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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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156ーび、び、びっくりなのら

「姉上、降りよう!」

「分かったわ!」


 レオ兄が落ち着いている。なら、魔獣ではないのか? ピカさん? おや? まさか、まだ眠っているのか?


「ぴか」

「わふぅ」


 眠いよ〜なんて呑気に言っている。ピカが警戒していないから、魔獣や獣ではないのだろう。これは一体何なのだ?


 ――ポップーン!

 ――ポップーン!


「レオ、この音何なの!?」

「分からない! でも、周りを探してみよう!」

「レオ君! リアちゃん!」


 突然、ハンザさんが声を上げた。馬車の中からジッと様子を見ていたハンザさんが、何かに気付いたみたいなのだ。


「これはきっと、ポップントットですよ! 種を飛ばしているんです! 当たらないうちにこのエリアを通り過ぎましょう!」


 ハンザさんが、そう叫びながら素早く御者台に移動した。びっくりなのだ。

 お昼に馬車を降りた時は、ほいほいと両手を後ろにやりのんびり歩いていたハンザさん。それに、もうお爺ちゃんだ。

 なのに、ヒョイと御者台に飛び移ったのだ。


「ハンザさん! 走らせて下さい! 僕達は追いかけます!」

「ほほい!」


 ハンザさんが手綱を握る。お馬さんが力強く地面を蹴って走り出し、どんどん加速して行く。

 ガタガタと音を立てて、幌馬車は走って行く。

 その間もあの音はしている。種が飛んでいるらしいのだが、俺には見えないのだ。


 ――ポップーン!

 ――ポップーン!

 ――ポプポプポップーン!


 ちょっとお間抜けな音なのだ。

 ボーッと突っ立っていた俺は、当然馬車の中で転がった。それを小さな体で、ニコ兄が支えてくれる。


「ふぇッ!」

「ロロ! 捕まれ!」

「にこにい!」

「ロロ坊ちゃま! ニコ坊ちゃま!」

「ニコ! 捕まって!」

「おう!」


 ユーリアが手を伸ばしてくれる。俺は必死でニコ兄にしがみ付いた。

 ユーリアとエルザに引っ張られて、ニコ兄がマリーの腕の中へ。マリーがニコ兄ごと俺を抱き寄せてくれる。

 び、び、びっくりだ! びっくりしたのだ! 心臓がバッコバコなのだ。


「わふッ」

「ぴか!」


 ピカが後ろから飛び降りた。

 レオ兄とリア姉が走って追いかけて来る。飛んでくる種らしき物を、レオ兄が狙いを定めて槍で打ち返している。

 ジャンプしながら槍を振りかぶり、カキーンと森の中に打ち返しているのだ。ナイスバッティングだ。

 リア姉も走りながら、剣でスパンと真っ二つに切っている。よくそんなことができるものだ。

 ピカがその2人に合流した。そして、ピカが吠えた。


「わおぉーん!」


 すると、ピカとレオ兄やリア姉の周りに風の膜ができた。そのまま走って来る。

 よく見ると、森から野球ボール大の丸い物が飛んできている。あれが種なのか? 大きいぞぅ。

 ピカが出した風の膜が、それを弾いているのだ。


「なんら!?」

「ロロ坊ちゃま、喋っていたら舌を噛みますよ!」


 うぅッ、そうなのか? それほど馬車は揺れていたのだ。

 ふと見ると、いつの間にかチロがエルザのお膝に乗っていたのだ。寝ていると思っていたのに、こんな時は行動が早いのだね。


「キュル」


 そのチロが、ピョンと俺の頭に乗ってきた。


「キュルン」


 また何かが抜けるような感覚がしたかと思ったら、チロが光りお馬さんとハンザさんが一瞬光に包まれた。

 これはあれだ。きっとチロが何かをしてくれたのだ。あれれ? やっぱ俺の木の短剣がなくてもできるのだね。


「ちろ、ありがと」

「キュルン」


 大丈夫、もし当たったとしても怪我にはならないと言っている。防御力を上げた感じなのらしい。

 ハンザさんやお馬さんが、痛くなければ良いのだけど。

 森の横を駆け抜け、やっと森から離れた場所でゆっくりと馬車は止まった。


「ほほぅ、ここまで来ればもう大丈夫ですよ。怪我はありませんか?」

「ハンザさんこそ、大丈夫ですか?」


 マリーがギュッと、俺とニコ兄を抱きしめながらハンザさんに聞いている。


「なんともないですよ。馬を見てきますから、まだ外には出ないで下さい」


 ハンザさんが、御者台からピョンと飛び降りた。本当、印象と違いすぎる。

 とっても身軽で、動けるお爺ちゃんなのだ。いや、待てよ。まさかハンザさん、おっとりとしたお爺さんは世を忍ぶ仮の姿なのか!? まあ、そんなことよりも。


「まりー、りあねえとれおにいは?」

「大丈夫です。もう追いつきますよ」


 マリーの腕の中から、モゾモゾと顔を出し馬車の後ろを見る。良かった、2人して走って来るのだ。


「びっくりしたな。ロロ、大丈夫か?」

「にこにい、らいじょぶら。ありがと」

「おう」


 ニコ兄が支えてくれなかったら、俺はコロンコロンと転がっていたのだ。ふゅぅ、危なかった。

 しかし、驚いた。あのポップーン! と、飛んできたのは種だとハンザさんが言っていた。種がどうして飛んでくるのだ? 危ないのだ。

 リア姉とレオ兄が馬車に追いついた。

 

「みんな平気なの!?」

「怪我はないか!?」

「わふッ」


 ピカがピョンと馬車に乗ってきた。そして、ツカツカとちびっ子戦隊の側へと行き、プチゴーレム達をお鼻で小突いたのだ。

 あらら、気付かずに寝ていたらしい。


「わふわふ」

「キュウン……」


 小さなプチゴーレム達が、より小さく見えるぞぅ。ピカの前に小さくなって整列している。

 お帽子から出ているお耳を、コテンと倒している。あらら、反省しているのだ。

 一緒に寝ていたフォーちゃん達まで、叱られていないのに小さくなっている。


「ロロ、あれピカに叱られてるよな」

「うん、ねてたから」

「アハハハ、あの騒ぎで起きなかったんだ」

「ばくしゅいなのら」

「アハハハ!」

「ふふふ、ピカに叱られてますね」

「可愛いー」


 なんだか和むのだ。エルザが可愛いと言う気持ちも分かる。ちびっ子戦隊が整列して肩を落として叱られているのだ。

 見ていてとっても可愛らしい。


お読みいただき有難うございます!

感想を有難うございます!

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宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 小さいうちは食って遊んで寝るのが仕事と申しまして ゴーレムに当てはまるのかは知りませんが
[一言] 危ないけどちょっと楽しいポップントット(*´▽`*) 誰にも怪我なくてよかったね。 怒られてるちびっ子戦隊可愛い~次はがんばれー♡
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