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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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158/486

158ー美味しい

「れおにい、ろんな実?」

「ロロ、見る?」

「うん、見たいのら」


 レオ兄が持っていた大きな袋から、超特大の枝豆の様な実を出した。40〜50センチはあると思うぞぅ。重そうだ。

 でも、緑ではない。淡いクリーム色をしている。この中にある種が飛ぶようになると、濃い黄色になるらしい。


「うわ、デカイな!」

「食べてみる?」

「レオ兄、このまま食べられんのか?」

「これを焼くんだ」


 焼くとはどうやって? 流石にフライパンなんて持ってきていないのだ。

 みんなで馬車を降りて、これからポップントットの試食会なのだ。

 レオ兄が、大きな実を幾つか地面に置いた。


「姉上、いいよ。やり過ぎないでよ」

「分かってるわよ」


 リア姉が片手をポップントットに向けて、炎を出したのだ。ポップントットは炎に包まれて、焼くと言うより燃えている。

 えッ!? 焼くって直焼きなのか!? なんて大胆なのだ。中の実が焦げ焦げになっちゃったりしないのか?


「そんなにしっかりとは焼かないので、皮が厚いから大丈夫ですよ」


 ほうほう、焼き芋みたいなのだ。直ぐに香ばしい良い匂いがしてきたのだ。そのうち、またポップーンと弾けるような音がした。


「レオ、もういいんじゃない?」

「そうだね」


 レオ兄が手を出してギュッと握る仕草をすると炎が消えたのだ。え? どうやったのだ?

 もしかして、レオ兄って凄いのではないか?


「れおにい、いまのろうやったのら?」

「ん? 風属性魔法だよ。ギュッてね」


 うん、意味が分からないのだ。炎の周りの風をギュッてしたのか? そのギュッて何なのだ?

 目立たないけど、もしかして凄い事なのではないのか? これは帰ったら、ディさん案件なのだ。


「じぇんじぇん、わからないのら」

「アハハハ、僕もうまく説明できないよ。風を握る感じかな?」

「むむむ」

「ほうほう、リアちゃんやレオ君は魔法がとっても上手だ」


 ん? リア姉もなのか? いや、まあいい。今はそこじゃないのだ。


「レオ兄、それよりもう食べられるのか?」

「ああ、ニコ。熱いよ、剥いてあげるから」


 そりゃそうなのだ。さっきまで炎に包まれていたのだから。

 でもその割には皮が真っ黒に焦げていたりしない。こんがりと焼けて茶色くなっている。本当に頑丈な皮だ。

 よく見ると、皮が片側だけ少し割れている。さっきの、ポップーンという音は皮が爆ぜる音だったのだ。

 こうして爆ぜるように、種を飛ばしているのか?

 レオ兄が、そっと持ってキヌサヤの筋を剥くみたいに、爆ぜている皮の方をピーッと剥いた。

 そこから割ると、中には淡いクリーム色した野球ボール大の豆さんが幾つも出てきた。

 ホックホクなのだ。湯気が出ている。美味しそうな匂いもしている。


「レオ坊ちゃま、この葉を使ってください」

「マリー、ありがとう」


 マリーがいつも使っている、包んでおくと腐りにくくなる葉っぱ。それを出してきた。よく持っていたのだ。

 その葉っぱにコロンと実をのせて、ニコ兄に渡した。


「そのまま、かぶりついてごらん」

「レオ兄、硬くないのか?」

「大丈夫だよ」

「れおにい、ボクも」

「あたしも!」

「ほほい、私も一つ」


 お、みんな興味津々なのだ。

 まず最初にニコ兄が、かぶりついた。

 サクッと良い音がしたぞ。それに、なんだか香ばしい良い匂いもする。


「にこにい、どお?」

「うまッ!」

「アハハハ、そうだろう?」

「丁度いい塩加減だ!」

「アハハハ」


 塩加減? 木の実なのに? まあ、いいや。俺はチャレンジャーなのだ。

 両手でポップントットの実を持って、ガブリとかぶりついた。


「ふぇッ! うまうま!」


 驚いたなんてもんじゃない。見た目から想像できない味と歯触りなのだ。

 植物なのにサクサクとしていて、味はまるで塩味のポップコーンだったのだ。

 実を焼いたのだ。皮のまま焼いたのだから蒸されていて、普通はホクホクになるのではないのか? なのに、サックサクなのだ。


「美味しい!」

「ほいほい、ちょうど食べ頃ですね」


 みんな、サクサクと食べている。これは、コーラが欲しくなるぞぅ。

 ピカやチロだけでなく、ちびっ子戦隊まてかぶりついている。

 あれれ? プチゴーレム達は、食べないのではなかったか? 俺の魔力がご飯代わりだと話していたのだ。


「わふん」

「あらら、しょうなんら」

「アハハハ!」


 レオ兄が笑っている。んん? もしかして……?


「れおにい、ぴかの話してる事が分かるの?」

「うん、そうなんだよ。最近分かるようになったんだ」

「しゅごい! やっぱていまーらから?」

「アハハハ、テイマーか。登録は僕がしているけど、実際にテイムしているのはみんなロロじゃない」

「れも、ていまーなのら」

「そう? アハハハ」


 ピカがプチゴーレム達に、自分達も食べてみたいとせがまれたらしい。それで仕方なくお野菜をあげたら、食べるようになったのだとピカが言っていたのだ。

 それからお野菜だけでなく、なんでも食べるらしい。


「わふぅ」

「えぇー」

「アハハハ!」


 ピカさんが、困った子達だと言っている。良いと思うのだ。食べるくらい、全然良いのだ。


「わふ?」

「うん、いいのら」


 だってほら、嬉しそうに短い尻尾をブンブン振りながら食べている。可愛いではないか。


「ピカ、沢山採ってきたから収納しておいてくれる?」

「わふん」

「うん、有難う」


 本当に、レオ兄がピカと会話しているのだ。なんだか、感動なのだよ。


「れおにい、しゅごいのら!」

「アハハハ、言葉が分かるとピカの印象が少し変わるね」


 ええー、そうなのか?


「ピカはハッキリと物を言うんだね。もっと温厚な性格だと思っていたよ」

「あー」


 うん、それは分かるのだ。見た目から受ける印象とは違って、時々辛辣な事を言うピカさんなのだ。


お読みいただき有難うございます!

感想も有難うございます!

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宜しくお願いします!

初の書籍化作品

『ボクは光の国の転生皇子さま!』が発売中でっす。

宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 空気というか酸素を遮断して燃焼を止めたんですかね?魔法にしては科学的なやり方ですが
[良い点] ヤッタ❣️やはり食いしん坊の私の願いが叶いました。 焼けば塩味〜合理的に出来てズボラな私向けでは無いですか。 惜しい、異世界で無ければ買いに行くのに。 私の分も沢山食べてね。  でもレオ兄…
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