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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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155/485

155ー最後の難関

 魔馬と言っても大人しくて従順なのだ。

 馬車に何人も乗っていても、疲れた様子もなく平気で走っている。力持ちなのだ。

 真っ黒ではなくて、黒に近い茶色の艶々した毛並みに、鼻筋から額にかけて長細く白くなっている。

 足は靴下を履いているみたいに、足先だけ白い。つぶらな丸い瞳が穏やかそうだ。


「れおにい、なれなれしたい」

「舐められちゃうよ?」

「なれなれしたいのら」

「そう? じゃあ抱っこしてあげるよ」

「うん」


 レオ兄に抱っこされて、お馬さんのそばに行く。大きいのだ。


「普通の馬より足がしっかりしていて、体も大きいだろう?」

「うん」

「丈夫で力があるんだ」

「力もち?」

「そうだね」


 レオ兄の話を聞きながら俺はそっと手を出す。先ずは、背中なのだ。そっと撫でる。

 大人しく撫でられてくれる。いい感じなのだ。お顔にも挑戦しよう。


「れおにい、お顔なれなれしゅるのら」

「大丈夫?」

「うん」


 白くなっている鼻筋に触りたい。あそこを撫でたいのだ。

 俺が手を出すと、お馬さんがベロリンと俺の手を舐めた。クンクンと匂っていたかと思うと、パクリと手首まで咥えられちゃったのだ。


「ありゃ」

「痛くないだろう?」

 

 咥えているけど、全然痛くない。力を入れていないのだ。甘噛みか? モグモグしているぞ。


「ロロが好きなんだ」

「しょう?」

「うん、僕も最初に手を食べられちゃったよ」

「ええー」


 でも、そろそろ離してほしい。俺は、撫でたいのだ。


「お馬しゃん、なれなれしゃしぇて」


 ちゃんと理解しているのか? 俺がそう話しかけると、手を離してくれた。


「お利口しゃんらねー」


 よし、撫でてみよう。俺はチャレンジャーなのだ。小さな手でそっとナデナデする。

 この感触はピカとはまた全然違う。ベルベットのような手触りなのだ。

 大人しく、撫でられてくれる。良い子だね。うちにもお馬さんが欲しいなぁ。

 お馬さんがいれば、リア姉やレオ兄の移動が楽になる。クエストのために、毎日歩いて森まで行くのだ。お馬さんがいれば楽だろうなと思ったのだ。

 また、テイムしに行くか?


「れおにい、森にいるの?」

「お馬さんかな? 森にいるよ。でも野生のお馬さんは人には懐かないからなぁ」

 

 そうなのか。それは残念だ。いやいや、テイムがあるのだ。レオ兄や俺はテイマーなのだから。

 お昼を食べて少し休憩したらまた出発なのだ。

 元気に馬車を引いてくれているお馬さん。魔馬というのだそうだ。元は魔獣さん。

 お水をガブガブ沢山飲んで、草をモシャモシャと食べて、なんとレオ兄から骨付きの大きな生肉を貰って食べていた。おかわりもしていたのだ。


「れおにい、お馬しゃんお肉たべるの?」

「そうだよ。骨もバリバリ食べるんだ」

「ひょぉー!?」


 骨ごとなのか!? この世界のお馬さんは凄いのだ。だからパワーがあるのか?


「ロロ、だから普通の馬じゃないよ。魔馬だ」

「しょうらった」


 じゃあ魔法を使ったりするのか? クーちゃんは防御魔法が使えるのだ。


「多分なんだけど、軽い身体強化を使っているんじゃないかと言われているんだ。攻撃魔法やクーちゃんみたいな防御魔法は使えないんだよ」


 ほうほう、なるほど。身体強化なのか。だから、元気に馬車を引けるんだね。

 ちょっと待てよ。


「れおにい、かんてい」

「ん? 鑑定眼かな?」

「しょう。しょれれ、みれるのら」

「そっか、そうだね。この旅の間に時々見てみようかな。それよりロロ、ちゃんと座っていないと危ないよ」


 俺は、レオ兄とニコ兄が乗っている御者台のすぐ後ろから、2人の腕を持って立っていたのだ。ヒョコッと首を出してお馬さんを見ながら話していた。

 そうしないとお馬さんが見えないのだ。で、2人の腕を持っていないと立っていられない。だって、馬車は揺れるから。


「リア姉のとこに行って座っとかないと」

「にこにい、りあねえはねてるのら」

「リア姉は寝てるのか?」

「うん、みんなねてるのら」

「みんななの? アハハハ。お昼を食べてお腹いっぱいだからだろうね。静かだと思ったよ」

「らから、たいくちゅなのら」

「ロロは寝ないのか?」

「ねないのら」

「お昼を食べる前に寝ていたからだね」


 そうなのだよ。変に寝てしまったから、全然眠くないのだ。

 ピカさんも寝そべって目を瞑っているし、チロはその上で丸くなって眠っている。

 ちびっ子戦隊も一箇所に集まって、大人しく寝ているのだ。

 リア姉とマリー達もお昼寝中なのだ。


「みんなねてるのら」

「アハハハ、それは残念だねー」

「ロロ、あんまり顔を出したら危ないぞ」

「わかったのら」


 長閑な街道をパカパカと馬車は進む。まだすぐそこに森が見えている。後少しで、森から離れた場所に出る。


「この辺りが最後の難関ですな」

「ハンザさん、難関ですか?」


 おっと、眠っていると思っていたハンザさんが起きていた。


「ここを過ぎれば完全に森から遠ざかるので、魔獣は出て来ないのですよ。それで、最後の難関などと言われています」


 なるほど。でも、難関と呼ばれるくらいなのだから、きっと魔獣さんが出るのだろうね。フラグが立っちゃったのだ。

 でも、ピカさんは眠っているから大丈夫かな?


 ――ポップーン!

 ――ポップーン!


「うわッ! 何か飛んできたぞ!」

「ニコ、中に入るんだ! 姉上! 起きて!」


 レオ兄が馬車を止めた。

 ニコ兄が慌てて中に移動してくる。なのに、レオ兄が御者台から動かないでジッと森を見ている。


 ――ポップーン!

 ――ポップーン!

 ――ポプポプポップーン!!


「れおにい! あぶないのら!」

「大丈夫、ロロも出て来たら駄目だよ!」

「レオ! 何なの、これ!?」


 一体何がどうなっているのか分からない。『ポップーン!』と音はするのだけど、何かが飛んでいるのか? 何が飛んでいるのか分からない。


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告も有難うございます!

何度も読み返しているのですが、誤字に気付けず^^;

助かります。

宜しければ、下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします!

私のちびっ子の原点『ボクは光の国の転生皇子さま!』3巻が発売中です。4巻も書籍化作業中です。こちらも宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
( ̄_ ̄)と………………とうもろこし?
[一言] ポップーンがポップコーンに見えて仕方がない(笑)
[一言] ポップーン!なんだろう?
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