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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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154ー野営場

「わふん」

「しょう? いい?」

「わふ」


 ピカが、自分に凭れて寝るといいと言ってくれたのだ。だから、お言葉に甘える事にしたのだ。


「あらあら、ロロ坊ちゃま。眠るならもっとクッションを敷きましょうね」

「まりー、ありがと」


 俺の体の下に、クッションを幾つも敷いてくれた。これでバッチリなのだ。

 ピカにくっつきながら、体を丸めてネムネムなのだ。


「抱っこしてあげるのにぃ」


 リア姉が何か言っているけど、俺はもう眠る体勢になっているのだ。

 どれ位眠っただろう?

 ピカに起こされて目が覚めた。


「わふ」

「しょう、お昼?」


 馬車の外を見てみる。だだっ広い平原だったのだ。見渡す限り何もない。

 遠くの方に小さな村があるらしい。簡単な防御壁のようなものが見える。


「ロロ、お昼休憩にしましょう」

「うん、ペコペコなのら」


 お昼は『うまいルルンデ』のオスカーさんが持たせてくれたお弁当なのだ。

 おかずは何かなぁ? 楽しみだ。

 馬車が街道の脇にある、作られた空き地に入っていく。

 そこには、馬の水飲み場が作られていて、簡素だけど雨を避けられそうな、屋根のある四阿が幾つか建っている。

 その並びに、煉瓦をブロックの様に積み上げられた台が幾つかある。あの台は、簡単な調理ができるようになっているのかな?

 旅慣れているというハンザさんが教えてくれた。


「ここは街道に作られた野営場なのですよ」

「やえい?」

「街と街の間に、最低一つは作られているのですよ。宿に泊まらない人達が、ここで夜を明かすのです」


 なんですとッ!? お外で寝るのか? 危険ではないのか? 獣が出て来たらどうするのだ?


「獣や魔獣避けの魔道具が設置されているのです。だから安心なのですよ。私も若い頃はよく利用しました」


 ほうほう、レオ兄が森で使っていた魔道具の凄いバージョンかな? それがあるなら大丈夫なのだ。

 この街道を利用する人達の事を考えて作られているようだ。


「ロロ、降りるわよ」

「うん、りあねえ」


 両手を出してリア姉に降ろしてもらう。

 ふぅ〜、ガタゴトしないのはいいね。馬車って乗っているだけで疲れるのだ。


「ロロ、こっちだぞ」

「にこにい」


 呼ばれた方へと歩いて行く。さっき見た簡素な四阿の下だ。

 テーブルと椅子がある。そのテーブルにお弁当を広げる。


「これ絶対に、コッコちゃんの卵で作ったオムレツだぞ」


 ニコ兄が狙っている。コッコちゃんの卵は美味しいから。


「コッコちゃんですか?」


 ハンザさんが分かっていない。だって本当は、コッコちゃんてお名前じゃないから。


「フォリコッコの事です。フォリコッコの卵で作った、オムレツだと思いますよ」


 レオ兄が説明したのだ。森で捕まえてきて飼っているのだと。


「それは凄い! あの『うまいルルンデ』で食べられるのですか?」

「はい。オスカーさんが裏で飼っているんです」

「それは是非食べに行かないと」


 でも数量限定なのだ。それよりハンザさん。今、目の前にあるのだ。それを食べないでどうする。


「はんじゃしゃん、たべて。おいしいのら」

「ほほう、有難う」


 ニコニコしながら、コッコちゃんのオムレツを一口食べたハンザさん。途端にお目々が丸く大きくなったのだ。どうだ? 美味しいだろう?


「こんな卵は食べた事がないです! コクがあって濃厚なのに、なんてまろやかなんでしょう!」

「な、コッコちゃんの卵は美味いんだ」


 そう言いながら、ニコ兄もパクパク食べている。

 オスカーさんが作ってくれたお弁当は、それだけではないのだ。

 厚焼き卵サンドに、ハンバーグ、トマト味のパスタ、齧り付いたらパリッと音がするウインナー、それにちゃんとサラダも付いている。豪華なのだ。


「はいはい、温かいスープもどうぞ」


 マリーがこの旅の為に、何日も前から色々作っていたスープなのだ。沢山作っていたけど、どれだけ作ってピカに預けているのだろう? 鍋ごと出てきたぞぅ。


「沢山ありますからね」


 沢山あるらしい。そうだろう。だって張り切って作っていたのだ。

 今朝なんて、作り過ぎたからと言ってセルマ婆さんにお裾分けしていた。しかも大きな鍋ごとなのだ。


「道中温かいものがあるというのは、嬉しいですね」


 ハンザさんが美味しそうに、マリー特製の具沢山スープを食べている。

 マリーは大雑把だけど、お料理は上手だ。


「ロロ坊ちゃま、冷たい蜂蜜ミントティーです」

「えるざ、ありがと」


 蜂蜜ミントティー? 何故に? いつもなら果実水なのに。


「蜂蜜を入れてるから飲みやすいですよ。ミントティーは馬車に酔わないように、念の為です」

「へえ〜」

「まだまだ先は長いですから」


 そうなのだ。今日はまだ夕方までずっと馬車なのだ。

 お馬さんもお昼休憩だ。水場で水を飲み、草を貰ってモシャモシャと食べている。

 おやおや? よく見るとお馬さんの額に小さな角があるのだ。小さいけど、コッコちゃん達よりもずっと立派な尖った角が一つある。


「れおにい、お馬しゃん、ちゅのがあるのら」

「そうだよ、魔獣なんだ」


 なんですとッ!? 魔獣さんなのか? 危なくはないのか?


「大丈夫だよ。魔獣と言っても、人に育てられた魔馬なんだ。馬車を引く為に育てられているんだよ。力が強くて体力があるから、長距離でも楽勝なんだ」


 ほうほう、魔獣を育てるのか。うちのコッコちゃんみたいなものか。


お読みいただき有難うございます!

感想や誤字報告を有難うございます!

皆様のロロのイメージはどんな感じなのでしょう?強くない主人公は初めてなので気になります。^^;

宜しければ、下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 大量に作ると美味しいものはおすそ分けどころか炊き出しで配れるほどの量を作るのが正しい道らしいですよ
[良い点] 何時も楽しく読ませて頂いています。何をするは分からないロロの事が可愛くて可愛いくてたまりません。決してロロは弱く無いですよ。ただ本人が自覚無しでやらかしているだけです。そこがまたロロらしい…
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