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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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127ーさすがドルフ爺

「でぃしゃん、まんどらごら」

「あった?」

「うん」


 ほら、と俺は直ぐ足元を指さす。短い人差し指だけどもね、分かるかな?


「おや、本当だね」


 ディさんは、迷いもせずバシコーンと思い切りマンドラゴラを殴った。そして、ズボッと抜く。ナイフを取り出して、グサッと刺す。はい、終了なのだ。


「かんたんら」

「対処法を分かっていたらね。でも、知らないで抜いたりしたら最悪だ」

「ほんとうなのら」


 それにしても、本当に美味しいのだろうか? だって魔物なのだろう?


「美味しいよ。持って帰ってマリーさんに調理してもらおう」

「うん」

「厚く切ったベーコンと煮たら美味しいよ。トマト味のポトフもいいね」

「おいししょうなのら」


 直ぐに家に着いてしまったのだ。

 畑にドルフ爺がいる。この辺りはドルフ爺の畑だ。丁度、亀さんのクーちゃんを見つけた辺りなのだ。


「でぃしゃん、かえってきちゃったのら」

「本当だね。あれ? この辺りまでなのかな?」


 ディさんが、地面をじっと見ている。街中からここまでは、さっきの1本しか見当たらなかったけど。

 もしかして、ここからまだ街まで行くつもりだったのだろうか? マンドラゴラってそんなに動くのか?

 あのくねったセクシーポーズの、むっちりとした短い足で?


「そんな訳ないよ。ロロも見ただろう? あの短い足で、森から街まで歩いて来るなんて考えられないよ。何があったのだろう? まさか、誰かが持ってきたのかな? いや、そんな事はできない筈だ」


 畑を見ると、ドルフ爺がじっと何かを見つめている。畑を通っている小道の脇を見ているのだ。何を見ているのかな? まさか、マンドラゴラじゃないよな?

 するとドルフ爺が、鉈を持っていた手を振り上げたかと思ったら、いきなり地面をバシコーンと殴りつけた。


「え……」


 ドルフ爺は、何かをズボッと抜いたのだ。手に持っていたのは、俺がまさかと思っていたマンドラゴラだ。手に持っていた鉈をザクッとぶっ刺した。

 流石、ドルフ爺だ。マンドラゴラの対処方法を知っていた。完璧なのだ。


「でぃしゃん、どるふじい」

「ん? ドルフ爺さんがどうしたの?」

「まんどらごらを、やっちゅけたのら」

「え? そうなの?」

「うん、あしょこ」


 俺が指した場所にいるドルフ爺。また地面を殴っている。そんなにいるのか? またマンドラゴラなのか?

 ドルフ爺がズボッと抜いて手に持っていたのは、またもやマンドラゴラ。

 マンドラゴラ祭じゃないのだから。どんだけいるのだよ。大安売りなのだ。


「あー、本当だ。ドルフ爺さん分かってるじゃない」

「どるふじいは、なんれもしってるのら」

「凄いねー」

「ねー」


 そうなのだ。忘れてはいけない、あの白いマッシュ、リカバマッシュ。あれを育てているのだ。

 リカバマッシュからドングリを砕いた物に菌を移して、それを小さく棒状に丸めた物を木に植え付けているのだ。

 うちの家の横、陽が直接当たらない場所に並べて立て掛けてある。

 まんま、椎茸と同じなのだ。よく、そんな事を知っていたものだ。

 絶対にただの爺さんではないと、俺は思っているのだ。爺さんは、世を忍ぶ仮の姿だったりするのではないかと。ふふふん。


「どーるーふーじいー!」

「おお! ロロか!」

「ドルフ爺さん!」

「なんだ、ディさんもいるのか!」

「ドルフ爺さん、マンドラゴラ?」

「おう! なんでこんな場所に生えてんだ!?」

「分からないんだ!」


 大きな声で話しながら、ドルフ爺のいる畑の小道まで移動する。俺はまたまたディさんに抱っこされちゃった。ホント、早く大きくなりたいのだ。


「こんな場所に生えてるとあぶねーんだ。処理の仕方を知らない者が、抜いたりしたら気絶しちまう」

「そうなんだよ。それで、被害が出ていたんだ」

「そうなのか!? じゃあ、ここだけじゃねーのか?」

「そうなんだよ。森からこの街までの街道沿いに生えているらしい」

「畑は土がいいからだと思ったんだが」

「どるふじい、いっぱいぬいた?」

「おう、2〜3本抜いたぞ」

「え? そうなの?」

「ああ、この辺りに集中していたんだ」


 この辺り……おっと、プチゴーレム達が俺を見つけて走って来たのだ。

 相変わらず走るのが速いのだ。尻尾をブンブンとふりながら、弾むように駆けて来る。

 覚えているかな? プチゴーレム達のお名前だよ。いっちー、にっちー、さっちー、よっちー、ごっちーなのだ。


「キャンキャン」

「アンアン」


 可愛いぞぅ。小さいのに風を切って走っている。キャンキャンと鳴きながら。

 でも色は土色なのだけど。色を塗ってあげたら良かったかなぁ。


「みんなー、ぱとろーるしてくれてたの?」

「アンアン」


 なるほど、なるほど。プチゴーレム達もマンドラゴラを見つけたらしい。それで、ドルフ爺を呼んだのだそうだ。賢いのだ。


「ロロ、何ていってるの?」

「みんなが、まんどらごらをみちゅけたって。れも、小しゃくてむりらから、どるふじいをよんらんらって」

「おう、そうなんだよ。何キャンキャン鳴いてんだと思って来てみたら、マンドラゴラが生えていたんだ。こいつらお利口だぞ」

「良かったねー」

「アハハハ。それは凄いや。本当にパトロールしているんだ」


 そうなのだよ。とっても心強いのだ。でも、強いのだろうけど何しろ小さい。だってプチだもの。俺の両手に乗る位なのだから。

 だから、マンドラゴラを引き抜いたりぶっ刺したりはできないのだ。


お読みいただき有難うございます!

感想やご指摘、誤字報告も有難うございます。

のんびりとお話は進みますが、続けて読むよー!と、応援して下さる方は、是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

頑張りまっす!

宜しくお願いします。

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こちらも宜しくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] プチゴーレムさん達えらい
[一言] 根菜収穫からの根菜まつりの道筋が出来上がりつつある様子 マンドラゴラは犬に引かせるなんて伝承がありますが プチゴーレムは非力で無理でしたか
感想一覧
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