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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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146/485

146ー出発の日

「ロロ、おはよう」

「ん……レオ兄、おはよー」

「よく眠れたかな? 体調はどう?」

「ん……元気なのら」

「よし、じゃあ起きよう」


 レオ兄に、いつも通り起こされた。今日は両親のお墓参りに出発なのだ。

 両親が治めていた領地はこのルルンデの街がある領地のお隣だ。王都とは反対側のお隣だ。

 その向こうの領地はもうこの国の端っこ、広大な領地を誇る辺境伯領だ。そのまた向こうはお隣の国になる。

 両親が治めていた領地、レーヴェント領。ルルンデの街があるフォーゲル領同様、王都に向かう人達の中継地点になっていて、結構賑わっている。

 そんな立地もあり、他の領地よりも宿屋が多い。

 そこの墓地に両親の墓がある。マリーの息子夫婦の墓もだ。

 俺がまだちびっ子な事もあり、ゆっくりと向かう。いつも通りの時間に起きて、無理しないで早めに途中の宿屋に泊まる。

 そして、翌日にレーヴェント領へ入る予定なのだ。

 俺はレオ兄に起こされて、まだ寝惚け眼のまま抱っこされ下へ降りて行く。みんな揃っていたのだ。


「ロロ、おはよう」

「にこにい、おはよー」

「あー、ロロはまだ目が開いてないぞ」


 だって、まだ眠いのだ。

 俺はいつもの、ニコ兄とレオ兄の間にある俺専用の椅子に座らせてもらう。

 ちびっ子用の、座面が高くなっている椅子だ。


「さあさあ、早く食べてしまいましょうね」


 マリーが朝食を並べていく。

 今朝はコッコちゃんの卵のスクランブルエッグだ。ウインナーも忘れない。ニコ兄が育てた新鮮なお野菜もある。


「いたらき」

「ロロ、目を開けてるか?」

「うん、にこにい。おきた」

「よし、しっかり食べるんだぞ」

「うん」


 ニコ兄はいつも俺の世話を焼いてくれる。ちびっ子仲間なのに。


「レオ、馬車借りてくるんでしょう?」

「食べたら借りに行ってくるよ」

「ばしゃ」

「ロロ、そんな豪華な馬車じゃないよ。人数が多いから幌馬車だしね」

「おぉー」


 そうなんだ。俺達兄弟4人だけじゃなく、マリー達も一緒だ。だから、7人だ。

 もちろん、ピカとチロも一緒だ。その上、フォーちゃん達3羽の雛と、5体のプチゴーレム達も行くらしい。朝からピヨピヨキャンキャンと張り切っている。元気だね。


「ロロ、眠かったら馬車で寝ていてもいいからね」

「うん」


 そう言って、レオ兄はさっさと食べて出掛ける準備をしている。


「レオ様、あたしも一緒に行きますよ。帰りに『うまいルルンデ』に寄ってほしいです」

「そうだったね、お弁当だ」

「はい」

「じゃあ、マリー。行ってくるよ」

「おばあちゃん、行ってきます」

「はいはい、気をつけて」


 バタバタと2人で出掛けて行った。『うまいルルンデ』のオスカーさんが持って行けと言って、お昼のお弁当を作ってくれている。きっとコッコちゃんの卵料理もあると思うのだ。

 俺はまだまだ食べるよ。モグモグと食べる。


「ロロ、今日は早く食べないと駄目だぞ」

「にこにい、わかったのら」


 よし、大急ぎで食べよう。お口いっぱいに頬張る。モグモグモグモグ。


「やだ、ロロ。可愛い。ふふふ」


 俺が急いでモグモグしているのを見て、リア姉が半分笑いながら言った。

 笑い事じゃない。早く食べるのは大変なのだ。お口いっぱいに入れて、ほっぺを膨らませてモグモグするから、タコさんのお口みたいになってしまっている。


「あらあら、そんなに急がなくても大丈夫ですよ」


 マリーが俺に果実水を出してくれた。コクコクコクと飲む。

 ふぅ……お喉が詰まってしまった。

 みんなで行くお墓参り。初めてなのだ。片道、丸1日掛かるからそう気軽には行けない。俺がいるからゆっくり行くのだそうだ。余計に時間が掛かる。

 両親の葬儀以来初めてなのだ。1年経ってやっとだ。

 葬儀の事を、俺は殆ど覚えていない。レオ兄に抱っこされて、泣いていた記憶しかない。


「マリー、花摘んでくる」


 もう食べ終わったニコ兄が、外に出て行った。ニコ兄は少し前から突然花を植えだしたのだ。

 俺は気にも掛けなかったのだが。そっか、この時の為に花を植えていたのかな?


「それだけじゃありませんよ。お花があれば綺麗ですから。虫除けになる花も植えているそうですよ」

「ほぉー、なるほろ〜」


 ニコ兄は、花を育てるのも上手だった。

 貴族の庭で育てている様な、豪華な薔薇とかではないけど。

 ピンクのアネモネと、白い小さな花のスノードロップ、黄色のフリージア、それに淡いブルーのネモフィラだ。

 虫除けとして家の周りに、ラベンダーも植えてある。これは、前世でも超メジャーなハーブだ。香りもとっても良い。


「ロロがよく軒下で日向ぼっこするだろう? 匂いも良いし、虫避けにもラベンダーは良いんだって。ドルフ爺に苗を分けてもらったんだ」


 俺の為なのか? ニコ兄、有難う。なんて優しいのだ。

 ニコ兄が採ってきた花を、マリーが可愛らしくリボンで結んで花束にしてくれる。全部で六つの花束だ。俺達両親とマリーの息子夫婦、それと俺達の祖父母の分なのだ。


「にこにい、きれーら」

「な、いい感じだよな」

「奥様がお好きそうですね」

「だよな」

「枯れないように、ピカに収納してもらっておきましょうね」


 母さまが好きそうなのか? 俺はそんな事も分からない。ちょっとだけ寂しいのだ。


「ロロ、食べたか?」

「うん」

「出掛ける準備しようぜ」

「うん」

「わふわふ」

「ぴかもらよ」

「わふん」


 ピカはまだ呑気に食べている。


お読みいただき有難うございます!

今日からやっと第3章に突入です。

感想や誤字報告を有難うございます。

2章では、ロロにお友達が沢山できました。3章では何があるのでしょうか?^^;

宜しければ、1番下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです。

皆様の応援が次への力になります。

宜しくお願いします。

さて、私はリリの4巻の準備をしなければ。^^;

3巻が発売中です。宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここまで通して、お友達が増えたというよりも、お友達を増やした(育成や自作で)という印象。良し悪しで言えば良いんですけど [一言] 旅の無事を願う。思ったより近い気もしますが幼児の身には…
[良い点] 大人数での旅は、支度も大変ですよね。 小さなお口でモグモグ、想像しただけでもロロの仕草が可愛いですね。 ロロに沢山の思い出が増えます様に。 [一言] 盗賊や魔物が出ません様に。
[良い点] 大人数での旅は、支度も大変ですよね。 小さなお口でモグモグ、想像しただけでもロロの仕草が可愛いですね。 ロロに沢山の思い出が増えます様に。 [一言] 盗賊や魔物が出ません様に。
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