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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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132ー嬉しいのだ

「なんだって? ロロも回復したのか?」

「ロロ、回復って?」

「れおにい、ちちんぷいぷいなのら」

「アハハハ!」


 またディさんが爆笑している。自分の太股を叩きながら笑っている。そんなに、可笑しいか? 超メジャーな言葉なのだ。

 笑いながら、ディさんが説明をしてくれた。ディさんが状態異常を回復させて、俺は魔力の枯渇を回復させたのだと。

 忘れてはいけない。チロも、頑張ったのだ。


「お前達兄弟はとんでもねーな」


 ギルマスが呆れている。俺は、いい事だと思うのだ。

 ギルマスは驚きながらも、手はちゃんとクーちゃんの登録を進めている。できる大人なのだ。


「その上、聖獣ってなんだよ」

「ロロ、クーちゃんは霊獣じゃなかったの?」

「りあねえ、しんかしたのら」

「ロロが名付けたからかな?」

「しょうなのら」


 ん? どうして、みんな黙っているのだ? 進化は良い事ではないか。退化しちゃうよりいいだろう?


「もう、俺は驚かねーぞ」


 あ、スルーされた。決して驚いて欲しい訳ではない。あれは俺も不可抗力だったのだ。


「で、レオ。どうする?」

「ギルマス、どうするって何を?」

「その聖獣の亀だよ。亀専用の物ってないんだ。チロみたいに尻尾につけるか、ピカみたいに首輪にするかだ」

「そうだなぁ……ロロ、どうする?」

「くーちゃん、首をこうらに、ひっこめちゃうのら」

「そうなの?」

「うん、しっぽも」


 亀のクーちゃんは、擬態をするのだ。その時に頭や尻尾だけじゃなく、手足も甲羅の中に入れてしまう。そうして、岩に擬態をするのだ。


「そっか、どうしよう?」

「首輪でいいんじゃない? もうそうそう擬態する事もないだろうし」

「でぃしゃん、しょう?」

「そうだよ。だってロロ達のお家にいるんだから、魔獣に狙われる事もないだろう?」

「しょっか」

「じゃあ、ギルマス。首輪でいいよ」

「おう」


 ギルマスがレオ兄のギルドカードと書類、そして細長いプレートを魔道具らしき物の上に置いて何か操作した。

 すると板からふんわりと光が出て、それが収まるといつの間にか細長いプレートが首輪に付いていた。ピカやチロの時と一緒なのだ。


「これをその亀につけるんだ。ピカとチロの時と同じように大きさは自動で調節されるからな」

「分かった」


 ふゅぅ~、これで一安心なのだ。亀のクーちゃんも、俺達の従魔だと証明になるのだ。

 クーちゃんは大きいから、目立つ。だからまたピカの時みたいに、誰かに狙われたりしないかと心配だったのだ。

 ディさんが、俺の頭を優しく撫でて言ったのだ。


「ロロ、大丈夫だ。もう、あんな事はないよ」

「でぃしゃん、しょう?」

「ああ、そうだ。クーちゃんは目立つから余計だよ。なにより、重いだろう? そう簡単には攫ったりできないよ」

「しょっか」


 なら、安心なのだ。なにしろ、クーちゃんは『擬態』と『硬化』しかできないのだ。自分で攻撃する事ができない。

 俺も攻撃魔法は使えない。使った事がない。

 何か特訓する方が良いかなぁ。良い師匠がいるし。


「でぃしゃん、ボクとっくんしゅる」

「え? 特訓?」

「しょうなのら。ボクはこうげきれきないのら」

「ロロがそんな事をする必要ないわ。私が守るわ!」

「姉上、ロロの気持ちだよ。ロロだってみんなを守りたいんだ」

「それは分かっているわ。でも、ロロが攻撃するなんて!」

「まあまあ、リア。ロロが自衛の力を持つ事も大切だ」

「そうだけどぉ……」

「りあねえ、らいじょぶら。でぃしゃん、おしえてくれる?」

「うん、いいよ。ディさんが直々に教えてあげよう」

「ありがと」


 よしよし。いいぞ。俺もスキルアップするのだ。やる気なのだ。


「もう、ロロったら」

「りあねえ、ボクもまもるのら」

「亀のクーちゃんをでしょう?」

「くーちゃんらけじゃないのら。りあねえや、れおにいもら」

「ロロー!」


 また抱きついてきた。ちゃっかり手は、俺のお腹をフニフニしているのだ。だから、何度も言っているけどさ。


「りあねえ、やめれ」

「もう、ロロったら。冷たいんだからぁ」


 はいはい、分かったのだ。

 それからディさんも一緒に家に帰った。夕ご飯はディさんも一緒だ。最近は毎日一緒で嬉しいのだ。

 そうだ、このルルンデの街に来たばかりの頃は、俺は家から出るのが怖かった事を思い出した。

 1年前だ。突然知らない街にやって来て、両親がいなくて寂しかったのもあるけど、なにもかもが怖かったのだ。

 だから、俺の行動範囲は家の中だけだった。

 そんな俺を、根気よく庭に連れ出したのはマリーだ。

 それから少しずつ、マリーと二人で歩いた。行動範囲を広げて行ったのだ。

 そんな時に声を掛けてくれたのが、ドルフ爺とセルマ婆さんだ。

 ドルフ爺は俺を抱っこして、畑に連れて行ってくれた。セルマ婆さんは一緒に日向ぼっこをした。

 少しずつだけど、俺は外に出られるようになった。マリーと教会にも行った。そんな矢先に起こったあの事件だったのだ。

 また、外に出られなくなるんじゃないかと、きっとみんなは思った筈だ。

 俺は知らなかったけど、ディさんが傷を治してくれていても服が破れていたりしたらしい。その上、俺は意識がない。それは心配を掛けたのだろう。

 大丈夫だったのは、女神が癒してくれたお陰だ。でないと、きっと恐怖心が残っていたはずなのだ。

 それからだ。ディさんが来てくれるようになったのだ。


お読みいただき有難うございます!

もう少しで3章突入です。

続けて読んで下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

頑張ります!

宜しくお願いします?

今日はハルちゃんをどーぞ〜!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 亀さん、聖獣に格上げになったときに何か攻め手を覚えていても不思議じゃない気が。まあ仮にそうでも使わないのが一番ですが
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