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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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145ー最年少

「お着替えも持って行きましょうね」


 マリーが張り切っているのだ。俺は気付いていなかったけど、マリー達にとって今回のお墓参りはきっと念願だったのだろう。

 マリーの息子夫婦で、エルザとユーリアにとっては両親のお墓参りなのだから。

 俺も両親のお墓参りなのだけど、何しろ覚えていない。だから、実感が湧かないのだ。

 それよりも、初めての遠出だから楽しみな気持ちの方が大きい。


「もうしゅこしら。がんばった」

「本当ですね」


 今日中に作って、明日は一日ゆっくりしようと頑張っている。

 そんな感じで、リア姉達が帰って来るまでずっと刺繍をしていたのだ。

 そのお陰でなんとか出来上がった。リア姉とレオ兄、それにディさんのおリボンだ。

 リア姉のおリボンを、少し薄手のふんわりした物にしたから、1番難しかった。薄い生地は難しいのだ。


「ただいまー! ロロー! 合格したわよー!」


 元気にリア姉が帰って来た。


「やったのら!」

「ふふふ! 凄いでしょう! 今日からCランクよ!」

「しゅごいのら! れおにいも!?」

「うん、合格したよ」

「しゅごいッ! しゅごいのら!」


 俺は嬉しくて、思わずレオ兄の足に抱きついた。テンション爆上がりなのだ。


「アハハハ! 有難う!」


 ヒョイッと抱き上げてくれた。レオ兄も今日からCランクだ。

 たった1年でCランクだ。それは凄いと俺は思うのだよ。


「最年少のCランク冒険者の誕生だよ」

「でぃしゃん!」


 それは益々凄いのだ。最年少なのか。そうだよな。だって、リア姉は17歳、レオ兄はまだ15歳なのだ。


「お祝いしなきゃね」

「しょうら、おリボンがれきたのら」

「ロロ、僕のも!?」

「もちろん、れきたのら」


 俺は、ソファーの方へ行って3人のおリボンを手に取る。


「これは、りあねえ」

「ロロ、ありがとう!」

「れおにいは、これ」

「ロロ、ありがとう。大事にするよ」

「でぃしゃんも、はい」

「ロロー! 凄いや! 宝物にするよ!」


 ディさんは大げさだ。俺程度の付与魔法なんて、きっとエルフ族なら余裕で使えるはずなのだ。

 それでもこんなに喜んでくれると、作った俺としてはとっても嬉しい。


「ロロ、また凄い物を作っちゃったね」


 おふッ、俺に耳打ちしてきたのは、ディさんだ。


「え……」

「これ、物理だけじゃなくて魔法に対しても防御力アップになってるよ」

「らって、いたいいたいは、らめらから」

「そう思って作ったんだ」

「しょうなのら」


 物理でも魔法でも、怪我は駄目。怪我してほしくないのだ。


「危機感知も付与されているよ?」

「ききかんち?」

「そう。危ないなぁ、て分かるんだ」

「しょれは、さいしょからなのら」


 そうなのだよ。なんとな〜く、嫌な感じだと分かるのだ。


「なんとなくどころじゃないよ。確実に分かる。例えばダンジョンだったらね、このリボンをしていると、罠に気付かないなんて事はないだろうね」

「うん、よかったのら」

「アハハハ、そっか」

「うん、いいのら」

「大事にするよ。有難う」

「えへへ」


 ディさんが、そっと頭を撫でてくれた。

 何だか色々あるみたいだけど、構わない。無事に帰って来て欲しいから、そんなの気にしないのだ。

 次の日は、みんな其々旅の準備をしたりしていた。

 俺は、ミッションコンプリートしたので少し放心状態だ。やり切ったのだ。

 庭先でコッコちゃんとピカに囲まれて、ボケーッと日向ぼっこなのだ。そこに、日向ぼっこ友達のセルマ婆さんがやって来たのだ。


「ロロちゃん、日向ぼっこ?」

「しょうなのら」

「明日出発なのね」

「しょうら」

「心配だわぁ」

「みんな一緒らから、らいじょぶら。こっこちゃんとくーちゃんを、おねがいしゅるのら」

「ええ、それは大丈夫よ。任せて」


 そんな話をしながら、二人でウトウト……平和なのだ。


「ロロー! 何してんのー!」


 ああ、ウトウトしていたのに目が覚めちゃった。今日も元気で綺麗なディさんの登場なのだ。

 手を振りながら小走りでやってくる。ピッカピカの髪を(なび)かせながら。


「相変わらず綺麗ねー」


 ほら、セルマ婆さんも綺麗だと言っている。エルフの眉目秀麗さは特別なのだ。

 明日から、しばらくディさんと会えないなぁ。ちょっぴり寂しい。ん? おやぁ?


「でぃしゃん、髪」

「えへへ、結んでみたんだ。折角ロロにおリボンを作って貰ったからね」


 髪の片側を三つ編みにして、肩の辺りで俺が刺繍したおリボンで結んでいる。とってもお似合いなのだ。

 ちょっとシックな濃い緑にして正解だったのだ。ディさんのエメラルドグリーンに光って見えるブロンドの髪に、とっても映える。


「とっても、おにあいなのら」

「えへへ~、ありがとう」


 ヒョイと俺の隣に座る。ディさんも一緒に日向ぼっこなのだ。


「セルマお婆さん、ロロ達がいなくても僕は来るからよろしくね」

「まあ、歓迎しますよ」

「そう? ありがとう」


 きっと来るだけじゃなくて、夕ご飯にもお邪魔するつもりなのだと思うぞぅ。特盛サラダを作ってさ。

 その日の夕食の時だ。ディさんからリア姉、レオ兄、ニコ兄にプレゼントがあったのだ。


「前にロロにあげたアミュレットと一緒なんだ。みんなお守りだと思って、着けてくれると嬉しいな」

「でぃしゃん、おしょろい?」

「そうだよ。兄弟みんなお揃いだ。気をつけて行って来るんだよ。無事に帰って来るのを待っているからね」


 小さな緑の魔石が付いたアミュレット。居場所が分かって、シールドと防御、自動回復まで付与してある。

 ディさんの、付与魔法は凄いのだ。今の俺には作れない。

 何より、気持ちが嬉しいのだ。


お読みいただき有難うございます!

明日から第3章に突入です。

続けて読んで頂けると嬉しいです!

宜しければ、1番下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいです。ブクマも宜しくお願いします!

Xでは、ちゅどーん!とGCノベルズ様が宣伝して下さっているので、こちらではリリを!^^;

3巻発売中です。現在4巻の作業中です。

4巻はとうとうリリが王国に向かいます。是非読んで頂きたい!より良いものにできる様、改稿頑張ります!

挿絵(By みてみん)

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