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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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149ー防御壁の外

 馬車の中から外を見ると、いつの間にかドルフ爺とセルマ婆さんも出て来ていた。

 ドルフ爺の足元にはクーちゃんとコッコちゃん達がいる。


「いってくるのら!」

「行ってきますー!」

「ドルフ爺、畑を頼んだぞ」

「おう。ニコ、任せろ! みんな行ってこい!」

「気を付けるのよ〜!」

「行ってらっしゃい!」


 ドルフ爺、セルマ婆さん、ディさんが見送ってくれた。

 ふふふ、なんだか嬉しいのだ。俺は、みんなが見えなくなるまで、馬車の後ろから手を振った。

 こんなの初めてで、ちょっぴりワクワクするのだ。


「なんとも、賑やかだ。ほぅッほぅッほぅッ」

「すみません、みんな行くって言ってきかなくて」

「いやいや、乗せてもらっているのは私なのだから。レオ君、途中で代わりますよ」

「大丈夫ですよ、有難うございます」


 ハンザさんも御者ができるらしい。とっても人の好さそうなお爺さんなのだ。


「本当は店の馬車で息子が行くはずだったのですよ。それが、もう古い馬車だから出た途端に車輪が壊れてしまって。それで馬車は壊れるし、息子は怪我をするしで」


 あらら、大変だ。それで急遽一緒に行く事になったのだな。


「レオ君がCランクの冒険者だと聞いてね。それは心強いと思ったのですよ。行先が同じで良かったですよ」

「道中、護衛がいないと不安ですものね」

「ほいほい、そうなのですよ。でも、急に護衛依頼を出しても受けてくれる冒険者がいなくてね」


 冒険者って、狩りをしたりダンジョンに潜ったりするだけじゃないのだな。商人の護衛もするのだ。

 俺達は、リア姉とレオ兄がいるから平気なのだ。それに、ピカもいる。


「姉のリアもCランクなんで大丈夫ですよ」

「ほうほう、それは心強い」


 いつの間にか、エルザやユーリアもしっかりお尻にクッションを敷いて座っている。

 どうやら、この馬車にはクッションは必需品らしいのだ。

 走り出して分かった。ガタゴトガタゴト揺れる。お尻に響くのだ。

 俺の可愛いぷりっぷりのお尻がピンチなのだ。カッチカチになっちゃうぞぅ。


「ロロ、お膝にくる?」

「りあねえ、いい」

「まだまだ長いから痛くなるわよ」

「しょう?」

「そうよ、いらっしゃい」

「うん」


 結局、リア姉のお膝の上だ。もれなく、ほっぺにスリスリとお腹をモミモミも付いてくる。これは必ず付いてくるのだ。

 俺を可愛く思ってくれるのは有難いのだけど、ちびっ子でも俺は男だ。

 リア姉は強いけど、それでも守りたいと思う。そんな男心を、そろそろ分かって欲しいのだ。


「慣れないと、お尻が痛くなるでしょうなぁ」

「ハンザさんはもう慣れっこですか?」

「マリー、私が何年商人をやっていると思っているんだい?」

「あらあら、そうでしたね」


 一体、何年やっているのだろう?


「そうですね、もう50年ほどですか」

「ひょぉ~」

「ほほい、なんとも可愛らしい」


 ハンザさんは隣領にある、お客さんのお店まで行くのだそうだ。

 いつもなら、店の馬車で息子さんが行くそうなのだけど、馬車が壊れるし息子さんは怪我をするし。

 でも、相手は待っている。それで、急遽ハンザさんが届けに行く事になったそうなのだ。

 手が空いていて、客の事も分かっているのはハンザさんしかいなかったらしい。


「昔は西へ東へ、いろんな街や村に行ったもんです」

「はんじゃしゃん、なにうってるのら?」

「ほほい?」

「あらあら、何を売っているのかと聞いているのですよ」

「ほうほう、私は主に調味料や小麦を売っているのですよ」


 調味料か……いいなぁ。見てみたいのだ。料理のレパートリーを増やせるかも知れないのだ。と、言っても作るのは俺じゃなくて、マリーなんだけど。


「店には他にも色々ありますよ。見に来てください」

「うん、いくのら。まりー、かえったら行くのら」

「はいはい」

「ほいほい」


 ハンザさんは、『ほいほい』と微笑むと目を細める。好々爺といった感じだ。

 チチチチと小鳥が鳴いている。馬車の後ろから青空が見える。

 いつもは賑やかな雛3羽とプチゴーレム達は、意外にも大人しくみんな固まって眠っている。まさか、体力を温存しているのではないだろうな。ちょっぴり不気味だ。

 ガタゴトガタゴト馬車は進む。暫くすると街を囲んでいる大きな防御壁に着いた。

 ゆっくりと馬車は止まり、レオ兄が守衛さんにギルドカードを見せている。

 ここを通る時は、いつも見せないといけないのだ。


「りあねえ、ボクはろうしゅるのら?」

「私とレオが一緒だから大丈夫よ」

「ほぉ〜」

「森に行った時もそうだったでしょう?」

「しょうらっけ?」

「ふふふ、そうよ」


 良かった。俺はまだギルドに登録できないのだ。

 マリー達はお役所で発行してもらう身分証明をもっているのだ。

 10歳以下のちびっ子は保護者が持って入れば大丈夫なのらしい。

 見ていると、レオ兄と守衛さんは顔見知りみたいだ。和かに話をしている。

 レオはもうCランクに上がったらしいな、おめでとう! なんて話している。


「毎日クエストで防御壁の外に出ているからよ。もう顔見知りなの」

「ひょぉ〜」


 なんかカッコいいぞ~。

 守衛さんが馬車の中を確認する時に、レオ兄が声を掛けた。


「ハンザさん、姉上、ギルドカードを見せて。マリー達も身分証明を見せて」


 え? ハンザさんもギルドカードを持っているのか? まさか冒険者なのか?

 そうは見えないけど、もしかしてイケイケなのか? つよつよなのか!?

 守衛さんが確認して、お気をつけて〜と言って送り出してくれる。


お読みいただき有難うございます!

ロロのお話を投稿する様になってから、新しい読者様が増えた様でとっても嬉しく思っています。

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宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハンザさんが、タンザさんになってませんかー? (゜-゜;)オロオロ(;゜-゜) [一言] GW中も楽しく読ませて頂きました!ありがとうございますヾΘωΘノパッ☆
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