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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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135ーまたまた登場

「またまた登場なのですーッ!」


 バババーンと登場、女神なのだ。お名前覚えているかな? この世界の主神である女神の、リシアディヴィーヌだ。

 ああ、せっかく良い夢が見られそうだと思ったのに。駄女神の登場なのか。

 いつ呼ばれても、色とりどりの花がまるで絨毯のように咲いている。俺が癒してもらった小川も、心地良い水音を立てて流れている。あの美味しかった桃みたいな実も、たわわに実っている。

 今日は眠っても、忙しい日なのだ。

 女神は懲りずに両手を広げて抱きついてきたから、いつも通り避けておいた。


「ぶぶぶぶぅーー!!」


 案の定、また顔面からスライディングして行ったのだ。もう何回同じ事をしているのだ。いい加減に学ぼう。

 ああ、キラキラした長い髪に、花弁がついてしまっている。せっかく綺麗に咲いているのだから、折らないようにしようよ。

 直ぐにシュタッと立ち上がって、何も無かったかのように澄まし顔で話してきた。


「今日はお疲れ様でしたねー!」


 今回は復活が早いのだ。何もなかった風を装っているけど、やっぱお鼻の頭が赤くなって擦りむいている。懲りないなぁ。


「うん、色々あったのら」

「クーちゃんを進化させてくれて、有難うなのです!」

「聖獣なんだって」

「そうなのですッ! 霊獣になるだけでも超レア中のレアなのです。なのにッ! 聖獣に進化するなんて激レアです! SSRなのです! ロロのお陰なのですッ!」


 そうかよ。それは良かったのだ。


「相変わらず塩対応なのですぅ。でも、そこがまたギャンかわッ!」


 両手をほっぺに当ててクネクネしている。可愛くはないぞぅ。俺にそんな趣味はないのだ。


「なんとなんと! 聖獣になったから、スキルが一つ増えたのです!」

「え、しょうなの?」

「はいッ! シールドを張れるようになったのですぅッ!」


 パチパチパチー、と自分で拍手をしている。自分一人で……虚しくはないのか?


「もう、ロロったから照れ屋さんなんだからぁ」


 いや、違うのだ。呆れているのだ。若干引いてもいる。相変わらずだなぁーと思うのだ。

 シールドってあれか? 見えない壁的なやつか?

 クーちゃんは本当に守りに特化している。『擬態』に『硬化』今度は『シールド』だ。


「クーちゃんのシールド。役に立ちますよぅ!」

「しょうなの?」

「はいッ! 必ずです! ああぁ、聞かないで下さいぃー! 今は言えませんーッ!」


 はいはい、そうなのか。無理には聞かないのだ。どうせ、後で分かるだろう。


「ああーッ! 今日はロロがお疲れの所為で時間が短いのですーッ!」

「ありがとね」

「ギャン可愛!! ああー! ピカちゃんが収納している物を……」


 ブチッと時間切れなのだ。最後の方は何を言っているのか分からなかった。

 余計な事を言っているから、時間がなくなるのだと俺は思うぞ。

 そして、俺は若干疲れて目が覚めた。女神に呼び出された時はいつもだ。

 きっとあの性格に、俺の心が疲れるのだ。


「ロロ、疲れてる? 昨日無理したんじゃない?」

「れおにい、らいじょぶ。起きるのら」

「そう? 今日は家でゆっくりしておきなよ」

「うん」


 俺には計画がある。だから、そうゆっくりもしていられないのだ。

 俺は俺で、お墓参りの準備をしていた。マリーに手伝ってもらいながら、チクチクチクチクと毎日ずっと縫っている。

 午後からいつも通りディさんがやって来るのだけど、その相手もしていられない。

 出発が決まったから間に合わせたい。

 ごめんなさいなのだ。ディさんの刺繍は帰ってきたらちゃんとするからね。


「ロロー、何縫ってんの?」

「でぃしゃん、ひみちゅら」

「同じのが幾つもあるよ」

「らから、ひみちゅら。みたら、らめ」

「いやいや、それは無理だよ。だって、僕はもう見ちゃったもん」


 見ちゃったもん、って子供じゃないんだから。

 見ていても良いのだけどね、何なのか分かっても秘密だよ。言ったら駄目だ。

 赤、青、ピンク、黄色、緑。戦隊モノじゃないのだ。

 目立つところに数字をアップリケして。ふふふん、なかなか可愛いのだ。パッと見て分かるのも良い。


「ロロ坊ちゃま、ここはどうやって止めますか?」

「まりー、ろうしよう? 結ぶ? ボタンにしゅる?」

「そうですね、緩んだりしないようにボタンの方が良いのではないですか?」

「しょっか」

「丁度いい感じのボタンがありますよ」

「じゃあ、しょうしゅる」

「はい」


 マリーと手分けして、チクチクチクチク。もう朝からずっと縫ってる。

 俺が相手できないと分かると、ディさんは畑に出て行った。

 麦わら帽子を片手に、スキップする勢いだ。きっとニコ兄か、ドルフ爺のところに行ったのだ。


「もう少しですね」

「うん。まりー、ありがと」

「いえいえ、マリーは手伝っただけですよ」

「まりーが、いろいろ教えてくれたから、れきたのら」

「ふふふ、そうですか?」

「しょうなのら」


 そうだな~。例えばもしも、母さまがまだ生きていたら……

 こうして一緒に刺繍したり縫物をしたり出来たのかな? お膝の上に座ったりもできたのかな?

 

「ふふふ、奥様も刺繍がとてもお上手でしたよ」

「しょうなんら」

「はい。マリーはいつも感心してました」

「へぇ~、まりーもじょうじゅなのに」

「マリーよりずっとお上手でしたよ。ロロ坊ちゃまはそれを受け継いでいるのでしょうね」

「しょう?」

「はい」


 それは嬉しいのだ。母さまが上手だった刺繍。俺も好きだ。もっともっと上手になりたいのだ。


お読みいただき有難うございます!

今日は久しぶりに登場の女神でした。

ロロがまた何かを作っています。何かは明日をお楽しみに!(๑˃̵ᴗ˂̵)/

明日も読んで下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 盾なら攻撃を受けてよし、いなしてよし、逆に殴ってよし、投げつけてよし なんですが、スキルのシールドだとどうなんですかね? 受けるいなすはともかく殴る投げるは難しそうクーちゃんの性格的にも
[一言] またまた女神さまには塩対応なロロくん(*´▽`) ちくちく何作ってるのかな~
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