔父夫婦が領主だ。

 俺達の両親が住んでいた領主邸はまだ先の隣町にあるのだが、この街には俺達の両親のお墓がある。

 ルルンデの街より少し規模は小さい。でも、宿屋が沢山あって賑わっている。

 宿泊客はこれから王都へ向かう人達と、その逆の王都から帰る人達だ。

 その人達目当ての商店が、街の中心に並んでいる。いろんなお店があるのだ。

 この街は森から離れているから魔獣の被害はない。でも、街はぐるりと頑丈そうな防御壁で囲まれている。

 普段はここまで魔獣はやって来ない。でも、もしもスタンピードになったらどうなるのか分からない。だから、頑丈な防御壁があるのだ。

 そんな要素がなくても、この国の街には防御壁があるらしい。俺はよく知らないのだ。


お読みいただき有難うございます!

感想を有難うございます。

宜しければ、下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!目指せランクイン!

宜しくお願いします!

今月の30日に『ちびっ子転生者は手に負えないッ!』が発売されます。ハルちゃんの大冒険を是非お手に取って頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ロロの周りには良い人ばかりが集めって来るよ。(╹◡╹)♡ 叔父夫婦(偽)が居る、領土に来ました。 皆んな気を引き締めていつ(偽)叔父夫婦が気付くかも知れないから。 本当は、ゆっくりご両親の…
[一言] もう長女はフィジカルとシックスセンスを伸ばせばいいんじゃないかなと思い始めましたインテリジェンスは一旦諦めて
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